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8月1日、まさかな…と思いつつ恐る恐る巣箱を覗いてみると、い、いたー!!! 驚きのあまり一度蓋を閉めてしまいましたが、もう一度開けて記録用に写真を撮りました。 何の写真かって?それはもちろんエゾモモンガの仔の写真です。3頭の出産を確認しました。 エゾモモンガ舎で飼育しているメスの「べに」が7月30日から巣箱にこもるようになりました。いつも外に出ているのにおかしいなと思い、思い切って巣箱を覗いてみたのが1日です。 なぜこんなに驚いているかというと、実は今年の繁殖は諦めていたからです。 5月7日「べに」とオスの「ウトナ」の交尾を確認しました。数回に渡ってしっかりと交尾していたので、これは着いただろう!と確信し準備を始めていました。どの動物も交尾を確認したら計算してだいたいの出産時期の目安を出しますが、調べてもエゾモモンガの正確な妊娠期間が分からなかったため、エゾリスの妊娠期間である40日を参考におおよそ1ヶ月半、遅くても6月末までには産まれるだろうと予想していました。 しかし6月を過ぎ、7月終盤になっても生まれる気配はなく... 繁殖期も終わるし、交尾はしていたけど今回は妊娠しなかったんだな~と思っていた矢先の出産でした。 恐らく5月以降に私の見てないタイミングで交尾していたのでしょう。 エゾモモンガは目、耳の穴は開かず、毛も生えておらず、さらには指もくっついている状態で生まれてきます。最初に見たときはあまりの未熟さに驚いてしまいました。 生まれたてはマウスの新生児と大差ないのですが、唯一違うのは目の大きさでしょうか。皮膚から薄く透けている眼球が明らかに大きいです。
生後約5日_指がくっついている
生後約2週間_指が離れ始める
生後約3週間_体毛が生えてくる
生後約35日_2頭目が開く
せっかくの機会なので、エゾモモンガ舎内で飼育している個体を紹介します。 まずは「べに」。今回出産をした母モモンガです。一般の方が保護したのちに、旭山にやってきて、今は4歳。 人工哺育のため人間を怖がらず、警戒心も薄いです。べには幼いときから人間に育てられたため、当初は育児放棄するのではと心配していましたが、心配ご無用でした。 一生懸命子育てしてくれていますが、私が子どもに近づいてもほとんど警戒せず観察させてくれてとっても有り難いです。
次にオスの「ウトナ」。保護個体で、人工哺育で育ち、今年で1歳です。若いので元気いっぱいで開園中も走り回っていることが多いです。
最後にメスの「おはぎ」。他園からやってきた個体で、約6歳の個体です。おばあちゃんですが食欲旺盛でたくさん食べます。なお、現在は治療中のため一時的に隔離しておりますが、治療が終わればこの中に戻します。
(左)ウトナ(中央)おはぎ(右)べに
エゾモモンガ舎内は巣箱を4つ設置しており、自分達の好きな場所で寝られるようにしているのですが、メスの2頭と子どもたちは、実は出産当初から1つの巣箱でみんなで寝ていました。 大体の動物は子育て中は気が立っていて、ほかの動物を警戒し寄せ付けない!というイメージがなんとなくあったのですが、べにがおはぎを追い出すこともなく、おはぎも気を遣って出て行くでもなく、毎日同じ巣箱に戻っていく2頭の様子を見ていると、この寛容さはさすがモモンガだな...と非常に感心させられます。 (私だったら自分の出産、子育て中にほかのメスが隣でぐーすか寝ていたら嫌ですけどね…) ちなみにオスは子育てに関与しないので、ウトナは窓側の巣箱で一頭で寝ているのですが、子育て中の巣箱の中に入ろうとしたらべにに怒られていました。 べになりのボーダーラインがあるのでしょうね。
【最後に】 4月から飼育員になった私の目標の1つが「エゾモモンガの繁殖」でした。 飼育の先輩方からは、旭山でエゾモモンガはいままで繁殖したことがないと聞かされていました(後日調べたところ19年前に一度産まれていましたが、短命だったようです)。 そんなこと言われたらやるっきゃない!!絶対に自分が担当のうちにエゾモモンガを繁殖させてやるぞ!!と根拠も無く意気込んでいたところ、思ったよりも早く目標を達成できましたが、正直なところペアの相性が良かっただけで、私が担当じゃなくても繁殖していただろうと思います。 なによりも嬉しいのはエゾモモンガ舎内で繁殖をしてくれたことです。令和2年に建設されたエゾモモンガ舎は夜行性のエゾモモンガの姿を日中にご覧いただけるよう、昼夜逆転施設になっています。 通常のエゾモモンガとは真逆の生活を送るモモンガたちがその中で繁殖をしてくれた、ということはストレスなく昼夜逆転できている、そしてここでの生活が自分達にとって安心できる環境だと感じてくれているのでは、と思います。 まだまだ小さい彼らですが、すごい速度で日々成長しています。最近は巣箱から出るようになり、おっかなびっくり周囲を探検しています。是非その姿を見に来てくださいね。
外の世界だー!(9/17)
【お願い】 モモンガ、リスたちにあげていたカボチャの種が底を尽きてしまいました。私一人で消費できるカボチャの量には限界がありまして…皆さんのご家庭ででたカボチャの種をご寄付頂けるととても助かります(非常にカビやすいので、洗ったのちにしっかりと乾燥させた状態だと嬉しいです)。櫻井からのお願いでした。
エゾモモンガ舎・北海道産動物舎(小動物・野鳥)担当:櫻井結夢
北海道は秋の虫たちが優しく奏で、朝晩はすーっと冷え込む季節になりました。皆様いかがお過ごしでしょうか? 7月からこども牧場でお仕事させていただいております、芦原絵莉子と申します。一度きりの人生!と京都からはるばる海を渡って参りました。これまでは幼稚園、保育園で勤務してきて、今回動物園。園とご縁の深い人生を歩んでおります。動物園にも子ども達が沢山遊びに来てくれます。子ども達や動物達と関わると何かしら面白いことが起こるのです。笑いあり癒しありの楽しい日々が過ごせること、とても嬉しく思っております。
私は僭越ながら、クジャクを担当しています。担当させていただいて間も無く、メスのクジャクが卵を温め始めました。着任早々なんとわくわくさせてくれることでしょう。お腹の下には卵が5個。何も知らなかった私は5羽の雛が生まれてくるのかも!?と、夢見心地がとまりませんでした。クジャクは28日間卵を温めます。
予定日は8/14。予定日当日はそわそわしながら朝早めに出勤しました。しかしその日は生まれず。そんなピッタリいかないのだろうと、それから毎日、今日こそはと見守りましたが、生まれず…。他の動物園の事案も調べてみると40日を越えて生まれた例を見つけたので、腰を据えて見守ることに。お母さんは変わらずしっかりと卵を抱いていますが、その後も一向に生まれる気配なし。生まれてほしい希望が強すぎて虫の声さえもヒナの囀りに聞こえてきたものです。(もちろん宙耳でした)
お母さん頑張ってます
実はそのお母さんが温め始めてから20日ほどして、別のお母さんクジャクも別の場所で卵を温め始めていました。そちらの予定日は9/3でしたが、先の例があるので、全く期待せず9/3を迎えました。また期待しすぎて気を揉むのはごめんです。ですがなんとこちらはピッタリ9/3に雛が1羽生まれたのです!!続いて9/4にも2羽。計3羽が誕生しました!!(拍手喝采)
うちの子、生まれたわ?
ヒナのかわいさといったらもうたまりません。小さくふわふわで、嘴はピンク色。頭のパヤパヤもまだありません。お母さんは子ども達のことを懸命に守ろうとして、飼育員や他のクジャクが近づくと怒ります。寝る時はお母さんの羽の中に子どもを隠して温めて眠るのです。
お母さん、飼育員を警戒中
4日ほど経った頃、1羽が少し遅れる姿が見られるようになってきました。他の2羽が越えられる段差を越えられなかったり、目を閉じてパタっと横たわる姿も。7日目の朝、はぐれて戻れなかったのか、お母さんに見放されてしまったのか、雨に打たれて弱り、亡くなってしまいました。命が誕生し、健康に大きく育つということは、当たり前ではないのです。今こうして私たちが生きて出逢って感動しているということもなんと尊いことなのか、教えてもらっている毎日です。
ところで、先に温めていたお母さんはどうなったかって?本当に不憫なことですが、9/4に卵を回収しまし た。48日間も頑張って温めたのに、生まれなかったお母さん。人間に卵を回収された翌日、なぜかぴよぴよヒナたちが。あれ?私の子、やっぱり生まれていたのね!と言わんばかりに、ヒナたちを羽の中に納めてしまう場面も。誘拐です(笑)。本物のお母さんは激怒。本当に本当に不憫でなりませんが、自然界とはそういうものなのです。
元気に育っているクジャクのヒナ
クジャクのオスが羽を広がる綺麗な姿は、今から来年の5月頃までは見ることができませんが(今年の恋の季節終了)、今はクジャクのかわいいヒナをご覧いただけます。ぜひ、クジャク舎へ見にいらしてくださいね。
こども牧場担当:芦原絵莉子
前回のブログから一日が経ちました。 どうしても近況報告を兼ねてのキリンばっかになりがちなので、カバのお話をば。
カバと言えば立派な歯。 百吉は犬歯(牙)が伸びすぎてきて、歯を削切しています。 野生下であれば、色々な物をかじって歯が削れていくのですが、動物園は何でもかじって壊されて良い物ばかりではありません。 もちろん、かじる用の丸太やガス管は用意していますが、たかがしれています。 本来この牙は、ケンカのときに使う物で、それこそ野生下であれば失うわけにはいきません。 しかし、歯が伸びすぎると、牙が皮膚を突き破って出てきたり、口が閉じなくなり細菌が繁殖したりするので、飼育下であれば必要なケアはしなければなりません。
人間では考えられませんが、歯を切るときは糸ノコでギコギコします。 ハンドサインで口を大きく開け、位置を調整してくれるので、後は口を開けっぱなしにしてもらうのですが、開けっぱなしというのが簡単で難しい。 口を開けっぱなしにしてもらうためにはどうしたらよいのか。その答えは口の中を触り続けるです。 「え?」と思う方がいるかもしれませんが、言葉の通りです。
ペタペタギコギコ
キチンと集中していないと腕を噛まれ引き込まれるので、この間は来園者に話しかけられても基本無視しています。すみません。 ただ、この方法は理にかなっていて、野生下のカバは口内の汚れを鳥につついて取ってもらうという光景が見られます。 その間は、口を開けたままジッと黙っているので、口の中をイジられるのは心地が良いようです。心地が良すぎてウトウトし出すこともしばしばです。
そして、切った牙や抜けた歯を利用して、新たな展示物を準備中です。
より立体のミュージアムを目指して(作:清水)
まだまだやりたいこと、作りたい物は溢れているので、楽しみにお待ちいただければと思います。
魚の同居は悪戦苦闘中!
きりん舎・かば館、両生類・は虫類舎担当:鈴木達也
前回のぶろぐから2ヵ月が経ちました。 レッサーパンダには、あっという間に他人扱いされていますが、マヌルネコは未だに「なぜお前がここに!?」みたいな顔をしてくれます。
さて、タイトルのとおり「ゲンキとあさひのお話」の続きです。 現在、キリンに関して12時~14時の間は展示をお休みしています。 ゲンキは継続的に薬やサプリを与えていますが、相変わらず肩の痛みをまだ引きずっているようで本調子ではありません。
問題はあさひの方で、いよいよ歩き方の違和感が大きくなってきました。 歩く際に左前肢が外側に開いてしまい、足先で踏ん張っている様子が見られます。
左前肢がグニャッてる
これが短期的なものなのか、体が耐えきれなくなってきているかは、現状定かではないですが、少なくとも足への負担はこの歩き方では大きいハズです。 そのため、負荷がかかる時間を減らすため、放飼時間を短くしています。
前回のぶろぐを見て、「砂の部屋は?」と思う方がいるかもしれませんが、結果的には砂を頑なに拒み使ってくれませんでした。 今はあさひの為に用意した砂部屋をゲンキが我がもの顔で満喫しています。
ご満悦
そのため、あさひの部屋をまたも改良し、全面乾草を引きクッション性を高める方向でケアをしています。 それに加え、先にも述べたとおり放飼時間も短くし、少しでもキリンらしく生活ができる時間が長くなるよう、出来ることをこなしていきます。
ゲンキに構われたいあさひ
旭山動物園ではやっと厳しい夏の暑さが緩み過ごしやすい季節がやって来ました。
夏は飼育事務所の冷凍庫に首につける冷え冷えリングがぎゅうぎゅうに入っていましたが、これを付けて外に出ても15分くらいでただのリングになってしまっていました。
さて、今年のととりの村についてお話したいと思います。 まずは4年前にカルガモの巣で孵ったキンクロハジロについてです。 4年前、池で泳いでいるカルガモ親子をよく見たら一羽だけなんだか黒いヒナがいる。。。 カルガモのヒナにつつかれても潜ってかわし、毎日一生懸命カルガモのお母さんについて泳いでいたキンクロハジロが、今年卵を産みました。 何の目印もない草むらで巣を作っていたので、間違えて踏んでしまわないように注意深く見守っていました。孵ったヒナは5羽で、危険回避のために鳴き声をあげたり、他のカモが近づいてきたら追い払ったり、しっかりとヒナたちのお世話をしていました。 カルガモの群れの中で育ったたくましいお母さん。ちゃんとキンクロハジロとして生きていけるのかなと心配をしていましたが、立派な母鳥になりました。 太くて黄色い足環を付けているので探してみてくださいね。
カルガモについていくキンクロハジロのヒナ(4年前)
巣を作っていた場所
立派な巣ができていました
母鳥になってヒナをお世話している様子
そして2つ目はカラスの侵入です。3年前にもカラスが入ったことがあり大変な目にあっていたので何とかヒナたちを守らなければと戦々恐々としていたのですが、今年入ったカラスはどうやら幼鳥でカラス自身も何が起こったのかわかっていない状況でした。 ととりの村の裏の木では毎年カラスが繁殖をしているのですが、この幼鳥はどこからか誤って入ってしまったようです。 網の外では親たちが大騒ぎしてカラスの子どもの様子を見にきたり餌を運んだりしていたのですが上手に受け取ることができずカモたちの餌を食べていました。 しかしカラスの子どもが餌の近くに行くと、カモたちが一斉に近づいて来て追い払われていました。 そんなある日、そのカラスが池の中の何かを取ろうとしたのか、池の中に落ちたらしく池の脇にあるオーバーフローのところにしがみついていました。 網を使ってそっと捕まえたところ、怒って作業着についていた紐を引っ張っていました。口の中は鮮やかなピンク色をしており、やはり幼鳥であることが確認できました。 その後ととりの村の裏のカラスの巣があった場所につれて行き、カラスたちの目の前で離しました。もしかしたらその後カラスから攻撃をされるかなと心配をしていましたが、それ以来カラスが一羽もととりの村の近くに来なくなりました。
ととりの村に入ったカラスの幼鳥
他にも今年はミンクの侵入事件、カメの甲羅干し、エゾリスの訪問など色々なことがあったのですが、長くなりすぎてしまいましたので他の機会にお話しできればと思います。
最後にシンリンオオカミについてですが、先日レラが死亡しましたがワッカとノチウは元気です。 数ヶ月前からレラの体調に気づき、近くにいて気にしてきたであろう2頭は私たちよりも状況をよくわかっていたのかもしれないですね。3頭から2頭になってからの関係性や変化についても今後お伝えしていこうと思います。
日陰で涼むワッカとノチウ ととりの村・シンリンオオカミ担当 原田 佳
12月から4月の半ばまで、こども牧場での勤務でしたが今年度から『きりん舎かば館』に勤務場所が変わり、1日の流れもガラッと変わりました!2月にぶろぐを書かせていただいた時は「牧場前で雪像を製作しています」という内容でしたが、製作物でいえば場所が変わってきりん舎かば館でも現在進行系で取り組んでいます! (夏期開園に合わせて展示されているものも既にあります) 旭山動物園では行動展示やもぐもぐタイム、なるほどガイドなどその動物を魅せる様々な工夫が各所にありますが、「手書き看板」もそのひとつです。 ここかば館では、カバはもちろん1階テラス前にキリンについての看板もあります。 図鑑やテレビなどで当たり前のように存在を知っているキリンとカバ。網目模様で首が長い動物。身体も口もデカい動物。表面的なことは分かっていても、普段はどんなものをどうやって食べて、どんな暮らしをしているのか。その生態は意外と知らないことばかり...。 「カバが汗のようにかいてる赤いのは何?」「うんちを飛ばすのはなんで?」「キリンはどうやって身を守るの?」「角のゴツゴツは何のためにあるの?」などなど! その動物についてふと疑問に思ったことの説明が手書き看板に載っているかもしれません!なので是非足を運んでいただいた際には、きりん舎かば館に限らず色々な看板にも注目して見ていただきたいと思っています!
看板に付いた撒き糞の跡(ここまで飛びます、探してみてね)
これからも「これを分かりやすく伝えたい!」と思ったものは、スペースの限り増やしたいと思っていますので、よろしくお願いします! 最後に少しながらカバやキリンについての「あれやこれや」を描いてみたのでそちらも載せます。ありがとうございました!
カバの!あれやこれや
キリンの!あれやこれや
きりん舎・かば館担当 : 清水駿之介
今年の夏期開園より、シマフクロウ保全のための普及啓発として域内保全関係者と動物園が連携してパネルを制作しています。 春からはシマフクロウがどんな鳥なのか?保護増殖事業って何?なぜ動物園で飼育するのか?といった内容の3部作のパネルが展示されています。その後もさらに、人工巣箱についてやフクロウの気持ちの読み取り方などのわかりやすいパネルや、野外のヒナの成長と飼育下のヒナの成長を比較できる展示など次々増えていきました。 そしてつい先日、最新作の夏休み子ども向けクイズパネルを設置しました。クイズを解きながらシマフクロウについて楽しく学べるようになっていますので、是非来園した際はこれらのパネル、展示をじっくりと見ていただきたいと思います。 これであなたもシマフクロウ博士だ!
最新作のシマフクロウクイズ!シマフクロウ舎の展示エリアにあるよ!
シマフクロウ舎・えぞひぐま館担当:大内章広
シンリンオオカミのレラ
シンリンオオカミのレラは7月27日に放飼場で自力で立てなくなり、その後獣舎で看護を続けていましたが、8月3日の朝に死亡しているのを確認しました。 オオカミの森では長女のレラ(13歳)、次女のワッカ(10歳)、末っ子でオスのリーダー・ノチウ(9歳)の3頭で飼育していました。 レラが自力で立てなくなってからは、獣舎で皮下補液や投薬等の治療を行い、飼育員が危険のないように細心の注意を払いながら餌や水を与え、馬肉をよく食べ水も飲んでいました。 また褥瘡(床ずれ)ができないように複数の飼育員で1日3回の体位変換とハエ対策のために体を拭くなどし、涼しい室内でこまめな給水を行なっていましたが、8月1日頃から食欲が減りました。最後までレラが穏やかに過ごし、少しでも快方に向かえるようにという思いで看護を行なっていました。 リーダーで父親のケンと母親のマースが死亡してから、レラと妹のワッカが激しいケンカをしてノチウが仲裁に入るということが頻繁にあり、レラが2頭の妹弟と距離をとって過ごすことも多かったですが、近年は関係性が変化し年を重ねるごとに3頭の距離が近くなっていったように思います。 レラは下位のオオカミではありましたが、給餌の際には落ち着いて待っていることができず、上位のノチウとワッカの順番の時にも割って入り食べようとするところがありました。またガイドの最後におやつをあげる時にも他の2頭にひるむことなくおやつを食べに来る様子が見られました。 昨年の秋にはレラが遠吠えに参加することが多く、ノチウがレラに強くあたる時にはワッカが仲裁に入ることもありました。遠吠えの後やガイドの始まりにノチウとワッカがレラを挟んで顔をすり寄せお互いに顔を舐めるような場面も多くありました。また、獣舎でレラに検査を行なっている時には、ノチウが獣舎の近くを何度も確認しに来る様子が見られました。
2023年秋
2024年春
最後まで群れの中でということは叶いませんでしたが、強く当たられる経験を何度しても前に出てきて餌を食べ、堂々と丘の上に座り、次第に群れの中で認められていったレラは他の妹弟に劣ることなく強いオオカミであったと思います。
オオカミの群れ社会は群れによっても属する個体の個性によっても異なりますが、これからもオオカミたちの生き様を見ていただけると幸いです。
オオカミの森・ととりの村担当 原田 佳
暑い日が増えてきたなと思っていたら、あっという間に8月突入。北海道ではあと半月もすればスタッドレスタイヤやストーブのCMが流れる頃ですね。 さて、最近のもうじゅう館で変わったことというと、4月からのアムールヒョウのデンと未来の同居とアムールトラのザリアのプチ引っ越しでしょうか。 アムールヒョウのデンと未来は繁殖を目指して同居中です。同居は至って順調で、メスの未来の発情、そして交尾も確認できています。ただお互いに繁殖経験がなく、交尾も慣れていないようで、交尾が成立しているか?という場面が多いですが、あとは成功を祈りながら見守るのみです。
アムールトラのザリアですが6月末にもうじゅう館の旧ヒグマ舎に引っ越しをしました。寝室の環境には徐々に慣れつつありますが、外へ出るのはもう少し時間がかかりそうです。(ザリアはアメリカから旭山に来た時も外へ出るのに数ヶ月かかったらしいです。) 急いでもしょうがないのですが、担当者としては室内にいるより外に出て太陽を浴びて、プールに入ってのびのびしてほしいという気持ちもあります。。。 どこかのタイミングでは外に出ると思います。それまでもうしばらくお待ちいただければと思います。
もうじゅう館・フラミンゴ舎担当:若山晃暉
7月27日の午前にシンリンオオカミのレラが外の放飼場で横たわっているのが発見され、収容し治療および検査を行いました。 放飼場でノチウとワッカがレラの首元やお尻を噛んでいたこともあり、現場を見た方は攻撃されていると思われたかもしれませんが、レラに外傷はなく、おそらく他の2頭が弱っているレラを気にかけ優しく噛んで確認をしていたのだと思います。 レラは13歳と高齢で、一般的な体力も衰えてきていますが、妹弟のワッカ・ノチウとともに生活をしていました。
これまでの経過ですが、レラは3月頃から体調を崩すことが多くなりました。 日中寝ている時間も多くなってきたため検査をしたところ心臓に原因があることが分かりました。心臓の動きを良くするお薬を与えたところ回復が見られたため投薬を続けていましたが、日によって体調の悪い日と良い日がありました。それでもガイドの最後には歩いてきて、他の2頭と同じくらいの勢いでおやつを食べていました。
現在は寝室で点滴をし安静に過ごしていますが、ノチウとワッカが網越しにレラの姿を確認できるようにしてあります。 今日はヒナ肉も食べ、自分で体の状態を右下にしたり左下にすることができています。 今後も獣医と相談しながら、少しでもレラが快方に向かうように努力していきたいと思います。
シンリンオオカミ・ととりの村担当 原田 佳
30度を越える真夏日が続き強い日差しに肌がこんがりと焼けるような気がする、と思いきや今これを書いている外では落雷と共に雨が窓を強く叩く音が響いており何とも夏の不安定な気候に驚かされておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか? 初めまして。
4月から旭山動物園で勤務しております、長屋と申します。 以前までは動物とはあまり関係の無い仕事をしていたので動物を飼育する、観察する日々が新鮮かつ楽しい反面、体力勝負!な仕事内容に己の体の悲鳴を聞きながら毎日全力で業務に励んでおります。 私はカバ、キリンを担当させて頂いておりますが、今回はカバでもキリンでもなく新たなメンバーについてお話させていただければと思います。 現在きりん舎のバックヤードでは、キリンとの共生飼育を目指してホロホロチョウを飼育しております。6月半ばに生まれたばかりの雛がやって来て1か月ほど経ちましたが、手のひらサイズだったひよこたちは今では両手でわしづかめるようなサイズにまで成長しました。
片手に収まってしまう程の小ささ
逃げ足が速く、かつ高く飛び上がることのできる強靱な脚力を持っているため、収容しているケージを軽々と飛び越え脱走し、部屋中を猛スピードで駆け回る姿を見てなんと肝の冷えたことか!まだ小さいから大丈夫だろうなどと思っておりましたが、想像していたよりもずっと成長が早くもうこんな事までできるのか!という驚きが日々絶えません。もちろん脱走防止のためケージには蓋を取り付けました。ひとまずはこれで安心です。
やって来たばかりのホロホロチョウ
現在のホロホロチョウ 画角に収まらないほど素早く、かつ高く飛びます
まだまだ羽が成鳥のものとは異なり茶色くふわふわとしたもので子供っぽさを感じますが、くちばしの先が色づいてきたり鳴き声がぴよぴよといった可愛らしいものからホイッスルを鳴らしたときのような鋭い声に変わってきておりからだの大きさ以外にも様々なところで成長を感じております。もう少ししたら切羽(風切り羽を切り、飛んで逃げるのを防ぐ処置)を行ってお外デビューもさせようかと考えております。 キリンと一緒に放飼して皆様にお見せできるのはまだもう少し先になってしまうとは思いますが、楽しみに待っていただければと思います。
きりん舎・かば館担当:長屋咲子
夏の日盛りに木陰の恋しい季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 昨年11月にこども牧場からの異動で、あざらし館の担当となりました、志子田と申します。 今回は、ゴマフアザラシにとっての一大イベント、繁殖期についてお話をしようと思います。 旭山動物園では、5頭のゴマフアザラシを飼育しています。その内、ぽちゃ丸、ましろ、麦が旭山生まれで、麦はぽちゃ丸の娘、ましろは麦の異母姉妹など、血の繋がりがあります。一方で、限られた場所での飼育となると、どうしても避けられない問題があります。同じペア同士が繁殖をし続けると、血が濃くなってしまい、近親交配の危険性も出てきてしまいます。そのため、2022年12月に、オスのマンタローと稚内市立ノシャップ寒流水族館生まれのオスのラッキーとの個体の交換がありました。 ゴマフアザラシは3?4月頃に繁殖期を迎えます。ラッキーが来てから初めての繁殖期を迎えた2023年は、メスと闘争があったり、オスとしてまだまだ受け入れられていないのか、求愛行動は見られませんでした。 しかし、2024年のラッキーは今までとは違いました!胸の辺りを震わせて水中でコンコンコンと音を出したり、大きな声で鳴いたり、メスが困ってしまうくらいずーっと傍に居るなどの求愛行動が確認できました。 そして、気になる恋の結果はというと…? ぽちゃ丸とましろのメス2頭との交尾が確認できました!はれてオスの役目を果たせたラッキー!よくやった!
交尾は水中で行います
ぽちゃ丸は何度も出産経験のあるベテランママですが、ましろは今までオスに相手にされたことがなく、もし出産となると初産となります。また、2021年の出産を最後に旭山動物園ではゴマフアザラシの仔は生まれていません。 出産シーズンは翌年3~4月なので、約4年振りの出産になるかもしれませんし、もしかしたら2頭同時に生まれる可能性もあります。しかし、まだまだ先のお話にはなりますので、まずは妊娠しているかどうか、ただただ祈るばかりです。 妊娠していた場合には、その後の経過についても皆様へお伝え出来ればと思います。それでは、お楽しみに!
何故かましろもくっついてきてゴマ団子に
あざらし館担当:志子田紗希
4月から新たにレッサーパンダ舎・マヌルネコ舎の担当になり、3ヶ月がたちました。 最初は同じに見えていたレッサーパンダたちの顔も毎日見ているとだんだんと見分けがつくようになりました。性格や行動パターンもそれぞれの個体ごとに違っていて、日々観察していると面白い発見がたくさんあり新鮮です。 さて、5月下旬にレッサーパンダ舎(アクリル側)に新遊具が完成しました。 予告などはしていませんでしたので、来園された方の中にはびっくりしたかたもいるかもしれません。
新遊具
きりん舎で以前使用していたものを再利用し、レッサーパンダたちが快適に過ごせるようにということで設置しました。簡易的な日陰としての役割もあります。 現在では、すっかりレッサーパンダたちのくつろぎスポットになっていますが、設置した当初は突如現れた新遊具に驚き一旦戻ってくる個体や、しっかりと確認した後におそるおそる登ってみる個体がいたりとそれぞれ新鮮な反応を見せていました。 野生では木の上で暮らす動物なので、高いところが落ち着くのか外に出ているほとんどの時間を新遊具で過ごしています。 来園された際はぜひ新遊具でくつろぐレッサーパンダたちを見ていただければと思います。
くつろぐ菫菫(ジンジン)
降りる菫菫(ジンジン)
くつろぐ蓮蓮(レンレン)
レッサーパンダ舎・マヌルネコ舎、タンチョウ舎担当 土井 尚哉
繁殖のためにバックヤードで飼育していたオシドリの卵が孵化し、3羽のヒナが産まれました。 初日はお隣のキンクロハジロの部屋に迷い込むというハプニングもありましたが、順調に生育し大きくなっています。
オシドリのヒナ
オシドリオス(エクリプス)とヒナ
オシドリのヒナはマガモ・カルガモのヒナと見た目がそっくりですが、頭の形が少し違うように思います。 今後来園者の方にも観察してもらえるように展示場の環境作りを頑張りたいと思います。
ととりの村・オオカミの森担当:原田 佳
旭山動物園では、4月にシマフクロウが誕生し、ととりの村では、現在カモのヒナたちがすくすくと成長していて、にぎやかな時期になりました。これらの動物に加え、こども牧場でもニワトリとアヒルのヒナが元気に成長しています。 まず、ニワトリは5月にふ化し、こども牧場のスタッフルームで羽が生え揃うまで飼育し、6月頃からニワトリ舎に引っ越しをし展示を開始しました。一方、アヒルのヒナは、6月に旭山動物園に来園したばかりで、ニワトリ同様に、今はこども牧場のスタッフルームで飼育をしています。まだ、公開はしていませんが、もう少し成長するとアヒル舎に引っ越しをする予定です。 ヒナたちでにぎやかになったニワトリ・アヒル舎をご覧いただければと思います。そして、ヒナたちの成長にもぜひご注目を!
日向ぼっこするニワトリのヒナたち
6月に来園したアヒルのヒナたち
こども牧場・教育担当:佐賀真一
今年の4月9日にシマフクロウのヒナが生まれ、旭山動物園でのシマフクロウの繁殖は3度目となりました。過去いずれも♂ロロ×♀モコのペアでの繁殖です。 同じペアからの繁殖が多くなると、国内の飼育下シマフクロウ個体群のなかで血統の偏りが生じてしまうため、今回の繁殖がこのペアでの最後になるかもしれないと思っていました。実績十分のこのペアに任せておけばヒナが生まれるのは確実なのかもしれませんが、野生下のシマフクロウの現状を考えた時に、ただ飼育下でヒナが生まれ個体が増えるだけよりも、将来的にシマフクロウの保全に繋がるような取り組みにしたいと思い、人工孵化を実施しその生まれたヒナを巣に戻すことを行いました。 これは例えば何らかの原因によって巣が放棄され、卵の状態やヒナの状態で保護される、野外で絶滅しそうな時に飼育下の卵やヒナを野生の巣に戻す取り組みに繋がる可能性があります。そのような状態にならない方が良いにこしたことはないですが、将来的にライチョウやツシマヤマネコのように野生下と飼育下、域内と域外が連携した野生動物の保全の取り組みを目指したものです。 実際に生体や卵を移動させたりといった具体的な取り組みはまだありませんが、普及啓発の面では域内と域外の連携はすでに動き出しています。今年の春から環境省主導のもと普及啓発連携チームが制作したパネルが旭山動物園のシマフクロウ舎に展示されています。とても充実した内容でわかりやすくまとまったパネルに仕上がっていますので是非来園された際にはじっくりと目を通していただき、シマフクロウを取り巻く環境や自然のことについて興味を持っていただければと思っています。このパネルの展示に関しては、さらに設置箇所や内容も増えていく予定になっています。 今後のシマフクロウの保全に向けた域内域外、官民一丸となった動きに期待が高まります!
最近のヒナの様子。親は心配そうにしていますが、高いところにも移動するようになりました
域内域外連携チーム作成のシマフクロウに関するパネル。 野外でのシマフクロウの状況や保全活動についてなど読み応えありの力作!
フクロウ・えぞひぐま館担当:大内章広
4月から動物園で働いている小西と申します。 こども牧場でヒツジを担当させていただいていますが、ヒツジとはどんな動物なのか?と調べることから始め、今ではすっかりヒツジの虜になっています。 ヒツジと聞けば、モコモコの暖かそうな羊毛に包まれている姿を想像すると思います。 こども牧場のヒツジたちもモコモコの羊毛をまとっており、触るととっても柔らかく、まるで布団のような心地よさを感じることができます。 しかし来る夏の暑さに備え、5月末に"毛刈り"を行いました。 毛刈り前は毛が多くて痒いのか、自分で柵に体を擦り付けて上手に体をかく姿を目にしましたが、毛刈り後はサッパリ・スッキリし、足取りも軽やかになったように見えます。
毛刈り前でモコモコのユノ
毛刈り後のスッキリしたユノ
しばらくはモコモコの羊毛が見られず、少し寂しい気がしますが、毛のないヒツジは今の時期しか見ることができませんので、どんな体をしているのか、じっくり観察してみてください! そして、こども牧場には今年の2月に生まれた仔ヒツジの「ナツメ」がいます。私がヒツジの担当に就いた頃のナツメは、まだ哺乳瓶でミルクを飲んでいる赤ちゃんでした。 仔ヒツジの成長と共にお母さんヒツジの母乳は少しずつ出る量が減っていき、やがて出なくなって離乳となります。同じようにナツメの成長にあわせ、ミルクの量を減らし離乳しましたが、授乳の時間になるとミルクを欲しがり鳴くので、私も飲ませてやりたい気持ちをぐっと堪えて、無事に卒乳できました。 それからのナツメは青草のおいしさを知ったのか、放飼場内に生えている雑草を食べ歩き、 時には柵の間から顔を出し、場外の草をつまみ食いするほどに…。 6月から、餌として青草を与えはじめましたが、大人のヒツジやヤギに負けず劣らず、モリモリ食べている姿は、もう赤ちゃんではなく立派なこどものヒツジです。 だんだんと体も大きくなってきて、ほんの少しだけ貫禄を感じるナツメの成長を皆さんにも見守っていただけると嬉しいです!
嬉しそうに尻尾を振りながらミルクを飲むナツメ(4月頃)
たくさん草を食べて成長中のナツメ
こども牧場担当:小西彩夏
5月11日にエゾタヌキの「うみ」が出産し、約1か月がたちました。8頭のこどもたちは順調に育っており、数日前からは親について巣箱の外へ出てくるようになりました。 今回はカメラを設置した巣箱で出産してくれたので、出産当日の様子から録画することができています。5月25日に別の巣箱へ引越しをして鳴き声だけの生存確認になり少し心配していましたが、6月1日に元の巣箱に戻ってきたので、録画による確認がまたできるようになりました。 録画を見ていると、父親の「こたろう」とこどもたちだけで過ごす時間がけっこうあることがわかりました。また、私が巣箱に近づくと警戒して怒るのはこたろうです。(うみもまったく警戒しないわけではありませんが) 夫婦で子育てをすることは知ってはいましたが、こんなにも父親が関わる姿に驚いています。
子を抱いて眠るこたろう
6月8日撮影
今後はこどもたちが外で過ごす時間が増えてくると思うので、たくさんの方にエゾタヌキの家族の様子を観察していただけると嬉しいです。
それともうひとつ、今年3月にアライグマの「もり」亡くなり、4月からは新入りの「しんしん」(オス)を飼育展示しています。今年3月に旭川市内で捕獲された個体で、年齢は不明ですが若そうな印象です。まずは環境に慣れてもらうことを優先しているので、放飼場には隠れられる場所を作っているため、姿が見えない時間もありますがご了承ください。といっても、最近はモート(脱走防止の堀)にいることが多く、姿は見やすくなっています。何度も下りるので、現在はハシゴを常設していつでも上り下りできるようにしています。
しんしんを通して、旭川でのアライグマ問題にも関心を持っていただけると嬉しいです。
モートにいるしんしん
北海道産動物舎、サル舎担当:佐藤和加子
ととりの村では、「赤ちゃんがいる!」「かわいい!」と言う声が聞こえる季節がやってきました。 最初にカルガモのヒナが孵化し、母鳥の後ろをついて泳ぐ4羽のヒナが見られました。 母鳥がしっかり面倒を見て順調に育っているようです。 一方その3日後くらいに孵化したマガモのヒナは、母鳥の後をついていかないヒナが1羽いて、人が歩く道の方へ走っていくヒナを母鳥が追いかけていく様子が見られ世話に苦労しているようでした。 カモのヒナたちは孵化するとすぐに泳いだり自力で食べ物を食べることができますが、採食場所までの誘導、危険から逃れるための警戒、雨の日や寒い日に自力で保温することができないため母鳥のお腹や羽の下に入って温まるなど、しばらくは母鳥の世話になります。 そんな親子の様子を観察したり、マガモとカルガモのヒナの違いを見つけたり、今年はモニターで巣箱の中の様子も見ることができますので、ぜひ観察してみてください。
カルガモのヒナ(左)とマガモのヒナ(右)
カルガモの親子
ととりの村・オオカミの森担当:原田佳
6年やっていた小獣舎(レッサーパンダ・マヌルネコ・ホッキョクギツネ)の担当も変わり早1カ月。 現在はカバとキリン、引き続きの両生類は虫類舎を担当しています。未だに、ふとした時に自然と小獣舎の作業をやるために体が動いており、そのたびに「あぁ、もう担当じゃないんだった」と我に返り、6年のルーティーンというのは恐ろしいものです。 担当が変わり初めて尽くし、、、と言いたいところですが、キリンもカバも代番(担当者が休みの時の担当)として通年やっていたことがあるので、基本的な作業自体は履修済ということになります。その分、自分が担当になった時はこうしたいというのをようやく出来る機会が来ました。 やりたいことを語っていく前に、まずはゲンキとあさひのお話を。昨年までゲンキとあさひは放飼場で同居していました。今期からは別々で展示をしています。 ゲンキに関しては、過去にメスの陰部が気になりすぎて、首を下げ前傾姿勢のまま活動していたことにより肩を痛めて以来、定期的にぶり返し、そのたびにケアを行っています。また、協力的なこともあり削蹄も行えています。
あさひに関してですが、先天的な骨格の変形によって、股関節が外側に開き、蹄の付け根などの関節の腫れがみられ、全体的に体重も後ろにかかっています。これは完治するものでもなく、手術云々以前にキリンの場合は麻酔を打つこと自体が、死に直結する可能性が段違いです。ゲンキはまったく悪気があるわけではなく、むしろあさひのことが大好きなので首をスリスリしに行くのですが、それが万全ではないあさひにとっては負担になるため別居をしています。もちろん、完治するものではないから放置というわけではなく、投薬や寝室の床材を砂と乾草に替え脚への負担を軽減するとともに、足元の湿度を上げ蹄が自然と削れるようにしています。また、それでもある程度の蹄のケアは必要になるので、そこに行き着くまでのトレーニングも継続して行っています。 繰り返しになりますが、これは完治するものではありません。これから体が成長するにしたがって、脚への負担も増えていくので、できるケアは積極的に行いあさひが少しでも快適に生活できる時間を長くしていきたいです。
あさひ初めての新寝室
さて、ここからは担当としてやりたいことですが、まずは共生展示。きりん舎かば館は「大きな生物の足元には小さな生き物がいて、初めて生態系が成り立つ」というコンセプトがあります。そのため、キリンとカバの足元が見れる下階にアフリカの昆虫や両生類などが展示されています。前まではキリンはホロホロチョウとモモイロペリカンも一緒に放飼していました。先にも述べたように、ゲンキとあさひは単独での展示になりますが、本来の野生下では色々な刺激を受けながら生活しています。小さな生き物で直接干渉せずとも、同じ空間に他の生き物がいるだけで精神的にも得られるものがあると考えています。 カバでもアフリカに生息している魚を入れれるよう調整中です。カバの糞がエサになったり、カバの皮膚をつついたり、本来の生き物間の作用を期待しています。 また、展示物に関しても文字だけでなく、より五感に訴えるような半体験型の展示物を随時作成しています。ただ文字を追うだけでなく見て触れて子どもも興味を持つような展示物が必要だと感じています。パネルに関しては、まずはパッと見て目につくような絵本味のある素晴らしい物をキリンカバの他の職員達が作ってくれました。
コンセプトアート
他にもシンプルに自分が驚いた物として、マイナーな需要ですが濡れたキリンの蹄の展示を行いたいです。濡れると手で曲げられるほど蹄が柔らかくなり、湿った放飼場を歩くことで立体的に蹄が削れると同時に、関節が前後左右に柔軟に使われることで硬い場所だけ歩いているよりもよっぽど脚の健康につながります。幸いぬかるむような床ではないですし、放飼場に水たまりができ歩くコースが変わるのも担当的にはありがたいことです。どうしても雨の日の動物を見ると可哀想という声が聞こえてきますが、雨の日には雨の日なりに色々なポジティブな効果があります。そういったこと含め濡れた蹄と普段の蹄を展示したいと思っています。あと、めっちゃ臭いのも感じていただければと思います。 そして、一番必要だと思っているのが屋根です。一度ゲンキが首を挟めた関係で、放飼場の雨よけを撤去しているため、雨が降ると小さなくぼみに収まらない体を詰めているのを見て、なんだかなぁと思っていました。屋根を付ける位置はもちろんのこと、キリンに破壊されない耐久性、絶対に首が挟まらないような構造、旭川の積雪量を考慮した形状など様々な要因が絡んでくるため、色々と調整を行っているところです。
文字ばっかは良くない旨を語りつつ文字量多い文章を今書いていますね。 ありがたいことに多くのマヌラー(マヌルネコファン)とレサラー(レッサーパンダファン)の方から「担当変わっちゃったんですね」とのお声をいただきます。これからもジララーとヒポラーから同じ言葉をかけられるよう、誰よりも楽しみながら動物と向き合っていきたいですね。
ふと気づくともう6月になっており、もう1年の半分が終わろうとしていることに驚いています。
4月からオランウータンの担当になり、モリトとモカとの日常も少し馴れてきた様に感じます。モリトは16歳になり、大人のオスの特徴である「フランジ」と「のど袋」が大きくなってきています。モカは8歳になり、顔はまだあどけないのですが、体はぐんぐんと大きくなってきています。
4月の閉園期間中はオランウータン館のレイアウト変更を行っていました。消防ホースを張り巡らせたり、ハンモックを作ったり、丸太を立てて穴を開けて中にエサを隠せる様にしたり、、、。オランウータンならどんな風に使うのかな?と想像しながら工夫をしたのですが、実際に使っているところを見るとうれしくなります。
今後も色々とオランウータンたちがびっくりするけれど楽しめるような展示ができるように工夫していきたいと思います。
大人っぽくなってきたモリト
何にでも興味津々なモカ
おらんうーたん館担当・獣医師:佐藤伸高
満開だった桜も散り、初夏を迎え新緑が増えて北海道にも短い夏がやってきます。先日、旭山に近い桜岡の田んぼにつがいのタンチョウがエサをついばんでいる姿を通勤途中に見られました。旭川で私も初めて見ることが出来、タンチョウを担当していたこともありうれしくおもいます。 チンパンジーたちも天気の良い日は屋外で日光浴ができ気持ちよさそうです。 室内外や寝室に消防ホースを利用したハンモックを設置しました。ハンモックを利用してくつろいでいる姿が見られればと思っています。また屋外にはエサを取る様子が見られる場所が何カ所かありますが、室内にもそのような場所ということで丸太や消防ホースを取り付けました。丸太には穴を開けエサをいれたり消防ホースにエサを隠したりしてチンパンジーが道具を活用する様子も観察できればと思います。
(消防ホースを利用したハンモック)
(丸太や消防ホースでエサを採るようすが見られるかも)
(ちんぱんじー館担当 髙井正彦)
GWが終わり、桜も散り始めていますが、これを書いている日はなんと市内で雪が降りました。さすが北海道です。 はじめまして。今年の4月から飼育担当となった櫻井と申します。 いままでデスクワークをしてきた体にムチを打ち、ヘロヘロになりつつなんとか4月を乗り越えました(旭山動物園は4月が超ハードなのです)。
私はエゾモモンガ、エゾリス、野鳥、カラス、エゾユキウサギなど、北海道に生息する動物たちを担当しています。
北海道産動物舎の中にある北海道の野鳥は、展示のレイアウトを一新しました。 獣舎の中には大きな丸太が5本立っていたのですが、アカゲラ達がたくさん開けた穴がぽっかりと空いており、これ以上突っつくところがなさそうだったので、飼育員同士で協力し合って運びだし、新たに丸太を入れました。 先輩職員に教えてもらいながら中央にはせせらぎを設置し、池もできました。やっぱり水の流れがあると雰囲気が出て「良い感じ」になったのでは!?と思います。
新たに追加したせせらぎと池。鳥が水浴びをします。
池ができたのでオシドリのペアも仲間入り。 オスの飾り羽が非常に綺麗ですが、この羽も夏には抜け落ち、雌と同じような色合いになります。
手前が雌、奥のカラフルなのが雄 この鳥、なんか見たことあるけど名前は知らないなーってことありませんか?私も足が細くてちょこまか歩く白黒の鳥が「ハクセキレイ」という名前だと、飼育担当になるまで知りませんでした。 ここにいる鳥たちは北海道の身近な鳥です。野生でも見ることはできますが、改めて観察するとみんな個性が豊かで、ここでぼーっと鳥たちを眺める時間が好きです。
こちらがハクセキレイ
憧れの飼育員になって約1ヶ月、覚えることもたくさんありますが、動物が近くにいる環境で働けることに喜びを感じます。 来園された方に北海道の動物の素晴らしさを伝えていけるよう、日々邁進していきます!
作業中、頭上にいてびっくり 北海道産動物舎、モモンガ舎ほか担当:櫻井 結夢
最近のオオカミの森では春の日差しが気持ちいいのか、レラ・ワッカ・ノチウの3姉弟が雪が溶けて出てきた土の上でよく寝ています。オオカミたちが暮らす放飼場を掃除しながら歩くと、緑の芽が生えてきているところもありやっと冬が終わったなと感じます。 今年は長女のレラが13歳、次女のワッカが10歳、末っ子のノチウ(オス)が9歳になります。3頭は4年前に父親のケンが死亡してから少しずつ関係性を築いてきました。 ケンがいなくなってから、リーダーとして他の2頭を気にかけてきたノチウ。 1年ほど前にレラとワッカに麻酔をかけて検査をしたことがありました。検査が終わり、レラとワッカがいる寝室の隣にある通路をのぞくと、寝室と通路の間にある仕切りにぴったりくっついて丸くなっているノチウの姿がありました。通路には外の放飼場へ行くことができるシュートがあるのですが、検査中は開いていたため1頭で出て行くこともできたのに、ノチウはずっとそばでじっとしていました。 今読んでいる本に、あるシンリンオオカミの群れのお話がありました。 オオカミが絶滅した地域にオオカミを再導入した際、2頭のペアとその子どもたちからなるパックを、まず囲い地に住まわせ、一定の期間が過ぎて慣れてきた頃に囲い地の一部を解放したところ、まず父親が外に出て行ったそうです。しかし母親と子どもたちは、外を警戒して出て行くことができません。 その後何日も出口は開いているのに母親と子どもたちは囲い地の中にいました。ある日スタッフが囲い地の外を点検していると、出て行ったはずの父親が、囲い地のすぐ近くで母親と子どもたちが出てくるのを待っているのを確認したそうです。このお話を読んだ時、レラとワッカの検査をしていた時のノチウの行動を思い出しました。警戒心の強いオオカミがする行動とは思えませんでした。
ノチウ(オス・末っ子)
「オオカミの社会性」は一言で言い表せないほど多くの発見があり面白いなと日々感じます。 今年ワッカの行動にも少し変化が見られました。 子どもたちだけになってからは、ワッカがレラに対し強気な態度をとりケンカが多く、レラが2頭から距離を置く様子がよく見られました。 しかし月日が経つにつれ、2頭の激しいケンカが減っていっているように思えました。ワッカが好んでレラの近くで休んだりするのも多くなったように思います。ある時はワッカのお尻にレラが頭を乗せて寝ていることもありました。そして一番驚いたのは、ノチウがレラに対し怒った際、ワッカがノチウとレラの間に入り止めようとしたことです。ノチウがレラに対し怒ることも珍しいですが、ワッカが止めに入る行動をするとは想像もしませんでした。
ワッカ(次女)
レラは遠吠えの時にはいつも寝ていたりしらっとしているですが、今年の秋は遠吠えに参加する姿がよく見られました。ケンとマースはたくさんの子どもを育ててきましたが、レラは産まれた弟妹たちの面倒を見てきました。順位は下位ではあるけど、群れの様子を見て距離を置いたり前に出てきたり、色々な経験をして自分の立ち振る舞いを確立していったように思います。そんなレラが先日体調を崩した際には、ワッカとノチウがずっとレラを気にかけ、そばに行ったり顔を舐めに行く様子が見られました。幸い次の日にはレラが元気を取り戻したため、ワッカとノチウも普段通りになりました。
レラ(長女)
そしてこの時期はシンリンオオカミの繁殖期でもあります。オオカミたちは巣穴を作ってそこで出産をします。旭山のオオカミたちは姉弟なので繁殖はしませんが、メスのワッカは色々なところに穴を掘っています。このままでは穴だらけになってしまうので、春の閉園期間に飼育員たちで土や砂利を詰めて穴を埋めます。 埋めた穴はまたすぐに掘り返されてしまうのですが、オオカミの本能を発揮してくれるのは嬉しいので、またみんなで楽しく埋めようという気持ちになります。 これから穴埋めの時期がやってきますが、オオカミたちの健康に感謝しながら、また日々の発見をお伝えできたらと思います。
遠吠えの時の様子
オオカミの森・ととりの村担当:原田佳
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肌寒い日と日差しの温かい日が入れ替わるように訪れ、三歩進んで二歩下がりつつも春の足音が徐々に近づいてくるようなこの頃ですが、皆さま如何お過ごしでしょうか。 春の訪れに先駆けて、こども牧場では新たな出会いがありました。 去る2月20日のお昼時、牧場で飼育しているヒツジの「イツカ」が放飼場の一角で座り込んでいました。 お昼を食べに来ないなんて珍しいな、などと思いつつ目の前に一掴み乾草を置いてあげて、少し目を離して戻ってきたところ……先程置いた乾草の上にヒツジの赤ちゃんが居て、「イツカ」がそれを甲斐甲斐しく舐めてあげていたのです!
ヒツジの赤ちゃんを舐める「イツカ」
生まれたての赤ちゃんにはまだまだ厳しい気温だったため、暖かい屋内へと運びしばらく飼育をしていましたが、3月4日から一般のお客さんにも観察してもらえるように第2こども牧場の一部を開放して親子のヒツジを観覧することができるようになっております。 時折跳ね回ったり、お母さんの背中に乗ったりと仔ヒツジらしい元気な行動が見られます。体重も日に日に増えてゆき、顔つきも幼児から子供の顔に、お母さんのマネをして草を食べる様子も見られすくすくと成長しています。
「イツカ」の背中に乗るナツメ
牧場の新しい仲間となったこの仔ヒツジ(オス)は「ナツメ」という愛称になりました。ヒツジの成長は速く、半年も経てば大人とほとんど変わらない大きさに成長してしまいます。小さくて可愛らしいうちに(大人になっても可愛いですが)是非こども牧場に足を運んで、親子のヒツジに会いに来てください。
こども牧場担当:堀川草太
暖かくなったり寒くなったりおかしな天気ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか? 2月20日頃、あざらし館では陸上の氷雪を全部割り、白い部分が完全になくなりました。
2月20日
「このまま春か?」と思うくらいの陽気にアザラシにも異変が・・・暖かくて勘違いしたのかいつもは3月末から4月が発情期ですが、オスがガゥガゥと発情鳴きをしていました。こんなことは初めてです。発情鳴きはこの日だけでした。
3月2日
かと思えば3月初め、今度は急なドカ雪と寒さで一気に冬に逆戻り。これが普通なのでしょうが・・・まだ春は遠そうですね。皆様も体調管理に気をつけてゆっくり春を待ちましょう。
「春?」
あざらし館担当・副園長:中田真一
ちょっと前の話になりますが、1月23日~25日に福岡市動物園で開催された「動物園技術者研究会」に参加してきました。 この研究会では日本動物園水族館協会に加盟している園館の飼育員や獣医師が参加して、研究発表を行います。 旭山からはオオカミとニホンザルに関する発表を行いました。機会があれば皆さんにもお伝えできたらと思います。 コロナ禍ではオンライン開催だった研究会ですが、昨年度からは対面開催となり、私も久しぶりの対面研究会への参加でした。 やはり対面では質疑応答も活発ですし、休憩時間などにも情報交換ができて大変有意義な会となったと思います。 インターネットやSNSが発達した中でも、動物園スタッフと直接顔見知りになると困ったときにも質問しやすくなるので、他の園館の若手スタッフが積極的に名刺交換をしているのを見て、自分が初参加した時を思い出しました。 最終日には福岡市動物園を見学しましたが、新しいゾウ舎やペンギンの施設を見ることができました。 福岡市動物園は博多中心部からも近いのですが、旭山以上に坂が多く、動物舎もその坂を利用する形で作られているのが印象的でした。 皆さんも機会があれば是非行ってみて下さいね。 今後も研究会での経験を園内に還元して、よりよい飼育を目指していきます。
研究会は博多のホテルで行われました
手前がペンギン、奥がゾウの施設です
てながざる館担当・獣医師:中村亮平
先日、えぞひぐま館で「すげー、めっちゃ人いるじゃん!大谷翔平でもいるのかよ?」という秀逸な一言を耳にしました。 冬期開園がはじまってから外の放飼場への馴致を行っている「すなすけ」を見るために集まっていた人たちのことでした。「すなすけ」があちこちに動き回るたびに、人もあちこちに動き、カメラを向け、歓声があがる、そんな一幕でした。 たしかに小さい頃の動物は愛らしく動きもまた独特なことが多いため人を魅了するのも納得できますが、動物園でのそのような光景には違和感があるのも確かです。また、旭山やヒグマだけではなくいろいろな動物で最近の「推し活」ブームのような様相を呈しているような気もしています。 奇しくもこれまでの歴史を見ていると、動物園やメディアはそういったスター動物やアイドル動物を生み出したがる傾向があるように思います。ただあまり「個」にフォーカスしてしまうと、「○○ちゃんだからかわいい」、「○○ちゃんだからすごい」となってしまい、その先にあるはずの種としてその動物の魅力に気づかなかったり、興味や関心を持つことが無くなってしまう、あるいは誤った認識を持ってしまうようになるのではないでしょうか。 旭山動物園のえぞひぐま館では、「すなすけ」に興味を持っていただいた先に、ヒグマという動物について、ヒグマと人との関わりやそれらを取り巻く自然や社会などについても知ってもらい関心を持って動物園を後にしてほしいと願っています。 そのためにもまだまだ未熟で不完全ですが、伝えていく努力を怠らないよう自分自身に言い聞かせ、自戒の意味も込めてここに書かせてもらいます。
「すなすけ」が動くと人も大移動
外に出ている「すなすけ」
えぞひぐま館・フクロウ担当:大内章広
こども牧場の隣にある動物図書館をもっと知ってほしい!と思い、一度展示動物の都合でなくなってしまったミニ動物図書館を、なんと今回復活させました! こども牧場のとなりにある、「動物図書館」の本が、こども牧場内でも読むことができます。小さなスペースですが、座ってゆっくり休憩もできますので、外が寒い!歩き疲れた!という時に休憩場所としてもご利用してください。 そして、このミニ動物図書館内には、こども牧場の動物の中でも絶大な人気を誇る、あの!「ホルスフィールドルクガメ」を展示していますので、じっくり観察ができます。
さらに!さらに!動物図書館で体験できる工作の情報や、ミニミニうんち展もありますので、こども牧場に来た際には、うんちクイズに挑戦してください。秘密のうんちが発見できますよ。 こども牧場だけでなく園内の動物たちを観察して、もっと知りたい!ここが気になる!と思ったら、動物図書館にはたくさんの動物に関する本がありますのでぜひ立ち寄ってみてください。
第一こども牧場室内にあるミニ動物図書館
ミニ動物図書館内のおすすめ本やうんち展
秘密のうんちは誰のうんち?
こども牧場担当:大河原沙織
明日からいよいよ2月。雪あかりの動物園まであと10日…。準備が着々と進められています。 ですが、最近の気温がとても温かく、雪あかりの動物園で園内を照らす「しずく型アイスキャンドル」がまだ予定の数まで達していません…。昨年の夏の暑さも異常でしたが、今年の冬の温かさも異常な感じがします。
さて、今日から雪の遊び場の製作が始まりました。 雪の遊び場では、雪の滑り台2つ(長いの短いの)と、あと2つ雪で製作をしていきます。 こちらは何ができるのか当日まで楽しみにお待ちください。
滑り台(ほぼ完成!?)
板を押さえて何かを製作中
雪あかりの動物園については、ホームページやSNSで随時情報が更新されていきます。 情報をチェックしながら、ぜひ雪あかりの動物園へお越しください。
昨年12月からこども牧場で勤務しております、清水駿之介と申します。クジャクを担当させていただくことになりました。
自分は今まで動物についての専門分野を学んできたことは一切なく、何もかも未経験な新人でございます。こども牧場の動物たちや担当のクジャクも0からの勉強になりますので基本的な情報を知っていくとともに身近な目線に立ち、独自の視点からも色々なことを発見できるように広い視野を持ち日々精進してまいります。
クジャクの飼育担当になって実際に業務にあたってみた感想を申し上げると、一言で言うなら「分からない」というのが率直な思いです。クジャクという鳥は落ち着いてる鳥かと思ったら他の個体にちょっかいをかけたり、自分のすぐ側まで来て様子を見てきたりする個体もいて性格が全然掴めない。また何と言ってもオスの羽の色、メスの首の色がどちらも美しい。どうなったらこんな色になるように身体が出来るのか、全く分からない。分からないからこそ自分はこの生き物についてもっと知りたい!そして伝えたい!そう思っています。暖かくなると外展示も始まりますので、自分も楽しみな気持ちでいっぱいです。
また現在、こども牧場広場にて雪像を製作中です!来園される皆様の前で作業してますので秘密裏に進めることは出来ませんが、完成までお楽しみに!そしてその横にはすべり台がございます。こちらの方は出来上がってますので是非遊んでみてはいかがでしょうか!(こども牧場飼育員一同すべりにすべった後に水で固めましたので耐久性は十分だと思います!)
途中の雪像とすべり台
こども牧場担当:清水駿之介
皆さんは小さい頃に乳歯が抜けた時のことを覚えていますか?なかなか取れなくて、扉に縛りつけて抜いたとか、抜けた歯を屋根に投げたとか、どんな思い出がありますか? 乳歯から永久歯に生え変わるのは人間だけではありません。タイミングは違えど、多くの動物が生え変わります。そこで、昨年発見した乳歯を紹介したいと思います。 まず一つ目がこちら
キリンのアサヒの乳歯
キリンのあさひの歯(切歯)です。 キリンには上の前歯が存在しないので、必然的に下前歯ということになります。 あさひも成長途中とはいえ大きさは3メートルほどになりますが、歯は意外と小さいなという印象です。 続いてはこちら
ライオンの乳歯
ライオンの乳歯(臼歯、裂肉歯)です。抜け落ちた日付的にフウか、レイのものですがどちらかはわかりません。 僕らの奥歯とはちがいとても鋭く、読んで字の如く、肉を裂くための歯、ハサミとしての役割をします。
ライオン乳歯コレクション
ライオンの歯は今のところここまで集まっています。見つけた歯は個別に袋に入れ、日付と種名、わかれば個体名を入れて保管しています。 記名をしておかないと数年後の自分や、別の担当者になった時にどの動物の物なのかがわからなくなり困るのでしっかりと記入します。必要になれば、ガイドなどで活用しています。 また乳歯のコレクションが増えたらお知らせしたいと思いますので、お楽しみに!
もうじゅう館 フラミンゴ担当 若山晃暉
新しい年を迎えました。久しぶりに澄み渡る青空でした。12月は記録的な積雪で、来る日も来る日もみんな雪かきに追われちょっとうんざり気味でしたので新年早々の快晴でまさに気分一新でした。放射冷却で冷え込みはしましたけど・・・。 恒例になるのではと危惧された?年越しインスタライブは、何せ今年の干支の語呂合わせ的な生き物が旭山にはいないので、いろいろと画策したのですが断念となりました。どこかホッとしつつも残念でもありました。その代わりにと言うことでもないのですが大晦日と今日の日中に連続インスタライブとなりました。 大晦日のライブ配信中に自分的には感動的なことがありました。ホッキョクグマのルルの行動です。ルルは今年30歳を迎えます。昨年の暮れから寝室から屋外放飼場に出るのを渋ったり、放飼場でも休んでいる時間が長くなったりと老いたのかなと感じさせる行動が目立つようになっていました。そこで担当者が気分転換にとピリカとルルの放飼場をチェンジしてみたのです。ルルにすると2021年の冬のピリカ出産の都合でサツキ(23年10月死亡)と共に数ヶ月過ごして以来の屋内観察側の放飼場です。 ライブ配信中にバシャバシャという水の音が聞こえたのでもしやと思い駆けつけると、ルルが水中から上がりポリタンクをくわえて遊んでしました。そして自分に気づくとかくれんぼしている(獲物を狙う、待ち伏せる)ようにこちらを探し水中に飛び込んできました。 旭山動物園の飼育展示コンセプトのひとつに、動物にとってお客さんがストレスの対象ではなく興味を抱く猫じゃらしのように観える環境を具体化して動物のもつ本来の行動を引き出す、動物も来園者もwinwinになる、という考え方です。他にもお客さんをカラスではなくスズメに見えるように、などなどあるのですが。 ルルも昔は来園者が少ない時間帯によくやっていた行動です。20年近く前をふと思い出す光景でした。キラキラとした目が若い頃のルルでした。とてもうれしい出来事でした。 今年もあっという間に過ぎていく予感がしますが、一日一日を大切に動物園の持つ可能性を一つでも具体化し、階段をできるなら駆け上がる年にできればと思います。 今年もよろしくお願いいたします。
インスタライブ中の一コマ
園長:坂東 元
フッターです。