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「どうぶつえん日記(2025年)」の記事一覧

冬の振り返りとアムールヒョウの成長

 早くも新年度、今は夏期開園に向けての閉園期間です。それにしてもこの冬は暖かくて雪が少なく、 旭川らしくない冬でしたね。気温は昔の札幌みたいな感じでした。さらには海外からの来園者の急増、これは旭山に限ったことではありませんが、結果的には冬季間は昨年の1.3倍ほどの入園者数になりました。冬の北海道はますます世界的な観光地になっていきそうです。
 昨年生まれたアムールヒョウの子も元気に過ごしています。昨年11月に骨折をしてしまい、 治療経過は順調でしたが、治療経過中にすり足で歩くので肉球のパット(皮膚)が擦れて穴が開き(本人はいたって平気で、それが困りもので足を着かないなどかばってくれたほうが治りは早いのですが)、結局、冬期間はほぼ室内で過ごすことになりました。
 現在は骨折も快方に向かい、 徐々に皮膚も張ってきました。成長期で元気が有り余っているのでもっと運動させてあげたいのですが、夏期開園を迎え屋外放飼場に出せるようになれば皆さんとも対面できるかなと思います。アムールヒョウは旭山動物園を象徴する動物でもあるし愛称は公募かなと話していたのですが、公開できずにいたため先送りのような状態で、現在悩み中です。母親のみらいは初産に加え、子どもが治療続きの中でもとても上手に育児をしています。
 新しい春がやってきますが、飼育員もみらいに負けないように飼育環境の整備や夏期開園の準備などを頑張っていきます。 今年度の夏期開園は4月26日(土曜日)からです。ぜひ足を運んでいただければと思います。

アムールヒョウ
母親のみらい(奥)と仔(手前)
 
令和7年4月10日
旭山動物園 坂東

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動物たちの食事事情

今まで取り組んできた活動を評価していただき、昨年2月末に旭山動物園が登録博物館に認定されてから、早いもので1年が経ちました。今後も、観光施設であるだけでなく、博物館としての社会的役割もしっかりと果たしたうえで、魅力的な動物園(博物館)であり続けるため、現状に甘えることなく、常に1歩前を見据えた取組を目指していきたいと思います。
さて、最近、物価高騰に伴う様々な商品の値上げのニュースをよく目にしますが、動物の餌も例外ではありません。とはいえ、餌は動物たちの命をつなぐ、正に生命線です。餌の予算はしっかりと確保して、できるだけ新鮮なもの、それぞれの動物にあったものを必要な量与えています。そのうえで、安い仕入先を探すのはもちろん、餌自体を工夫してコストを下げる努力も欠かせません。現在餌用の肉類は馬肉・鹿肉・鶏肉を使用していますが、比較的安価で入手できる鹿肉を、できるだけ使うようにしています。ただ安いからというだけではなく、低カロリーでヘルシーなので動物の健康維持にも役立ちますし、数の増加が問題となっているエゾシカをただ駆除するのではなく、次の命につなげる、という意味合いも込め、現在もうじゅう館やほっきょくぐま館で使用しています。また、ゴマフアザラシは、夏場と冬場で食べる量が倍近く変わる(脂肪を蓄える秋口以降は多く、脂肪の落ちる夏は少なくなる)ため、仕入れる餌(魚)の量もこれに合わせて無駄が発生しないよう調整しています。
寄附で頂いた餌も活用しています。時期により、ニホンザルが好んで食べているカボチャやサツマイモなどの野菜のほか、ドングリやクルミといった木の実など、多くの餌が届きます。皆様の温かい善意に本当に感謝しています。
このように、コスト意識も持ちつつ、動物ごとの生態にあわせて餌の量や種類を調整し、各担当が責任を持って動物たちの命や健康を守っています。園内で動物が餌を食べている場面を見かけたら、裏にこんな努力や工夫があることを少し思い出してもらえたらうれしいです。
 

アザラシ
冬場は食欲旺盛、ゴマフアザラシ
 
令和7年3月5日
旭山動物園 沼田

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ヘビ、お嫌いですか?

 第66回旭川冬まつりが無事終了しました。「繋がりと共生」をテーマとし、旭川と関わりの深い様々な動物たちの大雪像に力強さと未来が見えました。動物園でもこの期間内の8日から10日の3日間「雪あかりの動物園」として開園時間を延長し、アイスキャンドルに照らされた園内や冬の動物たちの夜の姿をご覧いただけたかと思います。寒い中、ご来園ありがとうございました。
 さて、ヘビ年ですね。ヘビという動物、みなさんはどのような印象でしょうか?あのニョロニョロとした動きが…舌のちょろちょろが…ヌルヌルしてそうで…毒があるし…。怖い、気持ち悪いととかく嫌われがちな動物ですが、その行動には意味がありすごい能力を持っています。
 まずはニョロニョロ。ご存じの通りヘビには足がありません。お腹側にある板状になったうろこ(腹板)と全身の筋肉を使い移動します。種によって前後に伸縮するタイプや砂地などで横ばいに動くタイプ、またよく見る左右にくねる、いわゆる「蛇行」タイプがあります。それに耳がないので音はお腹から伝わる振動で感じ取っているのです。そして舌のちょろちょろ。ヘビには鼻の穴はありますが、プラス舌を出し入れすることで臭いの粒子を舌につけて体内にある器官で臭いを感知しているのです。そしてヌルヌル。実は、ヘビのうろこは人の爪などと同じ性質のケラチンでできているので、ツルツルでスベスベなんですよ。あとは毒。2700種以上いるヘビの中で毒を持つ種は全体の20%弱で、ほとんどの種類には毒がないのです。
 どうですか?体の秘密はまだまだあります。知れば知るほど深い動物ですね。ヘビがいるということは餌となるネズミなどの小動物が豊富だということ、小動物がいるということは森が豊かで循環がうまく回っている整った環境だということ。私たちもヘビのように細く長く、いい環境で過ごしたいですね。
 

ヘビ
北海道ではおなじみのアオダイショウ
 
令和7年2月12日
旭山動物園 中田

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動物園の新年と未来への取組み

 明けましておめでとうございます。皆さん、お正月はいかがお過ごしでしたか。動物園の営業は12月30日から1月1日あまでお休みでしたが、ご存じのとおり動物の飼育に休みはありません。年末年始も飼育職員は交代で勤務していて、実はこの期間にも「ペンギンの散歩」は実施しています。ペンギンの習性を生かして冬の運動不足を解消しようと始めたものなので、お客さんがいなくても行うのです。お客さんがいないため、散歩コースから脱線してしまう自由気ままなペンギンの姿が見られるのは飼育職員の特権かもしれません。3月に入ってからも続けられるよう、周りの雪を集めながらコースを維持しているのですが、気がかりなのは、年々雪解けが早まっているため、この先も同じように続けていけるのか心配になります。
 温暖化の影響を受けている動物の代表格がホッキョクグマです。息継ぎのた頭を出したアザラシを、氷の上で待ち構え捕食するため、氷がなくなると狩りができなくなってしまいます。絶滅が危惧されているホッキョクグマの「種の保存」のため、全国の動物園・水族館では協力して繁殖に取り組んでいます。そうした中、旭山動物園では2021年の「ゆめ」に引き続き、繁殖にチャレンジしていて12月中の出産が期待されましたが、残念ながら今日1月6日の時点で出産には至っていません。
 旭山動物園では「Zero Carbon ZOO(ゼロカーボンズー)」の取組みも始めています。これは、動物園で生じる二酸化炭素の排出量を将来的に実質ゼロにしようとするものです。でも、ただ単に太陽光などの再生可能エネルギーに置き換えていくといった話ではありません。緑が多く、様々な動物を見られる当園は、自然を感じられる場所です。市民や来園者の方々に気候変動の問題や持続可能な生活スタイルなどを伝えることで、将来世代のために環境意識を高めてもらい、地球に優しい行動に移してもらうきっかけの場所となるのがメインテーマです。今年はそれに向けて意義のある1年にしたいです。
 

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自由気ままに散歩するキングペンギンたち(1月1日撮影)
 
令和7年1月6日
旭山動物園 田村

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