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2025年度の夏期開園が始まりました。 動物図書館内の「だれのもの?」コーナーや、工作コーナーをプチリニューアルしました。 動物資料展示館の前庭の「だれかのはたけ?」、建物横のスペースにはとあるものを準備中です。 ぜひ動物図書館に来てくださいね。
さて今年は、動物図書館が開館して30周年となります。 動物図書館のある建物は、1983(昭和58)年に動物資料展示館(1階)ができ、 2階はレクチャー室として使われていました。 1995(平成7)年5月13日、レクチャー室は動物図書館として生まれ変わりました。 絵本の読み聞かせもこの年から始まりました。
開館30周年を記念して動物図書館では、夜の動物園の期間中の8月16日(土)に 特別な絵本の読み聞かせイベントを開催します。 絵本は2冊読みますが、1冊は動物図書館に来ていただいたお客さんの投票で決めたいと思います。
投票期間は8月9日(土)まで。 投票場所は 動物図書館です。 お待ちしております!
投稿者:動物図書館 北川 裕美子
旭山動物園ではバックヤードでペアで飼育している、オスのヌプリとメスのアオイというシンリンオオカミがいます。
2月下旬頃、オスのヌプリの後肢が下がり気味になる症状が見られました。 その後、1日の中で寝ている時間が多くなり、歩行のふらつきや、視線がどこを見ているのか分からないような様子があったため、獣医に相談し、いくつかの可能性を考えたうえで食滞を改善する目的とふらつきを改善する目的の2種類の投薬を行ったところ、改善が見られ、以前と同じように毎日を過ごすことができるようになりました。
ヌプリ
アオイは今16歳で、一昨年の秋頃から後肢が上手に動かせなくなる症状が出て、投薬により改善し状態を保っていました。ヌプリは13歳で、昨年死亡したレラと同じく、旭山動物園の最初のペアであるケンとマースの最初の仔の一頭です。13歳とは思えないほど若々しく元気に過ごしていたので、急激な体調の変化にとても驚きました。
アオイ
その後、3月下旬頃にヌプリにまた同じような症状が見られました。 それと同時に、メスのアオイにも普段超えられる段差を超えられない様子が見られ、ヌプリとアオイが同時に普段与えているエサを食べなくなりました。
そのため、普段のエサに加え、トリ肉や馬肉をペースト状にしたものを置いた結果、アオイはペースト状の肉を食べ、ヌプリは何度もにおいを嗅ぎに行き、周りを気にして見渡しては引き返すことを繰り返し、食べませんでした。 その後、アオイもペースト状の肉を食べなくなり、奥にある産室で寝ていることが多くなりました。
投薬をする必要があったため、2頭を間仕切りで仕切り、お薬の入ったエサを置いて食べてくれるよう様子を見ていました。しかしヌプリはアオイが寝ている産室の近くにいるか、外にエサを置いた後もエサを食べずにアオイがいる部屋と間仕切りの間を行ったり来たりする様子が見られたため、ヌプリの精神的な状態を優先して間仕切りを解放し、2頭がいつでも一緒にいられるようにしました。
獣舎の全体図
すると、2頭の様子に変化が見られました。 ずっと産室で寝ていたアオイがふらつきながらも外に出てきて歩き始めました。ヌプリも歩行に困難はありましたが、ふらつきながらも前の日より力強く歩き始めました。
この時点で、ヌプリもアオイも食滞の改善を目指すお薬を続けていましたが、大きな変化が見られなかったため、ふらつきを改善するお薬に切り替えて様子を見守ることにしました。細かく切ったお薬をリンゴに入れて、水飲みの近くやよく寝ている場所の近く、出口付近に置いたところ、夜中にどちらかが少し食べたようでした。
次の日からは、普段のエサとペースト状にしたトリ肉や馬肉に加え、細かく切ったヒナ肉やウズラ、リンゴや白菜など、いろいろな素材を置いて様子を見ました。
2頭を一緒にした影響、または前日に少しだけお薬を口にしたためか、ヌプリは細かく切った馬肉とヒナ肉をペロリと食べ、アオイも細切りにしたヒナ肉と馬肉を食べました。この日もリンゴにお薬を仕込んでいましたが、少し食べた様子がありました。
ヌプリがよく食べるようになってきたため、翌日はヒナ肉に必要な量のお薬を入れて置いたところ、しっかり食べてくれました。アオイも少しずつ外にいる時間が長くなってきました。
翌日、朝から2頭が外にいたため、檻越しに手差しでヒナ肉を与えたところ、2頭とも食べてくれたため、急いで必要量のお薬をヒナ肉の中に入れて与えました。すると、翌日から少しずつ2頭の歩行に改善が見られ、外に出て歩き回ったり休んだりする時間が増えました。特にヌプリは軽快に歩き回る様子が見られました。
その後、一番状態の悪いアオイの後肢のために床材をどう調整するかを考えたり、2頭の投薬についても状態を見ながら減らしたり増やしたりしながら様子を見ています。
野生のオオカミであれば、このような不調や高齢による変化が命に関わることもあります。飼育下だからこそ、エサやお薬、環境のサポートによって今の暮らしを続けられています。
それは本来のオオカミの姿とは少し違うかもしれませんが、2頭がともに過ごすことで見られる行動や変化から、「オオカミが群れで生きる動物であること」の意味を改めて感じさせられます。複数で暮らすことを大切にするオオカミならではの一面が、そこにあるように思います。
今は2頭とも食欲もあり、外に出て来て通りすぎる人を見たり休んだりして過ごしていますが、いつ状況が変化するかは分かりません。
少しでも2頭が健やかに、穏やかに暮らすことができるよう、これからも全力を尽くしていきたいと思っています。
シンリンオオカミ 担当 原田 佳
これまでの日記はこちら
カテゴリー>どうぶつえん日記>アーカイブ>年数を選択してご覧ください
キリンの担当になってもう一年というべきか、まだ一年というべきか。 なんにせよキリンカバには多くの変化を持たせられた一年であったと感じます。
さて、雪解けもだいぶ進みキリンの放飼ができるようになってきました。 本園のキリンたちは足が悪いため雪が積もっている間は、外には出さず室内で過ごしていました。
洒落乙な掲示
しいくのブログ「冬のカバ・キリン」
およそ半年ぶりの外。ゲンキはのんびり外に出て、永遠と雪を食べ続けています。 カシもピーマンもそっちのけ。今度からはゲンキの好きな食べ物は雪と答えることになります。
雪旨いのか?
一方あさひも久々の外。掃除中は顔のみ出る程度にシュート(出入用の扉)を開けていたのですが、外が見れるだけでテンションが上がっていました。 いざ、外に出ると、、、
おい! やめろ
足は悪いですが、何よりも楽しいが勝ってしまい爆走。 そのうえ、ほんの少し残っていた雪の上でわざわざドリフトを決めていました。 こりゃダメです。ということで、あさひはもう少しだけおあずけになります。 元気なのは素晴らしいことなんですけどね、、、
さて、来年度からはいよいよ様々な工事が始まることと思います。 積雪耐久の関係があるので、巨大とはなりませんが屋根の話も現実的に前進しています。 ホロホロチョウも産卵が始まり、外放飼の準備も色々と進めていかなければなりません。
こうきゅうたまご
私が一年で最も楽しみな閉園期間。やるべきことやりたいことが尽きなくてとても待ち遠しい。来年度もキリン舎かば館のパワーアップをお楽しみに。
きりん舎かば館・両生類は虫類舎 担当 鈴木 達也
ペンギンは1年に1回全身の羽が生え替わります。これを換羽といいます。なぜ換羽をするかというと、1年間同じ羽を使っていると撥水性や保温性が無くなってきてしまうからです。動物園で暮らしている分には多少羽の機能が弱くなってきてもそこまで問題にはなりませんが、自然界ではちょっとの羽の濡れや体温の低下が命取りにつながります。 旭山動物園ではキングペンギンは1月から4月にかけて換羽が行われます。ところがまれに換羽が起こらない個体がいます。原因は不明です。そしてもっとまれに2年間換羽が起こらない個体がいます。さすがに2年間換羽が起こらないと色がセピア色っぽくなり、見た目にもハゲてきているように見えます。未だに謎は多いのですが、鳥の換羽には甲状腺ホルモンが関係していることがわかっています。甲状腺ホルモンは私たちヒトの体でも非常に重要な役割を果たしています。調べてみると、猛禽類では甲状腺ホルモンを投与することで換羽が起こったという研究が見つかりました。お、それならペンギンでも換羽が起こるのでは!?ということで甲状腺ホルモンの投与を開始してみました。するとどうでしょう無事に換羽が始まったのです。もちろん薬には副作用などのリスクもあるので、毎日のエサの量などの健康状態のチェックを行いながら投薬しています。 来園者の方とこのお話しをしていると必ず、それって毛生え薬なんですか?と聞かれます。毛生え薬、、、ではないけれど羽生え薬って言っても良いのかな?
換羽中のキングペンギン。古い羽が浮いてきてモコモコした姿になります。
2年間換羽していないセピア色のキングペンギン(赤い○)
獣医師・オランウータン担当:佐藤
気がつけば3月も終盤に差し掛かり、もうすぐで4月になります。降る雪も雨に変わり少しずつ春の訪れを感じます。 第2こども牧場では、今日もブタが2頭(うめ・ゆず)仲良く暮らしています。気温が高くなり雪解けで濡れた地面が乾くと、うめとゆずはくっついてお昼寝をすることがあるので、動物園に来る際は、ブタやこども牧場の動物たちを見に来てください。
ブタの「うめ(奥)」と「ゆず(手前)」
こども牧場担当:紺野聖空
3月に入り季節は少しずつ春の足音が聞こえています。朝の通勤途中の近くの川ではハクチョウが羽を休めていました。これから多くの水鳥が渡ってくる姿も増え、他の動物たちも春の陽気を感じてより変化がある時期でもあります。 チンパンジー11頭も冬の間、当園で10年以上取り組んでいることが風邪予防対策で長ネギを与えています。さらに今年は今までと違った冬期の過ごし方をしていました。天気や気温・体調を考慮しながら短い時間ですが外に出て日差しを浴びながら雪をいじったり、食べてみたり、その反面、雪の上は歩こうとしない場面も見られました。 ちんぱんじー館出口の左側の出窓には実はヒーターが昨年春に設置され暖かく過ごせる場所を増設した場所がありみんな集結してコミュニケーションをとっている姿が、間近で見ることができます。現在雄2つと雌のグループで時間帯は不定期ですが出窓にいる元気な様子を見てもらえればと思います。ぜひ、見に来てください。
長ネギを食べるチンパンジーたち
ちんぱんじー館出口左側にある出窓スペース
ちんぱんじー館担当:高井正彦
気温が上がり雪解けが進む中、旭山動物園こども牧場では4月の休園期間に向け、ヤギ・ヒツジ放飼場の雪の搬出を進めています。
地面がぬかるむ前に準備を整える必要があるためです。そんな中、ヤギやヒツジたちは変わらずのんびりとエサをねだっています。
飼育員の脚に頭を擦り付けるよもぎ
第2牧場ではこの数年で高齢の個体が相次いで亡くなり、新たな世代のヤギたちが台頭しています。 4年前に来園したよもぎは以来若いヤギのまとめ役でしたが、より若い世代の下剋上を受けて大人しくなり今では隠居生活を送っています 。一方、同世代のもみじは直接の頭付き合いには弱いものの、高所で過ごす経験が最も長く橋の上でのエサ争いには誰よりも強くなりました。
橋の上に登るもみじ 現在の群れのリーダーは2歳のオスヤギ・かえで。エサの取り合いのときは誰にも容赦しませんが、人に対しては甘えんたがりな一面も見せます。 妹のあかねと母親のこむぎは今も同じ小屋で仲良く過ごしており、血縁の絆の強さがうかがえます。
小屋の中で身を寄せ合う母娘 早いもので冬季開園も一ヶ月と少しを残すばかりとなりました。 雪の中でも元気に駆け回る個性豊かなヤギたちに、ぜひ会いに来てください。
こども牧場 ヤギ担当:堀川
皆さんこんにちは。昨年の11月からフラミンゴの担当となりました。 冬期間のフラミンゴたちは屋内で飼育しているため、その姿を皆さんにお見せ出来ないのがとても残念です。そこで今回はフラミンゴの近況をお伝えします。
旭山ではヨーロッパフラミンゴ、チリーフラミンゴ、ベニイロフラミンゴの3種類のフラミンゴを飼育しており、よく見るとそれぞれ特徴があります。
嘴が青みピンクのヨーロッパ、嘴白くて体が桃色のチリー、体も嘴も朱色のベニイロ、となっております。
どれがどれか分かるかな?
私が掃除をするために中に入ると鳴きながら一斉に移動するフラミンゴたち。しばらくすると落ち着いて鳴き止むのですが、最近はむしろ声が大きくなっていくのが気になりました。 掃除中にこっそりとフラミンゴを観察していると、2種の求愛ディスプレイ(求愛のために自分の体や動作を誇示する動作)を確認できました。
まず1つめが首を長く伸ばし、素早く顔を左右に振る動きの「旗振り」 2つめが細かく鳴きながら勢いよく羽を広げ、素早く閉じる「敬礼」です。
2羽で敬礼
アピールアピール!
(残念ながらホームページには動画を掲載できないので、ディスプレイの様子は2月15日投稿の旭山動物園公式SNSからご覧ください!)
もうひとつ代表的なディスプレイに「行進」がありますが、今回は確認できませんでした。
まだまだ寒い旭川ですが、フラミンゴたちの熱い恋の季節は始まっているようです!
エゾモモンガ舎・北海道産動物舎(小動物・野鳥)・フラミンゴ担当:櫻井結夢
再びカエってきました。 両生は虫類舎の鈴木です。 いつぞやは「しいくのぶろぐ」にてカエルの色のお話をしました。
しいくのぶろぐ「黄ガエル青ガエル」(2024年10月23日更新)
前回は、青いアマガエルが青くなくなって戻らないとのことだったのですが、 【ばっちり青いアマガエル】
はい。ばっちり真っ青になっています。
電気は以前のものと同じものを使用し、周りの植物も以前のまま。特に視的要因として大きな変化は与えていません。唯一変化させたことといえば、日照サイクル。 今までは、出勤し獣舎についてから電気をパチリとしていたので、光にさらされる時間は9時15分~17時30分の固定でした。 現在、タイマー式に変更し、外の日照サイクルに何となく合わせるようにしています。 アマガエルの体色変化はストレス状態及び視的要因によるものが大きいという先入観があったので、これはいかに。。。 果たして日照時間の長さとは別に、日照サイクルがストレスないし体色に与える影響が直接あるのか定かではありませんが追って研究する必要がありそうです。 なんにせよ、人も生き物も正しい生活リズムを送るのが大切なようです。遅寝遅起きは駄目だということで。
それとは別に、カバの寝室にて緑色のカエルを捕まえました。 ちょうど緑のアマガエルが欲しかったので良かった良かった。
【ん?】
と思ったら、残念これはシュレーゲルアオガエルというカエル。 いかにも外国風な名前ですが日本固有種です。ただ、北海道には本来生息していません。 野菜に紛れてきたのか、本州からはるばる旭川に来たようです。 そもそも北海道で見たのも初めてで、無模様緑のカエルは「アマガエル」という先入観があったため、顔に違和感を覚えながらも判明が遅れました。 先の青アマガエルの体色変化もそうですが、先入観を持たない大切さを改めて感じます。
きりん舎・かば館・両生類は虫類舎 鈴木 達也
コケコッコー!!2月になりましたが、今年は例年より雪も少なく、既に春のように暖かく感じる旭川です。
こども牧場のニワトリは毎年冬になると、寒いからか外の砂場は出たがらないのですが、ここ数日は暖かさもあり、自ら砂場に飛び出て行き、砂に体をこすりつけて砂浴び楽しんでいます。
砂浴びをするニワトリ
そんなニワトリは毎日卵を産みますが、最近やけに大きな巨大卵がよく産まれるのです。
旭山動物園のニワトリの卵は白色卵(ハクショクレグホン種とボリスブラウン種の交雑)と茶色卵(ボリスブラウン種)の2種類産まれます。卵の平均の重さは約60gくらいですが、巨大卵はなんと106gとずっしり。見た目の大きさも明らかに他のより大きいのです。
巨大卵と通常卵
巨大卵の重さ
通常卵の重さ
卵の大きさ比べ
今までは、巨大卵が産まれても中身は未確認のままでしたが、中身が気になってきたので、ついに割ってみる事にしました。
巨大卵を割ると.....
なんと黄身が2つ!!!!しかも2つの黄身はほぼ同じ大きさ。他の卵と比べても、黄身が小さいということもなく平均的で、立派な双子卵でした。残念ながらどの個体が産んでいるかはわかりませんが、ここ最近はよく産まれています。
こども牧場のニワトリ・アヒル舎では、ニワトリが産んだ卵が毎日見れます。巨大卵がみれるかもしれません!
巨大卵の中身!黄身が2つ
こども牧場のニワトリ舎
ちなみに、割った後の卵はニワトリたちが美味しく卵を食べました。 みなさんは黄身が2つの卵にであったことはありますか?
卵を食べるニワトリ
こども牧場担当:大河原沙織
「おしらせ(しいくにゅーす)」でもお伝えした通り、昨年の11月17日にブラッザグエノンが生まれました。現在は母親から少し離れて遊んでいる様子もみられるようになりました。
冬期は気温が低いので、展示時間を短縮しています。お昼頃の1~2時間くらいの間に、テラスのヒーターが点いていたら、そこにいるので覗いて見て下さい。
サル舎・ぺんぎん館担当:田中千春
2月6日~11日、旭川冬まつりが開催されます。これに合わせて旭山動物園でも2月8日~10日の3日間、「雪あかりの動物園」として開園時間を20時30分まで延長し、冬の夜の動物園を楽しんでいただきます。園内にはたくさんのアイスキャンドルが優しく照らし、静寂の中の動物たちの息づかいを感じていただければと思います。
で、このアイスキャンドル、職員たちの手作りなんですよ!工程は「水入れ」→「運び」→「吊るし」→「放置」→「穴あけ」→「水抜き」→「完成」です。ポイントは気温!氷点下15度くらいがベストで一晩吊るすと、翌日風船の外側だけが凍り真ん中は水状態。ここでドリルを使い穴をあけ中の水を抜くと完成です。
寒すぎると全部が凍りただの丸い氷の塊になり、気温が高いと凍ってくれないという、なかなか繊細な作業なのです。
最近は凍れる日が少なく、二晩吊るす時もあります。
これも温暖化の影響ですかね?!ともあれ目標は850個!あと数回はこの作業が繰り返されます。みなさん、当日をお楽しみに!
1.水入れ
2.運ばれ待ち
3.運び
4.ベテランは2個持ち
5.吊るし
6.白いスライムたち
7.穴あけ
8.水抜き
9.前回の完成品
主幹:中田真一
新年あけましておめでとうございます! 皆様はどんな年末年始をお過ごしでしたか? 旭山動物園は12月30日〜元旦までお休みで、1月2日から開園でしたが、年始早々たくさんの方々に来園いただいており、喜ばしい限りです。 今年も皆様にとって素晴らしい1年になるよう、お祈り申し上げます。
さて、あざらし館でも飼育員が声を上げて喜ぶような嬉しいニュースがありました!
気になる内容はというと… ハズバンダリートレーニングによって、ゴマフアザラシの麦の無保定採血が成功しました!!(ハズバンダリートレーニングとは、健康管理を目的とし、動物に協力してもらいながら受診動作を行うためのトレーニングです。)
そもそもトレーニングをしていないアザラシの採血は、プールの水を抜き、アザラシの頭に毛布をかけて飼育員が人力で保定して採血するという、中々に強引なやり方なんです。
これだと、アザラシも飼育員もかなり負担がかかり、ベストな採血方法とは言えないと思います。
そこで、2023年の9月頃から麦がリラックスしながら無理なく無保定採血を行えるように、採血のハズバンダリートレーニングを始めました。
採血に向けてのトレーニングの流れとしては (1)後肢が触れようになる (2)後肢のどこを触っても待てる (3)後肢を広げたり裏返したりできる (4)後肢のどこを触っていても完全に脱力した状態で待てる (5)後肢にお湯をかけられる (6)後肢にタオルを乗せられる (7)後肢にタオルを乗せながらお湯をかけても待てる (8)針を刺す場所に指で刺激を与える (9)針を刺す場所に爪楊枝の頭や先で刺激を与える (10)針を刺す場所に先を丸めた針で刺激を与える (11)針を刺す場所に本物の針を刺し、採血を行う という流れで進めていきました。
元々、ボディタッチは100点満点な個体でしたので、後肢は割と早い段階で脱力して触れて待てる段階まで進みました。
しかし、そこからがとても長かった…! 旭山動物園は屋外での飼育なので外気温が上がると水温も上がり、夏場は暑いときで水温30度になることも…。その影響もあってか、夏場は食欲が下がり、トレーニングがままならず、また振り出しに戻ってしまうということがしばしば続きました。 トレーニング意欲も戻ってきた2024年9月頃、再度本格的に後肢の付け根から採血できるようにトレーニングを再開しました。
その後、なんとか後肢に刺激を与える段階まで進みましたが、思うように麦が落ち着いてじっと待てる状態を作ってあげることが出来ず、試行錯誤の日々が続きます。(この時点で採血トレーニング開始から1年と3か月が経過していました。)
そこで今一度色々と採血トレーニングのやり方を調べ、「今まで行っていた後肢の付け根ではなく、後肢を裏返し、指から採血をしてみよう!」ということになりました。
すると…!嫌がることもなく、血管もすぐに見つけることができ、先を丸めた針でツンツンしてみても無反応でした!(2024年12月10日)
お湯をかけて浮かび上がる血管
これはいけるのでは!?と、すかさず本物の針で、いざ採血を試みました! 獣医さんも初めてのアザラシの採血なので、初回は上手く血が返ってこず、検査に必要な量は採れませんでしたが、「針を刺してじっと待てる」は難なくぬるっとクリアできました!(志子田は心の中でガッツポーズしてました)
そして、同日の夕方にリベンジ採血…!
その結果!なんとなんと!!血液検査に必要な量も採血できて(獣医さんすごい)、麦も落ち着いて(麦えらすぎ)リラックスした状態で採血することができたんです!!(担当者2人、これまた歓喜の声を静かめにあげます)
採血成功の瞬間
麦の血液の記念撮影
その後、無事血液検査も終わり、麦は健康そのものということが分かりました。 麦はこれから性成熟を迎える年齢(4歳になります)なので、ホルモンの値が季節や妊娠によってどう変わっていくか、現在は定期的に採血を行い、指標を作っていっています。
アザラシたちの健康を守るためにもトレーニングは必要不可欠です。もぐもぐタイム中と、それ以外の時間に不定期でトレーニングを行っています。見かけた際は、ぜひ温かく見守ってくださいね!
お魚が無くて信じられない様子の麦
あざらし館担当:志子田紗希
フッターです。