ページの本文です。
ページのニュースです。
今年も終わります。皆さんにとって今年はどんな年だったでしょうか?旭山動物園は動物のことに関しては充実した年でしたが、運営という点では昨年以上に厳しい年となりました。ただSNSでの発信には工夫を凝らしてきました。来園していただけない状況の中でも、飼育動物たちと皆さんの心を繋ぐ架け橋としての役割を果たせるまでになってきたかなとの手応えを感じる年にできました。環境問題や生物多様性の保全に向けた実際の取り組みという点では不完全燃焼でした。 年の暮れ12月はホッキョクグマの誕生とチンパンジーのキーボの死という出来事がありました。旭山でのホッキョクグマの出産は21年ぶり(出産後育児をせず子は死亡)、このまま順調に成長し繁殖成功となると実に40年ぶりということになります。ちなみに繁殖成功と表現するのは生後半年以上生存してからとしています。今回の子、実は旭山動物園開園当初から飼育していた初代ホッキョクグマのシロウとユキから数えて5世代目の玄孫(やしゃご)になります。命が繋がってきたことに感無量でした。 そしてキーボの死。53歳の波瀾万丈の一生でした。旭山に来園したのが昭和50年で6歳の時でした。当時動物園はチンパンジーを園内に連れ出して芸をさせることが一般的な時代でした。時代の変化と共に芸の時代は終わり、動物本来の行動や営みを見てもらう場に変わってきました。キーボは激動の動物園の変革の中で暮らしてきました。旭山動物園最後の生き証人のような存在でした。キーボの死は旭山動物園の歴史の大きな一区切りのように感じます。キーボは隣室で群れの仲間に看取られながら最後を迎えました。その前日の晩、寝たきりでほぼ反応がなくなっていたのですが、自分が声をかけるとよろよろと起き上がり、じっと見つめてきました。しばらくして「おまえか!」と気づきふらつきながらも手の甲をこちらに向けて腕を伸ばし威厳を示しながら挨拶をしてきました。就職して初めて間近で見たキーボは芸をするかわいらしい動物ではなく計り知れない力を秘めた猛獣でした。キーボをとおして飼育することの意義を常に考えさせられ教えられ学びました。 速さはないけど確実に一歩ずつ踏みしめて歩む牛(丑)、我が道を単独で駆け抜ける虎(寅)。今年が終わり新しい年を迎えたいと思います。
キーボ 死の前日
行く年来る年(わかるかなー?)
園長:坂東元
こども牧場で飼育しているイヌ(ラブラドール・レトリーバー)の「だいち(オス)」の小屋を改築しました。 前までは、寝ていると見えにくく、扉がなかったため、雪が降っている日は室内にいました。 今年は、もう少し外で頑張ってもらおうと、動物園にあるもので作り直しました。 暖かいのか、小屋の中でのんびりしていることが多いです。 こども牧場では、私たちの身近にいる動物のイヌを通して、動物の気持ちになって、やさしく接してあげることや動物に興味を持って、知ってもらいたいと考えています。 旭山動物園に来た際は、ぜひこども牧場を見に来てください。
改築した小屋
だいち
こども牧場担当:山藤洋介
みなさま、40年間お待たせしました。
旭山動物園で実に40年ぶりに、ホッキョクグマの繁殖に成功しました!
2002年に「ほっきょくぐま館」がオープンしてから、はや19年。悲願の繁殖成功となりました。
あべ弘士さんの壁画がついに現実に
ホクトとピリカのペアリング経緯はYoutubeの公式ページに動画をアップしていますので、どうぞご覧ください。
↓ホッキョクグマ ホクトとピリカのペアリング日記 リンクはこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=e_1dvEZ_jio&t=94s
過去のオレ、ピリカ出産したぞ!(自己との会話)
なお動画の中で大西が「旭山でのホッキョクグマ繁殖は41年ぶり」と言ってますが、40年ぶりの間違いでした。すみません!
ホクトもピリカも、本当によくがんばった!彼らこそ最大の功労者であることに異論はありません。
でも動物たちだけじゃなく・・・ほっきょくぐま館の設計者、歴代のホッキョクグマ担当者、種別調整者、動物移動担当の職員など「園を挙げての努力がついに実った」のだと思います。
「優秀なだれか一人」の成果より、ときにはチームの方がより大きな成果にたどり着くこともある。ホッキョクグマ繁殖成功は、それを証明したのではないでしょうか。
3頭出産した子のうち2頭が死亡してしまったのは本当に残念です。しかし残る1頭は順調に生育しています。
出産時の子の体重は推定500g。体重約200kgの母親ピリカの400分の1です。
人間の体重に換算すると、体重60kgの女性が150gの子を産むことになりますから、未熟児どころじゃありません。
400分の1しかない子を懸命に育てるピリカ
小さな小さな命を大事そうに抱えて世話するピリカ。初産ながら育児に奮闘するピリカを見ていると「元気に育ってくれ!」と応援せずにはいられません。
さて恒例となった「産室のモニター展示」ですが・・・只今、展示用のモニターを発注しております!
配線が50m以上になりそうで大変ですが、モニターが到着次第設置する予定ですのでお楽しみに。
またYoutubeにも動画をアップする予定ですので、そちらもどうぞお楽しみに!
(ほっきょくぐま館・アフリカ水槽担当:大西 敏文)
今年はなかなか雪が積もらない旭川ですが、気温は日に日に低くなってきており、寒さが苦手なカバたちには厳しい季節になってきました。
冬が近づくと、お父さんカバの百吉やお母さんカバの旭子は、外への扉を開けてもなかなか外へ出ようとしなくなります。さらに雪が降ってくると、いよいよ出ていかなくなり扉の前のスペースで寝そべり、籠城状態になってしまいます。
健康のために短時間でも日光に当たらせたい飼育係と、暖かい部屋でぬくぬく過ごしたいカバとのせめぎ合いの毎日です。
さらに百吉は週1回の寝室プール掃除の後はプールにも入らなくなり、次の日まで陸で寝て過ごすようになります。
新しく入れた水はヒーターで加温されているのですが、百吉はもっとぬるくなるのを待ってから入りたいようです。
そんな中、迷いもなく寒い外へと駆け出して雪と戯れ、水換え後のプールにもいつも通り入ってくれるのが、もうすぐ2才になる凪子です。
寒くても元気いっぱいの凪子
ヒトもカバも「子どもは風の子」なのは同じのようで、雪を楽しんでいるように見えます。
雪の中で過ごすカバに会いに、ぜひ動物園にお越し下さい。(籠城していたらごめんなさい)
(かば館・飼料担当:佐橋 智弘)
すくすくと成長しているアミメキリンの「あさひ」が、もうそろそろ1歳になります。振り返るとあっという間の1年間でした。飼育担当として毎日のように見ていると体が大きくなっているように感じないのですが、背の高さを測ってみると確実に大きくなっていることがわかります。生まれた日の背の高さは約175cmで、早くも飼育担当より背が高く、見下ろされたことを覚えています。このぶろぐを書いている時はだいたい270cmですが、1歳になる12月28日までに280cmくらいにはなるような気がします。1年間で1メートルも背が高くなる動物なんて他にいないのでは無いかと思います。
体重は量ったことがないのでわからないのですが、背の高さの割には重そうに見えないというか、いわゆるヒョロッとした体格をしているように感じます。ですが、顔を見てみると、生まれた時に比べて少しゴツゴツしてきたように感じます。
キリンのオスはメスに比べて頭がゴツゴツしているのですが、それは3歳くらいになってから目立ち始める特徴なので顔を見ただけではオスかメスかはわからないと思います。
例年と比べると遅くはなりましたが旭川にも雪が積もるようになりました。多くの方がキリンはアフリカの動物だから寒いのが苦手だと思っているのではないでしょうか。確かに寒いのが得意ではないのですが、「あさひ」は-1度くらいの気温でもスッと外に出てきます。むしろ「結(ゆい)」の方がじーっと外を見て中々出てきません。「あさひ」は初めての冬や雪に興味津々なのかもしれません。天気の状態や「あさひ」の様子を見ながら放飼時間を判断しています。今のところは午前中が「結」と「あさひ」の放飼の時間で、午後が「ゲンキ」の放飼です。今後寒さが厳しくなってくれば不定期での放飼を考えています。皆様にご来園いただいた際に「あさひ」が放飼場に出ていない(というかキリンが誰も出ていない)こともあるかと思いますが、できるだけ多くの方に「あさひ」の成長をご覧いただければと思います。
生まれた日の「あさひ」
写真2:最近の「あさひ」。初めての雪に興味津々?
獣医師・きりん舎担当:佐藤伸高
11月11日に旭山動物園は冬期開園しました。
ぺんぎん館の前にはトボガン広場が設営されました。
設営された渡り橋に早速登るペンギンもいました。
ぺんぎん館にはキングペンギンの雛が2羽いるのですが、ちょうど冬期開園のタイミングで2羽が放飼場に出ている時間が長くなりました。
雛が長く茶色の第2幼綿羽でいる期間は来年の3月下旬頃までです。
現在、タイミングが合えば雛が親から餌を貰っているところなどを見ることが出来ると思います。
是非旭山動物園に足を運んでいただき、春夏とは違った動物達を観察して頂ければと思います。
トボガン広場は充分な積雪が確認され次第オープン予定です。
(ぺんぎん館担当:高橋 太郎)
みなさん、秋です。食べてますか?
ゴマフアザラシはこの時期、冬の寒さにそなえ脂肪をつけるため食欲が増します。厳冬期の脂肪の厚さは10cmにもなります。が旭山のアザラシたち、現時点ですでにぽっちゃり気味。今は一頭あたり3~4kgの魚を食べていますが、現状維持か?気持ち増やすか?考えているところです。
もりもりです
写真1
旭山ではホッケとオオナゴ、2種類の魚を与えています。食べ方に特徴があり、ホッケはエラやウロコが引っかからないように必ず頭から、オオナゴはツルツルしているので頭からでも尻尾からでもどっちからでもいいようです。
上がホッケ、下がオオナゴです
食欲旺盛なアザラシたちに、ぜひ会いに来てください。
頭から丸呑み
(副園長・あざらし館担当:中田 真一)
冬期開園まであと残り4日。冬期開園に向けての準備が各所で行われています。
今回は冬展示をしないインドクジャクの収容をお伝えします。
現在18羽を飼育していますが、1羽1羽捕獲をし、足環(個体識別するための足輪)をチェックし、室内へ運び入れます。足環が見えづらくなっているものもあるので、新しいものに取り替えたり、今年繁殖した個体(2羽ともメスでした)には初めて足環をつけたり、そのような作業をしながらあっという間に室内に収容が終わりました。
足環を付け替えてるところ
無事に収容完了
これから来年の春までは、暖房付きの暖かい室内で過ごします。これからオスのクジャクは、きれいな羽がまた新しく伸びてきます。来年の春、みなさんにお会いする時には、また立派なきれいな羽が生えそろったオスが見られます。
新しいきれいな羽が少し伸びてきています
冬の間見ることができないクジャクですが、元気に過ごしておりますので、来年の春をお楽しみに。
こども牧場・教育活動担当:佐賀真一
先日しいくにゅーすでお伝えしたとおり、10月21日にブラッザグエノンのモモが出産しました。だんだんとお腹が大きくなっていましたが「もう少し先かなぁ」と思っていたので、出産当日の朝は驚いて二度見しました。
モモはしっかりと赤ちゃんを抱いていて授乳も確認できたので、出産翌日から放飼場へ出ています。時期的に気温が低い日が多いので長い時間は出せませんが、ご来園の際にはぜひご覧ください。
赤ちゃんの毛色は濃い金色で、1歳3か月の兄・マモルは金色とおとなカラー(オリーブグリーンのような色)の間の毛色です。モモが2歳で来園した際にはおとなカラーだったので、マモルもあと半年ほどでおとなカラーになるかと思います。毛色の変化にも注目です。
<ブラッザ親子>
7月に生まれたアビシニアコロブスの『アクイラ』はやんちゃに成長中です。最近は母から離れて遊ぶことも多く、ひとりで動き回っていたり兄姉に遊んでもらっている姿をよく見かけます。こちらは生まれたときの真っ白な姿からずいぶん変わり、黒い部分の毛が濃くなっています(薄いグレーから始まり、濃くなっていきます)。あと半月ほどでほぼおとなカラーになりそうです。
<アビとアクイラ>
3月に生まれたワオキツネザルの『マカロン』も元気いっぱいです。まだ一回り小さいので、見分けやすいです。先月、白樺の枝葉を放飼場に設置したところおとなたちと一緒に枝に飛びついたり枝をしならせたりして遊んでいました。体重計に乗るのもすっかり慣れ、定期的に体重測定できています。
サル舎にいる3種の中ではワオがいちばん寒さが苦手なので、最近は放飼中に寝室へ自由に入れるようにしています。それでも全頭が寝室に入ってしまうことはほとんどなく、出窓のヒーターで体を温めたり、温まったら遊んだり、天気がいい日はみんなで団子になったりしています。
<マカロン>
そんなわけで、ご来園の際にはぜひサル舎にもお立ち寄りください。
遠方からはまだ来園しにくいかと思いますので、日々の様子は公式SNSにアップしますのでご覧ください。
サル舎・北海道産動物担当:佐藤和加子
日に日に冷え込む中初雪も観測され、冬の訪れを間近に感じるこの頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 動物にはそれぞれ生活に適した環境があります。クジャクのような本来温かい地域で暮らす動物は、季節の変化に応じて飼育する環境を大きく変えることがあります。クジャクといえば7月に雛が生まれていたことをご存じでしょうか。
生まれて間もないクジャクの雛の様子。頭の飾り羽もまだ生えそろっていない
孵化からおよそ3ヵ月経った2羽のクジャクの雛ですが、大きく成長しました。生まれた当初は親鳥の足元を走り回って、危うく踏まれてしまいそうな小さい体でした。最近は自力で高い止まり木にも飛んでいけるようになり、羽毛も大人のそれに生え変わって見た目の大きさ以外はほとんど同じ姿になりました。それでもまだヒヨコのようにヒヨヒヨと鳴き、母親について歩くのは変わっていません。
現在の雛の様子。構造色で緑色に見える大人の羽毛が生えている
11月4日からの一週間ほどの準備期間を経て、11月11日から旭山動物園は冬季開園期間に入ります。寒さが苦手なクジャクは外放飼のままでは旭川の冬に耐え切れないため、暖房のきいたクジャク舎の室内に入ります。そのため、冬季開園期間中クジャクの姿を見ることはできませんが、その間にも雛は成長を続け、春が来る頃には立派な大人のクジャクになっていることでしょう。 親鳥の後ろをついて回るクジャクの若鳥が見られる期間もあとわずかです。動物園にお越しになった際は、ぜひクジャク舎に足を運んでみてください。
こども牧場担当:堀川草太
みなさまこんにちは。こども牧場担当鎌上です。長かった臨時休園が終わり、園内にお客さんの賑やかな声が戻ってきて、心から「よかったなあ」と思っています。
さて、こども牧場では、臨時休園中も再開園に向けて土木作業を続けていました。なかでも大きく変わったのが、ヤギが渡る架け橋です。ヤギ、ヒツジの放飼場とヒツジの寝室を仕切っていた柵を、一部ヒツジの寝室側に移動させて、放飼場を拡大。放飼場が広くなったので、ヤギの架け橋を延長し、その終着点にお立ち台を作りました。これで、ヤギの橋は放飼場をぐるっと一周することになります。
<ヤギとヒツジの放飼場 どこが変わったかわかりますか?>
私が飼育員になる前、お客さんとして動物園に来たときは、こども牧場の柵や橋は、すべて業者さんが作っていると思っていました。動物園に異動してきてすぐ、こども牧場の飼育員さんに「丸太を立てるために深さ40cmの穴を掘ってくれ」とたいした説明もなく言われたときには、「何言ってんだこの人・・・」と不安になったものです。それが今では、私が新人の飼育員さんに、「柱を立てたいからここを50cm掘って」と言っているのですから、人は変わるものだなとしみじみ感じます。きっと、私に穴を掘れと言われた新人さんも、「こいつはイカれてるぜ・・・」と思ったことでしょう。
再開園の少し前に完成した架け橋ですが、今年の春にこども牧場にやってきた3頭のヤギたちは、できあがったその日に走って渡っていったそうです。苦労して作った展示を動物たちが使ってくれたときはとてもうれしい気持ちになるのですが、一番うれしいのは、お客さんがそれを見て「ヤギすごい!」と歓声をあげているのを見たときです。これからも、こども牧場は、作って、壊して、作って、壊してを繰り返して、動物たちもお客さんも楽しめる放飼場を作っていきますので、動物園を訪れた際には、放飼場のどこが休園前と変わっているか、探してみてください。
(こども牧場担当:鎌上 塁)
6月26日に生まれたキングペンギンのヒナ(No.52)が9月23日に死亡しました。生まれて間もない頃から体調を崩すことがたびたびあり、治療をしながら人工育雛をしていました。
今まで生まれたなかで一番小さな個体でしたが、体重は10キロくらいまでに成長していました。
元気に育ってくれると思っていたので残念です。死因は現在調査中です。
ぺんぎん館・ダチョウ担当:田中千春
突然ですが、飼育員というのは担当動物にとってどういう存在であるべきなのか。
この考えは、動物園ないし、飼育員個人でも答えが違うと思います。
今回はマヌルネコのグルーシャのお話。
小獣舎の担当になって今年で3年目。
ここ1.2年でマヌルネコの知名度が飛躍的に上がったなと感じることがとても多くなりました。
最近では「マヌルネコのうた」も話題になりました。
かくいう私はマヌルネコが旭山動物園にやってくるまで名前すら聞いたこともなく、3年間マヌルネコの飼育をしていても、まだまだ分からないことだらけです。
一般の人が飼っているイエネコは、人間が飼いやすいように長い長い年月を経て改良を繰り返され現在の姿となっています。
なので、世界最古の猫とも言われるマヌルネコは、イエネコのようにエサが欲しかったり、撫でて欲しくてすり寄ってくるなんてことはありませんし、近づこうとすると逃げていきます。
隠れながらこちらの様子をうかがう
とは言うものの、グルーシャなりに心のセーフティゾーンはしっかり決めているようで、来園者が檻越しに見る分にはリラックスしています。が、私が来園者と同じ位置で見ていると警戒されてしまいます。
毛づくろいや、うたた寝の途中でも、ひとたび私が視界に入ると大慌てで高台の岩場に逃げ込み、体をかがめて警戒モードに入ります。
私が見ている間は、エサも食べないし、収容の時間になっても帰ってきません。
なので、私は担当者でありながら、いまだにグルーシャの欠伸や、砂浴びなんか見たことがありません。
目が合っている間は帰ってこない
そんなこんなで、私よりも来園者の前の方がリラックスしているので、「あぁ、グルには格別嫌われているんだなぁ」と思っていました。
実際、飼育員は動物に好かれていると思われている方が多くいますが、飼育員ではなくて、エサの入ったバケツや、鍵の音に反応していることがほとんどです。
毛づくろいを見られていたことに動揺して固まる
話は進みますが、今年の春はマヌルネコの放飼場を一新しました。
3メートルを超える丸太などは一人で運べるわけもなく、チェーンソーで切り分けて運んでいたので、グルーシャにとっては相当騒がしかったと思います。
当のグルーシャは寝室内のいつもいる高台の定位置からじっとこちらを見ていました。
同期間に小獣舎の扉の改修工事を業者が行ってくれました。
いざ業者の方を獣舎に入れるとグルーシャの姿がどこにもありません。
結果的にはグルーシャは、寝室にある小屋の中にひっそりと隠れていました。
確かに寝室に小屋はあるのですが、今まで全く使っていたことも、使った形跡も全くなかったので、グルーシャが小屋に入っていたことにとても驚きました。
先ほど述べたように、私がどれだけ目の前でチェーンソーを回していても、丸太をガタガタ運んでいても高台から見ていただけなのに、知らない人が建物に入るだけで、小屋の中に逃げ込むグルーシャ。
そんな姿を見て、実は誰よりも信頼できる存在になれているんだなと勝手に嬉しくなりました。
冒頭に述べた、飼育員のあり方。
飼育員になった時から変わらない私個人の回答は、「たとえ嫌いな人間という種の中でも、最も信頼される存在でなくてはならない」です。
私は、旭山動物園の飼育動物はペットではなく、あくまで野生動物の延長であると考えているので懐かれる必要はないですし、人間を避けるのも当たり前のことだとも思っています。
今までそういった信念をもって取り組んできた仕事で、自分の目指していた姿になれていたと感じさせてくれた、小さくて大きな出来事でした。
これから冬になり、毛変わりもしてより丸々ずんぐりとする季節です。
今年は放飼場にも雪がたくさん入るようになっているので、雪の中を探索するグルーシャも見れるかもしれません。
先述した通り私はそんな姿は見れないと思うので、見れた方はぜひ教えてくださいね。
(小獣舎・両生類ハ虫類舎 担当:鈴木達也)
じゃじゃーん!!
これはイトマキヒトデの裏側です。
ちなみに表側はこんなかんじ↓↓
ヒトデは見たことあってもエサを食べる様子はなかなか見たことないのでは?・・・ということで紹介します!!
今回のエサは「オキアミ」エビみたいに見えるのがそうです。
こんなかんじでピンセットにエサをはさんで近づけると・・・あとは自ら回収していきます。
吸盤みたいに見える所(管足)で移動させます。
どんどん真ん中に運んでいって・・・
真ん中に見える半透明の所(胃)、これでエサを包み込んで消化していきます。
こっちは違う日にもっと大きな魚を与えた時の写真ですが・・・より胃がわかりやすいですね。(真っ白なのがエサ)
なかなか衝撃的ですよね・・・自分の身体の外に胃を出してしまうだなんて!
海の生物ってホント不思議がいっぱいですねー。
(ぺんぎん館担当:木下 友美)
8月29日に、今年3羽目のキングペンギンが生まれました。
キングペンギンは産卵したらすぐに卵を孵卵器へ入れ、抱卵中の親には偽物の卵を抱かせています。今回は本当の親へヒナを戻すことができず、同時期に無精卵を産んだ別のペア(仮親)に育ててもらうことにしました。
飼育ニュースでお知らせした通り、ヒナの孵化後しばらくは飼育係が育て、仮親が抱卵している偽物の卵と交換しました。卵からヒナに急に変わっても仮親は違和感なく自分か孵したと思って受け入れてくれました。
ヒナは右のペンギンの足元にいます
キングペンギンの子育ては来春まで続きます。開園したら様子を見にいらしてくださいね。
(ぺんぎん館・ダチョウ担当:田中 千春)
9月に入り、北海道のテレビではスタッドレスタイヤのCMが始まり、夏が名残惜しい今日この頃です。
さて、あの記録的に暑かった夏が名残惜しいみなさんに、少しでも夏の気分を思い出してもらえるように、この夏のくもざる・かぴばら館のハイライトを少しお届けしたいと思います。
クモザルのチャコがトマトを頬張り、ハープは水中に沈んだトマトに狙いを定めています。このように夏野菜を与えたり、冷凍したブドウやバナナなどのフルーツで暑さを和らげました。また水に沈める、浮かべるなど普段と異なる与え方で少しでも暑さが紛れないかなとやってみました。
続いては、普段からあまり水に入っていることが少なめな旭山のカピバラですが、さすがに暑かったのか朝と夕方は水に入る時間が少し増えたような気がします。日中は日陰でも、日向でも、関係なく陸上で寝ていることが多かったですが。。。
以上、この夏のくもざる・かぴばら館のハイライトでした!
開園再開した際には是非秋のくもざる・かぴばら館を見に来てください。
(くもざる・かぴばら館 フラミンゴ担当:若山 晃輝)
今年ととりの村で生まれたキンクロハジロと、保護できたマガモ・オシドリが大きくなってきたので、それぞれを成長に合わせた場所へ移動しました。
保護で来たオシドリは左目が見えません。一羽で育雛していた時は、いつも鳴き声が聞こえてきて、掃除をするたびに逃げ回り、壁に衝突するなどの心配があったのですが、ちょうど同じ時期に生まれたキンクロハジロと同居したところ、キンクロハジロがオシドリにくっついて歩きました。
オシドリは最初は動揺していた様子でしたが、一日も経つとくっついて寝たり一緒に行動し、鳴くことも少なくなり落ち着いて日常を過ごすようになりました。
また、保護で来たマガモも、同じくらいの大きさのキンクロハジロの雛と同居しました。最初はクチバシで攻撃するなど落ち着かない様子でしたが、間に仕切りを入れ同じ育雛箱の中でしばらく育雛したところ、広いスペースに移動した頃にはすっかり馴染んでおり、一緒に泳いだり餌を食べるようになりました。
雛の頃であれば、違う種類でも一緒に過ごすことで少し落ち着くんだなと新たな発見でした。
大きくなったマガモとキンクロハジロは水禽舎の裏にある繁殖棟というところで秋まで過ごします。
そこは大きなプールと土の陸があり植物も生えています。外敵から守られ一日中外で過ごせる場所です。
2羽は最初、初めての景色と音の中で座って動かず陸からプールをじっと眺めていましたが、餌を置くとしっかり食べに来たので安心しました。
ここでたくさん運動して体力をつけて、冬には大人のカモたちと合流するのが目標です。
マガモとキンクロハジロ
クチバシも羽も立派になりました
オシドリとキンクロハジロ については、まだ綿羽なためマガモたちがいた育雛スペースで過ごすことになります。
育雛箱の中より日光が入り広い場所で、さっそくパン箱プールに入り泳いでいました。
外に出て一日中過ごせるような大きさに成長し、幼鳥の羽が生えるまでここで過ごします。
オシドリとキンクロハジロ
今年は保護された2羽の雛を育雛することになりましたが、人工育雛には人が手を加えたことにより本来の動物としての行動ができなくなったり、野生に帰れないなどのリスクがあります。
母鳥は卵に直接触れて、温めたり、回転させたり、時には卵から離れたりしてお世話をするのに対し、孵卵器でふ化させる場合は、同じ温度・湿度を保ち同じ時間に回転させることはできても、卵の状態を感じ取りながら調整することはできません。また自然の中で育った雛と人工育雛では成長の度合いも違うことを考えると、やはり自然の力に任せることが一番です。
飼育下においても、どこかのタイミングでその動物の生きる力を信じて手を離していく作業があります。
目の前にいる動物を守りたいという優しい心を持っている人がいることを嬉しく思うと同時に、野生動物についてどこまで人が介入するのか、その前にできることはないのか、もっと考えていかなければいけないと思いました。
(ととりの村・オオカミの森担当:原田 佳)
前回ブログで報告していた6月生まれの2羽のイワトビペンギンが巣立ちしました。この2か月間は色々とハラハラしましたが、元気に育ってくれてひとまず安心しています。
2羽を群れの中からはすぐに見つけられないかもしれませんが、成鳥と比べると目の上の黄色の飾り羽が短いのと、目の色が黒っぽいので(成鳥は赤っぽい)見分けがつきます。
現在閉園中ですが、開園したら2羽を探してみてください。
奥が成鳥、手前の2羽が6月うまれです
お盆が終わり、夜の動物園が終わり、夏の終わりを感じる旭川です。
今年の夏は北海道らしくない暑さが続き、旭川も30度を超える日が続きました。
さて、サル舎は今年は2頭の赤ちゃんが誕生し、元気に成長しています。
3月14日に生まれたワオキツネザルは昨年の双子以上に大胆な性格で、おとなたちに負けない勢いでおやつを取りに来ます。体重計にもひとりで乗れるようになり、現在は1kgを超えています。性別はまだ確定できていませんが、ホワイトデー生まれということで「マカロン」という名前にしました。そうそう、昨年の双子の名前を公表していませんでした。2頭ともオスで「レジー」と「ロジー」です。ナスカの娘が「リン」「ルー」なのでレとロがつく名前…と考えて、です。
<体重測定中>
7月7日に生まれたアビシニアコロブスはまだほぼ真っ白ですが、日に日にやんちゃになっています。しばらくはずっと母親にだっこされていましたが、最近は遊ぶときに母親から1メートル以上離れることも。自分から兄・姉のもとへ行くこともありますが、基本は母親と一緒にいます。どうやら母の食事中はわりと自由に遊んでいいらしく、朝イチや午後のおやつの時は活発に動いている姿をご覧いただきやすいです。性別はオスで名前は「アクイラ」にしました。七夕生まれ→彦星→アルタイル→ワシ座→「アクイラ」です。
これからだんだんと黒い部分が増えて、「小さいコロブス」になるのは生後4か月ころです。毛色が変わっていく様子もSNSでおしらせできればと考えていますので、ぜひチェックしてくださいね。
昨年5月生まれの「あんず」もまだまだこどもで、相変わらずのおてんばっぷりを見せてくれています。もう少しアクイラが大きくなったらあんずと遊ぶ様子も見られるかな?と楽しみです。
<生後3日目>
<7月16日 母仔とあんず>
<8月19日 左目の上のほくろ(?)がチャームポイント>
昨年7月生まれのブラッザグエノンのマモルも元気いっぱいです。1歳になりましたが、こちらはまだこどもの毛色です。ゆっくりおとなになっていくのでこれからも成長の様子を見守っていただけたら嬉しいです。
<キュウリをたべるマモル>
6月に2羽、7月に1羽、ニワトリのヒナがふ化し、順調に成長しています。現在は大人のニワトリたちと暮らせるように、同じ部屋で徐々に慣れさせています。ニワトリは闘争が激しく、ヒナが攻撃される事もあるため慎重に様子を見ていく必要があります。私も掃除の際に蹴られることがあるのですが、鋭い爪が当たると、とても痛いです。
ニワトリといっても、こども牧場にいるのはハクショクレグホンという種類のニワトリで、卵をたくさん産むように改良された家畜種の動物です。そのため毎日卵を産みます。ですが、卵にはヒナが生まれる有精卵と、ヒナにならない無精卵があります。交尾がなければ有精卵を産むことはありません。私達がスーパーで手に取る卵はほとんど無精卵といわれています。
こども牧場では、オス2羽、メス7羽を飼育しています。なので交尾があると有精卵を産む可能性があるため、ニワトリがお腹の下で卵を温めている様子が確認されると、有精卵かもと予想し、人工的に孵化させます。その際、卵に光を当てて卵の中の様子を確認する「検卵」をして有精卵か無精卵かを判断します。もちろん予想が外れ無精卵という事も多々あるのですが、その場合なぜニワトリはこの卵を温めていたんだろうと、私は疑問に思います。ニワトリが卵を温めるのは冷たくて気持ちがいいからなんて言われたりしますが、不思議ですね。
ふ化したばかりのヒナは黄色く、フワフワしていてとてもかわいいです。しかし、そのかわいさは一瞬で、1週間も経つと、翼が生えはじめ、色もだんだん白くなり、お尻には尾羽が目立つようになり、かわいいというより立派なニワトリに成長していきます。ぜひ成長中の様子を見ていただけると嬉しいです。
私の子どもの頃はお弁当に毎日のようにたまご焼きが入っていました。私たち人間の食卓にとても馴染みのあるニワトリの卵ですが、ふ化するのを見ると卵=食べ物ではなく、卵=命なんだなと実感する瞬間でもありました。卵だけでなく、私達が命をいただいている動物たちはたくさんいます。美味しくいただく前に「いただきます」と感謝の気持ちはとても大切にしたいなと思いながら、日々ヒナの成長を見つめています。
ふ化して数日のヒナ
成長中のヒナ
こども牧場担当:大河原沙織
7月13日から続いた旭川の連続真夏日。観測史上初の18日間連続をこえ8月8日までの27日連続で途絶えました。
この間、猛暑日も10日を数えました。内陸の上川盆地にある旭川は夏は短くてほどよく暑く、冬は雪が降り寒くてしばれるところです。
私も旭川で生まれ育ったので体の感覚も自然と四季を感じながら調整できるのですが今回の暑い日々が続いたのはさすがに堪えるものでした。
おそらく旭山の動物たちにとっても気が滅入るものだったと思います。担当動物のタンチョウも湿原地帯を拠点に生息していますので真夏日期間はプールに脚をつかって涼んでいる様子がいつもより頻繁にみられました。
涼んでいるタンチョウ
旭山ではメスの個体1羽飼育しています。2020年2月にオスに先立たれ寂しくなりましたが元気に過ごしています。
しかし、昨年からのタンチョウ舎前での施設工事がはじまったり、1羽になってから仲間を呼ぶような声を出したり、羽毛や羽を頻繁に羽繕いをして肌が見えるまでになってしまったりしてしまいました。
新たなオスの導入には少し時間がかかりそうなので、何か解消してあげたいと昨年夏の期間だけマガモ2羽を同居させたところ羽がはえて一定の効果がありました。
今年も昨年に続きマガモのメス3羽を夏の間同居させております。ぜひ見にください。
タンチョウとマガモたち
(チンパンジー・タンチョウ担当:高井 正彦)
7月18日にゆっくりロードで飼育しているエゾユキウサギに2頭の仔が生まれていることを確認しました。どちらの仔もここまで元気に過ごしています。
隠れている仔ウサギ
エゾユキウサギはノウサギの仲間であり、カイウサギ(家畜化したアナウサギ)とは違い、生まれたときから毛が生えそろい、目は開き、耳も聞こえ、数時間のうちに動き回れるようになります。そして、親は仔からは離れたところにいて、授乳の時以外は基本的に仔に近づきません。仔も草の根元やかげになる場所で、じっとしてほとんど動きません。ほったらかしに近い状況に見えますが、これはエゾユキウサギの生存戦略と考えられます。
捕食者に対して隠れる、逃げる以外の対抗策を持たないユキウサギにとって、敵に見つからないことが生き残る上で最も重要です。親が常に仔に寄り添っていると敵に見つかりやすくなってしまうので、仔は動かずに自らの痕跡と気配を最小限にし、親も授乳の間の短い時間だけ仔の元へ行くことで、敵に見つかるリスクを減らしているのです。
ふとみると小さなウサギの仔が置き去りにされているように見えるので心配になりますが、ユキウサギの仔育てはこれで正解なのです。もちろん野生でもこのような仔育てをするので、仔ウサギが育児放棄されたと思われて、人に保護されてしまうことがあるようです。もし野生の仔ウサギが草むらにポツンといても、むやみに手を出さないようにしてください。離れたところに親ウサギがいるはずです。
エゾユキウサギの仔育てはあっという間で生後3~4週目で離乳、その後親離れとなります。仔ウサギたちは日に日に大きくたくましくなり、すでに赤ちゃんというよりこどもウサギという感じになっています。とはいえまだまだ小さく、目立たないところで隠れてじっとしていますので探してみてくださいね。
(エゾユキウサギ担当 中野 奈央也)
4月からさる山・エゾシカの森を担当しています畠山です。
旭山動物園の管理事務所から飼育事務所へ再び戻ってまいりました。
飼育スタッフとしては、7年のブランクとなり、気持ちだけは新人です。
飼育を離れて7年の間に、動物たちの世代交代、飼育スタッフの世代交代があり、新鮮な気持ちでリ・スタートしております。
ニホンザル・エゾシカとも、まだまだ個体の見分けもままなりませんが、動物たちの健康、来園者の皆さんの笑顔を目標に頑張りますので改めてよろしくお願いいたします。
(さる山・エゾシカの森担当 畠山 淳)
昨年ととりの村では、6羽のキンクロハジロが卵を産み抱卵しましたが、カラスの侵入があったため、それらの卵を孵卵器で孵化させて人工育雛で育てました。
今年も大池で4羽、バックヤードで2羽のキンクロハジロが卵を産み抱卵しました。
たくさん卵を産んで温めていても、途中で中止卵になってしまったり、蛇からの食害により抱卵することを諦めてしまったり、なるべく自然に近い形で育って欲しいと思っても、そう簡単にはいかないものだと痛感する毎日でした。
そんな中、6月27日に早く孵化した雛が1羽巣箱から飛び出し、大池で泳いでいました。
雛はキンクロハジロの群れについて行ってはいるものの、その中に親鳥はいなく、雛をお世話をしてくれる成鳥がいないと、親鳥や兄弟にくっついて体を温めあったり、蛇や他の鳥から身を守ることができないため、保護することにしました。
保護した当時、体重は30gでとても小さかった雛ですが、今では大きくなり、よく食べよく泳いで過ごしています。
その後も、繁殖棟(バックヤード)で抱卵していた卵がかえり、現在2羽のキンクロハジロの雛を育てています。
来年は、今年の経験を生かし、他の動物からの食害について対策を練っていきたいと思います。
キンクロハジロのヒナ(7月生まれ)とオシドリのヒナ(保護)
キンクロハジロのヒナ(6月生まれ)とマガモのヒナ(保護)
(ととりの村・シンリンオオカミ担当 原田 佳)
アフリカ水槽のひとつ、イベリアトゲイモリ水槽に入れた熱帯スイレンが開花しました!
ひそかに4月に球根を入れました。「ティナ」という品種です。
最初はこんな状態でした
スイレンは日光が大好き。でもアフリカ水槽には日光がほぼ入りません。
そこでスイレンを開花させるためだけにスポットライトも導入しました。
スイレン用ライト。大物女優並みの待遇?
この効果もあって順調に生育し、7月2日には花芽が出てきました!
7月15日。蛇のように水上に伸びてきた花芽
でもここからさらに長かった・・・7月21日、待望の開花!
美しいです!
ほぼ人工光だけの環境でも、熱帯スイレンを咲かせることができました。
スイレンの花は朝開き、夕方に閉じます。イモリ水槽でも朝咲いていた花は、14時30分ごろ閉じていました。花を見られるのは午前中限定かもしれません。
朝開き、夕方閉じる、それを3日ほど繰り返すとその花は終わります。でも株の調子が良ければまた花芽が伸びて、次々と花を咲かせるはずです。
日本では古くから、睡蓮鉢でスイレンを育てる文化がありました。水鉢を庭に置くとボウフラが発生しますが、鉢の中でメダカを飼うことでボウフラを食べてくれるし、メダカのフンはある程度スイレンが栄養にしてくれる。小さなビオトープの完成!というわけです。
アフリカ水槽ではスイレンを熱帯スイレンに、メダカをイモリに置き換えて「アフリカ版・睡蓮鉢」というコンセプトに仕上げてみました。
ティナは園芸品種ですが、原種はアフリカ産といわれます。
フランスの画家モネは睡蓮を多く描きましたが、ある時モネは熱帯のみに咲く青スイレンをどうしても描きたくなり、アフリカからはるばる取り寄せて自宅で育てました。しかし開花させられず、やむなくモネは青スイレンを想像しながら描いた、というエピソードが伝わっています。
モネは見ることができなかった青スイレン、アフリカ水槽でご覧いただけますよ。
(余談ですがモネの「睡蓮」の絵が今年の5月にオークションにかけられて、77億円で落札されていました。)
厳しい暑さが続きますが、来園されても熱中症にならないよう、クーラーの効いたかば館で青スイレンを見ながら涼を得ていただければ幸いです。
イベリアトゲイモリも見てあげてね!
(アフリカ水槽担当:大西 敏文)
今年の4月から旭山動物園で働いている大村です。
これからよろしくお願いします!
私はあざらし館の担当なので最近のあざらし館のことをお伝えしていこうと思います。
今回は5月から取り組んでいるトレーニングについてです。
今は主に麦とうるちの2頭とトレーニングを行っています。しかしトレーニングって何するの?何のためにやるの?と思った方も多いのではないでしょうか。
分かりやすく簡単にお話しようと思います。(私は細かいところまで書きたいのですが話が「かなり」長くなるので簡単にします。)
1つ目は「何をするの?」ということについてです。
まずアザラシはペットではありません。そのため簡単に近くに来てくれたり、触らせてくれたりすることはほとんどありません。
つまりアザラシは基本「人が近づく、触られる=恐怖、不安」のように最初は考えて逃げてしまいます。
まずはアザラシに人は怖くない、一緒にいると楽しい存在として見てもらう必要があります。ただこれがすごく大変なんです、、、。
時間をかけて徐々にお互いの距離を縮めていくことが必要になってきます。
そして距離を縮められたら少しずつ触ったり慣れてくれば注射だってできます。
このトレーニングを行っていれば毎回捕まえたり麻酔をかけたりしなくて済むようになります。
トレーニングを始めたばかりの麦
2つ目は「何のためにするの?」
トレーニングを始めた1番の目的は「動物・人のお互いが安全に健康を管理するため」です。
動物園で暮らしている以上私たちが健康を管理していかなければいけません。そのため検査や治療などの負担やストレスを減らすために日々トレーニングを行っています。
皆さんはトレーニングと聞くと何を思い浮かべますか?
調教、サーカス、ショー、筋トレなどなど様々なことを思い浮かべる方がいるのではないかなと思います。私の中ではトレーニングとは言葉の通じない動物とコミュニケーションをとる事が出来る方法だと考えて毎回アザラシと接しています。
なので旭山動物園来ていただいた皆さんには私とアザラシが会話しているように見えていたら嬉しいな~と思ってトレーニングを行っています!
トレーニング中の麦とうるち
少し難しい内容でしたが最後まで見てくださりありがとうございます。
毎日アザラシたちもできる事が多くなってきているのでぜひ多くの方にあざらし館の新たな取り組みを知ってもらえるよう発信していこうと思うので楽しみにしていてください!
あざらし館内でもトレーニングの様子を動画で公開しているのでそちらも遊びに来ていただいたときにチェックしてみてください!!
他のアザラシたち
(あざらし館担当:大村 凌也)
6月15日に生まれたイワトビペンギンの2羽のヒナは、ただいま順調に成長しています。このヒナには前回のブログとは別の孵化前のお話があります。
現在別々の親に育てられているヒナ2羽は、実は兄弟(姉妹?)なのです。本当の親は初めて産卵する若いペアでした。若いオス親は、一羽で抱卵を続け、メス親がずっと側にいるのに、交代しませんでした。抱卵も子育ても一羽ではできませんから、同時期に無精卵を産んだ2組のペアがいたので、それぞれに一羽ずつあずけることにしました。
ペア形成などに少し問題が起きた親の卵を、取り上げて人が育てることはできますが、上記のようにして、できるだけペンギンはペンギンに育ててもらいます。そうすることで無精卵のペアも繁殖の機会ができるし、ヒナもペンギンらしく育ちます。
先にうまれたヒナと育てのメス親
後にうまれたヒナと育ての両親
6月17日と26日にキングペンギンが孵化しました。
この2羽の両親は、一組は産卵後にオス親が、もう一組は両親とも数日しか抱卵をしませんでした。2羽で協力して卵を孵化させないと、ヒナを育てることができません。このような場合、同じ時期に無精卵を産んだ他のペアがいれば、そのペアに卵をあずけることができるのですが、今年は同じ時期にそういったペアがいませんでした。人が育てると、将来の繁殖の時に人についてきてしまうことがあるので、なるべく避けていましたが、今年はやむをえず、飼育係が育てることにしました。
ヒナは現在バックヤードで育てており、展示する日程は未定です。展示ができるようになったらお知らせいたします。キングペンギンは大人になるまでに約9ヶ月かかります。これから鳥にしては長めの子育てを、ペンギンスタッフ一同で頑張っていきます。
これから2羽に給餌です
6月17日うまれ(6月30日撮影)
今年の3月からゆっくりロードのエゾクロテンの繁殖を目指してお見合いを始めました。少しずつ同居の時間を長くして、現在は1日中お互いの部屋を自由に行き来できるようにしています。
ゆっくりロードのテン舎はお見合いのことを考え、部屋と部屋の間の壁(網)の一部を窓のようにして鉄板を抜くだけでテンが隣の部屋へ行けるようにしてあります。
同居開始当初はオスがメスの部屋に入ることがほとんどでメスが怒ってうなりながら逃げていましたが、最近はメスもオスの部屋で過ごしたり、2頭でメスの部屋でそれぞれ落ち着く場所で過ごしたりしています。
<同じ部屋で過ごす2頭>
エゾクロテンは6月頃に交尾し、翌年の4~5月頃に出産します。妊娠期間が長いわけではなく、受精卵を着床させずに体内に保つ「着床遅延」をしているのです。着床は2~3月頃で、その頃にまた交尾期のような行動をとることで着床し妊娠が始まると考えられています。
繁殖がうまくいくように願いながら観察を続けていきたいと思っています。
<カメラを設置して行動を記録しています>
北海道産動物舎・サル舎担当:佐藤和加子
しいくにゅーすでお知らせしたとおり、6月15日にイワトビペンギンが2羽孵化しました。
実は、はじめに孵化したヒナは、孵化の6日前に卵殻の一部にヒビが入り、無事に孵化できるのか、それとも孵化前に死んでしまうかと心配していた個体でした。
ヒビが入ったのを発見した時、親がら取り上げて卵を検査しました。そのとき卵の中のヒナはまだ生きているようでした。ヒビの部分は、ちょうどヒナのいない気室のところギリギリの場所で、ヒナの体に傷は付いていないかもしれないと思い、元気でいてくれと祈る気持ちですぐに孵卵器へ入れました。親にはその代わりに偽物の卵を預けました。その後、孵卵器の中で予定通り無事に孵化し、一安心。ヒナの健康状態に問題はなさそうだったので、親の偽物の卵とヒナを交換しました。親はすり替えられたとは気がついていないので、自分で孵したと思ってヒナを受け入れてくれました。
体が小さく生まれた個体ということもあり、元気に成長するのか心配でしたが、今のところ親からたくさんエサをもらって順調に育っています。体重もみるみる増えています。ヒナの期間は短いので、ぜひ早めに見にいらしてください。
卵のヒビ
孵化して二日目
今年の4月、第2こども牧場に5頭の仲間が増えました。その5頭の近況をお伝えします。
4月19日来園のヒツジのサンとニコ(どちらもメス)。来園当初は人が近づくと全力で逃げ、放飼場に出たばかりなのにすぐに小屋に帰りたがっていました。しかし、最近ではゆっくり近づくと逃げることも少なくなり、少しずつ行動範囲が広がっています。また、臨時休園期間中には毛刈りを行いました。毛でモコモコの姿しか知らなかった私は「え、こんなにスリムだったんだ!」と驚いたものです。皆さんも夏仕様のサンとニコをぜひ見に来てください。
夏仕様のサン(左)とニコ(右)
次に、4月30日来園のヤギのもみじ、よもぎ、こむぎ(3頭ともメス)です。
この3頭はまだ成長の途中なこともあり、日々小さな変化を感じています。なかでもこむぎは成長が著しく、徐々に角が見えてきたり体が大きくなるなどの外見の成長はもちろん、1頭で橋を駆け回ったり先住ヤギに近づいていったり(先住ヤギははじめは気にしていましたが最近はあまり気にしていないようです)と行動の面も変化を感じます。
とはいえ、まだ生後2か月の仔ヤギです。まだまだ子どもらしい一面も見られます。大人の階段を登るこむぎを温かく見守っていただきたいです。
来園当初のよもぎ(左)とこむぎ(右)
今のこむぎ
もみじ
そういう私も4月来園の飼育員。旭山歴は5頭とほとんど変わりません。5頭の同期と一緒に旭山動物園に慣れていけたらと思っています。
新しく仲間に加わった5頭を今後もよろしくお願いします!
(こども牧場担当:泉 小春)
旭山動物園で広報を担当している松尾です。
飼育担当ではありませんが、今回、新しい取組の実施に当たり、特設のホームページを開設しましたので、ご案内をさせていただきます。
本園では、動物の飼育・展示のほか、様々な事業を行っておりますが、中高生や、大学生を対象にした事業は少なく、何か一緒に、連携した取組はできないものか考えていたところ、過去に携わったイベントの関係で、筆耕いただいた書道の先生からいただいた名刺に、描かれていた「ペンギン」のことを思い出しました。その絵は、黒色の濃淡により、愛くるしくも、今にも動き出しそうな躍動に満ちたものでした。
「これだ!・・・。」
しかし、墨画のコンクールとなれば、対象はおそらく限られてしまうし、絵画コンクールもこれから実施する予定で、何かイベントチックにはできないものかと思い描いていたところ、市内の催事等で、書道パフォーマンスが行われていることに気付き、大きな用紙に動物の絵を主体とする墨画そして、メッセージを書いてもらうという、旭山独自のスタイルを考案しました。
その対象として、これまでに連携した事業の取組が少なく、書道パフォーマンスの実施経験があり、複数の参加が期待できる市内の高等学校と連携して行わせていただくことになりました。
その後、高等学校書道部顧問の先生にも相談させていただき、実施手法や審査基準を設定して、今回、ホームページを開設する運びとなりました。このページを通じて進捗情報をお知らせし、開催への機運を高めていければと考えています。参加校の紹介につきましては、次回の更新にあわせて行う予定です。
(園内・広報担当 松尾 英将)
ホームページはこちらから
本事業PRイラスト(オオワシが筆を運んでいる様子をイメージ)
シンリンオオカミ・マースの一生は波乱に満ちていた、といえるでしょう。
1才足らずでカナダから旭山にやってきて、早々に他のオオカミに前足を咬まれ、大けがを負ってしまいました。
連日、獣医に吹矢を撃たれ麻酔治療。計り知れない肉体的・精神的ダメージを負いましたが、懸命な治療によりなんとか快復しました。
そして2011年に出産し、マースはついに母親に。マースは通算9頭もの子をもうけ、群れの立派なαメスとなりました。
仲睦まじい(ロックしている)ケン&マース
うれしい反面、新たな不安も生まれました。オオカミの群れは上下関係が厳しく、順位闘争に負けたものは群れを追い出されたり、殺される場合もある、といわれます。オオカミを野生に近い「群れ飼育」する以上、野生同様の悲劇が起きる可能性を否定できないのです。
オオカミは寿命が短く、子はどんどん成長する一方、親はどんどん年老いていく。いつか力関係が逆転したときにどうなるか?前足に後遺症が残るマースの事は特に気がかりでした。
頂上に立つマースと子供たち
しかし結果的にはケンもマースも天寿を全うし、心配したような闘争はありませんでした。おっとりした性格のマースは早々にαメスの地位から陥落しましたが、隠居オオカミ?として群れでの居場所を見つけたようでした。
オオカミの群れは決して「仲良しファミリー」などと綺麗事では語れない。けれども、残酷なだけでもない。本やネットの知識だけではわからない、オオカミ社会の奥深さをケンとマースから学びました。
マースの一生を見届けたことで、怪我をさせてしまったマースに少しでも償うことができていたら嬉しく思います。
旭山での一生は幸せなものだったかい?
オオカミ担当は自分の飼育係人生で大きな転機となりました。ケンとマースから学んだ多くの事をこれからの担当動物に活かし続ける限り、彼らは僕の中でいつまでも生き続けてくれる、そんな気がします。
(アフリカ水槽・???担当:大西 敏文)
動物園の飼育員にとって最も重要な仕事の一つに獣舎のカギの管理があります。飼育動物はさまざまですが、いわゆる猛獣や大型類人猿など危険な動物もいます。これら人間にとって危険な動物の場合は、カギのミスが飼育員をはじめとする人命を危険にさらす、重大な事態に繋がってしまいます。もちろん小型、中型の動物であっても逃がしてしまわないよう、常にカギの管理は徹底しています。
カギの重要性はみなさんにとっても分かりやすいと思いますが、今回はそのカギを掛ける対象、つまり獣舎の扉について紹介していきます。
各獣舎には飼育員が作業で出入りするための扉が必ずあるのですが、この扉は獣舎ごとに違います。扉にカギを掛けるのは安全管理として当然ですが、カギをしっかり掛けたとしても扉自体が破壊されてしまっては元も子もありません。動物によって扉の強度が違うわけです。猛獣系にはがっちりした扉が必要ですが、力の弱い小型の動物ならばそこまでの強度は必要ありません。
例として3つの扉を紹介します。
1つ目はカラスの扉です。
カラスは知能が高く、器用で、目も非常に良いので、カギをかけ忘れると自分でかんぬきを外して扉を開けてしまう恐れすらありますが、力は弱いです。扉は軽めでさほど強度は高めておらず、かんぬきは1つです。
2つ目はライオンやトラの寝室扉です。
大きく重く頑丈で、かんぬきは2つです。彼らが扉に全体重でのしかかったり、勢いをつけて体当たりしたり、ヘビー級ネコパンチを繰り出したとしてもびくともしない強度に作られています。
3つ目はオランウータンの寝室扉です。
オランウータンの獣舎は元々ゴリラで使われていたもので、ゴリラに次ぐ大きさとパワーを持つ大型類人猿オランウータンも同程度の扉強度が必要と考えられます。
オランウータン用の扉はホッキョクグマ、ヒグマの扉と並んで現在の旭山動物園で最も強靱な扉の1つです。
非常に重くゴツゴツしており、かんぬきは3つです。
動物のもつパワーや体重、危険度でいえば、オランウータンよりもトラ、ライオンの方が上です。しかし扉の強度的に言えばオランウータンの方がよりゴツく、強力につくられているように見えます。かんぬきの数も多いです。
これには理由があり、扉の強度は動物の体重やパワーだけで無く、「扉に対してどのような力を加えることができるのか」も含めて考えなければならないからです。
トラやライオンのパワーは恐るべきものですが、扉への力のかかり方は限定的です。大抵はグーっと押されるか、大きな衝撃がドンとくるかのどちらかでしょう。
しかしオランウータン(チンパンジーも同様)の場合は全く違ってきます。
人間とは桁の違うパワーで扉を押す、引く、たたきつける、ガンガン前後に揺らすなど、扉にかかる力の向きは実質360度で、瞬間的な大きな衝撃もあれば、小刻みに衝撃を与え続けられたりと非常に多彩です(実際にやるかどうかは別として、それが可能であるという認識をもつことが安全管理の面で重要)。
扉は金属製なので、こわいのは金属疲労の蓄積、その蓄積という面で大型類人猿が扉に与える力は驚異で、十二分な扉強度が必要になるわけです。
ということで今回は扉に着目してマニアックな話をしましたが、次はもっとマニアックな話のネタをなにか考えておこうと思います。
それでは!
(オランウータン・北海道産動物(草食系・野鳥系)担当:中野 奈央也)
5月25日の朝、シンリンオオカミの「マース」が死亡しているのを確認しました。
「マース」は「ケン」との間に子を産み育て、長い間この旭山動物園でオオカミファミリーのお母さんとして飼育されてきました。
白い毛色をしていて、性格はおっとりマイペース。
普段からどの個体よりもエサを食べたがる、少し食いしんぼうなところがある個体でした。
そんな「マース」に変化が起きたのは5月22日のことでした。
朝から「マース」がいないと連絡があり探してみると、オオカミたちがいつもいる岩山のすぐ近くにオオカミたちが 掘った穴があり、そこから顔を出しこちらを見ている「マース」がいました。
私たちが近づくと穴から出てきてこちらを向いて伏せ、離れるとまた穴に戻っていきました。
帰り際にまた見に行くと、他の3頭は「マース」の近くで寝ていました。
時々「マース」に近づき、どの個体なのかは確認できませんでしたがクンクンと鳴き声がしました。
次の日も、その次の日も「マース」は朝から穴の中にいました。
他の3頭も同じように「マース」の近くで寝たり、周りを歩いたりしていました。
そして5月25日の朝、「マース」は穴の近くで園路側に顔を向け横になり動かない状態でした。
他の3頭は伏せの状態で岩山の上からこちらを見ていました。
外傷はなく、他の個体と争った様子もありませんでした。
解剖の結果、死に至るほどの大きな病気はなく、老衰・心不全ということでした。
生きている以上いつかはやってくる死。
野生とは違い動物園には獣医師もいるし、病気や怪我をした時には手術もできます。オオカミについては、独自の社会性を持っているため、入院や隔離などをすることにより、群れの関係性を壊してしまう恐れもあるため、病気や怪我をした時の対応も気を使います。
「マース」は死亡するほんの数日前までよく食べしっかりと歩き、群れの中で最後を迎えました。
旭山動物園にはたくさんの種類の動物たちが暮らしていますが、私たち飼育員が動物のことをよく見て理解することによって、その動物らしく、その個体らしく死を迎えることができるように考えていきたいです。
また、動物たちの生き様を伝えていけるような命の伝え方ができるといいなと「マース」の最後を見て思いました。
「レラ」・「ワッカ」・「ノチウ」は、「マース」の死後も元気に過ごしており、「ワッカ」が上げた尻尾を振りながら「レラ」に近づいていったり、「ノチウ」が「ワッカ」にクンクン鳴きながら近づいていったり、3頭で顔をくっつけたりする様子が見られました。
「ケン」と「マース」がつくりあげた群れは子どもたちだけになってしまいましたが、今後とも、みんなに慕われ立派に群れを率いて来た「ケン」と、おっとりマイペースに群れの中で一生を遂げた「マース」の背中を見て育った旭山動物園のオオカミたちを見て楽しんでいただけると幸いです。
マース(2021年4月撮影)
元気に過ごしています
マースにお花をありがとうございました
オオカミの森・ととりの村担当:原田佳
ほっきょくぐま館で飼育してるサケですが、5月31日で孵化して5ヶ月経ちました。
4月10日に放流した時はおおよそ体長5センチ体重3グラムほどでしたが、5月31日はおおよそ体長8.5センチ体重4グラムへ成長しました。
4月10日の時点ではまだ背鰭や尾鰭は透き通っていましたが、現在では海での成魚のように背鰭や尾鰭の先端に黒色素(メラニン色素)が沈着してきました。
きっと4月に放流され降海したサケも同じような成長をしていると思います。
今後もサケの成長や変化をお伝えしていきたいと思います。
ぺんぎん館担当:髙橋太郎
5月になっても肌寒い日が続いていましたが、やっと春らしい気持ちのいい日がやって来ました。
春だからというわけではないのですが、何か最近ちょっと心が浮き立つことがあったかなと考えてみると一つありました。それは久しぶりにやった爪のお手入れです。
この仕事では伸びた爪は邪魔なので普段から短く切っています。そんな爪でも形を整えて表面をピカピカに磨くところまでやると、見た目もさわり心地もよくて仕事中もなんとなく触ってしまいます。爪切りはめんどくさいことの一つですが、きちんとやってみるといい気分が続くものだなと思いますが皆さんはどうでしょう。
さて、人である私は爪の手入れを定期的に道具を使っておこなっていますが、動物たちはどうやって手入れをしているのでしょうか?爪の形は平爪、鈎爪、はたまた蹄など様々ですが、それらの爪はそれぞれに役割があり、動物たちは常に爪を使っているので特に意識しなくても自然とちょうど良い状態に削れていきます。ある意味手入れが行き届いているといえます。その完成度は動物園で働いているとごくまれに体験する機会があります。
例えばワシやフクロウの仲間の鈎爪は獲物を捕まえる武器ですが、動物園で捕獲に失敗して足で捕まれた際、爪が革手袋越しに手に食い込んだ時には痛みに悲鳴を上げました。また、チンパンジーは人と同じ平爪ですが、おやつをあげた時にちょっと爪で手をさすられるとまるでピーラーでむかれたように薄皮が剥けたこともあります。
そんな経験もあって、動物と相対する時は爪にも充分注意を払って仕事をしています。ただ何事も例外はあって、老齢だったり、どうしても運動量が足りない場合は爪(蹄)が伸びすぎ、歩くのに支障をきたしてしまう動物もいるので飼育員が切ることがあります。当園だとキリンの雄の蹄が伸びすぎるので蹄を切るための訓練を行った結果、定期的に切ことができる様になりましたし、高齢なヤギたちは定期的に保定して蹄を削っています
爪は人でも健康のバロメータとも言います。皆さんもたまには爪のお手入れに本腰を入れてみるのも良いかもしれませんね。では!
チンパンジーの爪は人と同じ平爪ですが・・・
旭山動物園主幹:池谷優子
今年度、アフリカ水槽では新規に動物を導入しました!その名も・・・
ウガンデンシス・オオツノカナブン です!
上の写真がオス。4月に羽化しました。そして下の写真が、
メスです。3月羽化。
あさひやまの動物の中で、おそらく一番長い名前ではないでしょうか。ウガンダにすむ角を持ったカナブン。だからウガンデンシスオオツノカナブン!
オスには立派な角があります。なかなかカッコイイでしょ?
アフリカ大陸では大型のカナブンやハナムグリが繁栄しています。そのブン、大型のカブトムシの仲間が少ない、といわれています。
「これだけ大きくてツノもあるなら、もうカブトムシに分類すればいいじゃん」そう思ったあなた!カブトムシとカナブンのちがいを教えてあげましょう。
カブトムシやクワガタは飛ぶとき上翅(甲羅のような翅)も下翅も開いて飛びますが、カナブンは上翅を閉じたまま、すき間から下翅を出して飛びます。そのためカブトムシより素早く飛ぶことができる、という違いがあるのです。
成虫寿命は数か月と思われます。まずはこのペアを繁殖させるのが至上命題ですね。
かといってオス・メスを常に同居させると交尾しすぎて更に寿命が縮んでしまいかねないので、別のケースで飼育しながら、担当者の判断でペアリングさせてみようと思います。
5月10日には最初のペアリングをしました!
深く交尾できたかどうかはハッキリしませんが・・・。今後の産卵に期待です!
今年は繁殖優先ということで、お客さんからはちょっと見づらい状況もあるかもしれません。でもそのブン、ぶろぐ等でカナブン情報をお伝えしたいと思っておりますのでご了承ください。
みなさんこんにちわ~ 新人(2年目)飼育員の荒木地です。
これまで発信してきた『シマフクロウ繁殖記』ですが、本日最終回はみなさんにご報告があります!ついに最終回です~。
前回までの内容についてはこちらから!第1弾、第2弾
「片目のないメス モコ」
「オス ロロ」
3月9日、13日にメス(モコ)が卵を産みました。有精卵であれば「4月中旬に孵化予定!!」とお知らせをしていました。
ですが、残念ながら卵はどちらも「無精卵」でヒナは誕生しませんでした!(>_<)
絶滅危惧種のシマフクロウ、期待が大きかっただけに残念ではありますが…今シーズンは繁殖ならずという結果になりました。来年以降にこうご期待です~。
ただ、飼育員としては、この繁殖期を通し2羽の絆の深さを感じることができ大変貴重な時間でした。モコもロロも現在は一段落して、落ち着いています。今後とも、どうぞ温かく見守っていただければ嬉しいです!
「最近よく並んでいます」
監視カメラで撮影した「オスがメスへ餌を運ぶシーン」をみたい方はぜひこちらからどうぞ!👇
<動画のリンク>youtu.be/tpuWtqf87PY(新しいウインドウが開きます)
さて、大切な報告が終わったところで、話は移ります。これまで、旭山のシマフクロウの巣箱についてや、保護活動をしているコタンコロカムイの会さんの活動についてお話してきました。
今回は、最終回ということで現在最も問題になっているシマフクロウの『事故』について話を膨らませたいと思います。”猛禽類医学研究所”で話を伺ってきました。
シマフクロウの死因として、多く挙げられるのは「交通事故」です。夜、餌となるカエルを捕るため道路に出たシマフクロウが、走ってきた車と衝突して起きます。車のヘッドライトは、フクロウにとって目くらましとなり、大抵は顔面衝突し即死のようです…。旭山で飼育しているメス(片目がない)も、交通事故に遭ったと考えられています。
そういった事故を防ぐために、猛禽類医学研究所の方々はさまざまな活動を行っています。下の写真は止まり防止器具です。👇ガードレールにこれを設置することで、フクロウが道路に飛び出すのを防いでいます。
止まり防止器具
モノクロの世界を生きてるフクロウにとって、赤と黄色が一番識別しやすいそうです(猛禽類医学研究所さんより)
そのほかにも、フクロウに音で危険を察知してもらうため、凹凸のある道路つくりなどにも取り組まれています。どちらもフクロウ側に距離をとってもらおうという働きです。
ですが、それだけでいいのかなと疑問に思いました。私たち人間も、車を走らせるときには野生動物にも気を配ってみませんか?
今回は、シマフクロウの交通事故についてお話しましたが、野生動物と人間との問題はたくさんあります。私自身勉強中の身ですが、まずは知ることから始めようと思います。ですので、みなさんもぜひ話を見聞きした際には、共有してください!身近な人にでも、SNSでも。人間と動物が共生できる社会をコツコツと少しずつでも、みなさんと作っていけたらと思います。
それでは、『シマフクロウ繁殖期』最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!!皆さまどうぞご自愛ください。
【フクロウ・てながざる館担当:荒木地 真美】
昨年度は緊急事態宣言にともない、5月いっぱい休園ではじまった夏期開園ですが、今年はなんとか例年通りの4月29日にはじまることができました。
さて、そんな開園に向けて4月の休園期間中というのは、私たち飼育スタッフにとっては動物舎のエンリッチメントや看板などをリニューアルする期間になります。
私はというと、昨年秋から担当になったトナカイで迎える初めての春ということで、看板類などを作成しました。
動物舎の看板というのは、担当者が一番見てもらいたい、伝えたいというところを表現する場になります。
トナカイの特徴と考えたときに、「シカの仲間の中で、唯一オスメス両方に角がある」と思ったことから、今まで展示していた落ちた角の展示をバージョンアップして等身大の角展示を作りました。
開園してみると、足を止めてくれる方も多く、なかなか満足いく結果となりました。
一方で「トナカイの角って生え替わるんだー」という声も聞こえてきて、私たちが当たり前に思っていることも、まだまだ伝えなければいけないのだとも考えています。
また、開園して楽しみなのは、他の動物舎の展示を見ることです。
意外と他の人が何を作っているのかはわからないもので、思わぬ大作や斬新な表現に驚くこともあります。
みなさんも夏期開園でリニューアルしたところを探しに来て下さいね。
トナカイの角展示・等身大シルエットと共に
休園期間中の夜にうごめくアーティスト風副園長
(獣医師・トナカイ担当:中村 亮平)
さて、みなさんこんにちわ~
新人(二年目)飼育員あらきちです。今回は、シマフクロウ繁殖記~第二弾~ということで、前回の続きからお話したいと思います!
前回の内容についてはこちらから!
っと、その前に現時点の報告です。
3月9日と3月13日に卵を産み、計2卵を順調に抱卵していました。ですが、3月末に1つ破卵が確認されました。
非常に残念なことではありますが…、シマフクロウたちは残った1卵をいまも大切に抱卵しています。
ですので、みなさんにはぜひあたたかく見守っていただけたら嬉しいです。有精卵か無精卵かはわかりませんが、孵化予定日は4月13日~17日です。お楽しみに!!
2卵確認。
さて、今回は「なぜ新しい巣箱を設置したのか?」ということについて話を膨らまていきましょう!
以前、使用していたものの他に新しい巣箱を設置した経緯についてです。
旭山動物園では、2018年にオス「ロロ」メス「モコ」のペアが繁殖し、2羽の雛が誕生しましたが、その頃からメスのモコが自分の羽根をむしってしまう「毛引き行為」がみられました。縄張り意識の強い彼らにとって、なにがストレスになっているのか推測の域を越えません。
ただ、メスのモコは風切り羽がないことと筋力低下によって高いところまで飛ぶことができなくなってしまいました。
そのため、急遽低い位置に巣箱を設置したのです。
現在こちらに卵を産み、抱卵しています。展示場を見る際には、巣箱の様子にも目を向けていただけたらなと思います。
つづいて『野生のシマフクロウ』について話を移しましょう!保護活動で使っている「巣箱」について話したいと思います。
今回は、「コタンコロカムイの会」さんに譲っていただいたものを旭山動物園で使用しました。
実際に野生のシマフクロウも好んで使っていたものです。毎年、よりフクロウが好むサイズ・形にと改良されているそうです。また、人力で上まで持ち上げる為、より軽量にという工夫もされています。
このような活動によって、繁殖のサポートが行われています。
とっても高い位置にあります。高所恐怖症の私は登るのに一苦労でした。これを毎年手入れしているのはすごい!!
「
テンなどの侵入を防ぐ為屋根をつけたそうです。」
巣材には、大きめの朽ち木を入れてました。あとは、シマフクロウが好きなサイズにくだくようです。
そもそもなんでシマフクロウに巣箱が必要なの?!というところですが…
シマフクロウは、体高70センチメートル、翼長180センチメートルの大型フクロウです。
彼らは、木の洞の部分に巣をつくります。シマフクロウが使う洞は、樹齢300年くらいの大きな木です。土地開拓・森林伐採などによって、大きな影響を受けている生き物はたくさんいます。
シマフクロウ繁殖記~第3弾~では、『シマフクロウと自然環境について』猛禽類医学研究所さんで勉強してきたことをまじえ、お話したいと思います。
それでは、どうぞみなさまご自愛ください。
(フクロウ・てながざる館担当:荒木地 真美)
ほっきょくぐま館では、旭川市公園緑地協会さんからサケの卵をお借りして孵化させ、稚魚を飼育してきました。
そして成長した稚魚を4月10日に石狩川へ放流しました。
当日は天気も良く、サケの放流会には大勢の方が参加していました。
放流した稚魚たちは元気よく海に向かって泳いでいきました。
これから自然がサケに与える試練を乗り越えて、数年後に立派に成長した姿で帰ってきてもらいたいと思います。
そしてこの度、公園緑地協会さんの許可をいただき、稚魚の一部を動物園に残して飼育を継続することにしました。
放流するとその後の成長過程を見ることはできませんが、飼育を継続することで、放流したサケが今どのくらい成長しているか、また海に降りて海水で生活するようになったサケの身体にどのような変化が起こるのかを展示することができると考えたのです。
水槽の水はすでに人工海水に切り替えており、稚魚たちは海水に適応して元気に成長しています。
今後もほっきょくぐま館で、サケの成長や変化をお楽しみください!
あざらし館飼育スタッフとして1年間勤めてくれた森田さんもこのたび退職となりました。森田さんからもみなさんへ一言いただいておりますので、ご紹介します。
2020年4月から1年間、あざらし館担当として過ごしてきました。
旭山動物園では、新たな命の誕生に喜び、そして命の終わりを目の前にしては自分の無力を痛感し・・・動物たちを見る来園者の笑顔に癒やされ、たくさんの経験をすることができました。
1年というのは長い人生の中ではたった一瞬の出来事のように感じますが、旭山動物園で過ごしたこの1年間は、私にとっては一生の宝物であり、この先忘れることのない経験になると思います。
職員の皆さまには、社会人1年目で右も左もわからない私を一から指導していただき大変感謝しております。
旭山動物園は離れてしまいますが、この先も飼育員として、ここで学んだことを糧に精進していきたいと思います。
本当にありがとうございました。
(あざらし館担当:森田 瑠奈)
3月26日の夜、ゴマフアザラシの「ぽちゃ丸」が出産しました。朝、出勤すると仔はもう泳いでいました。
出産当日の様子
プールの斜面側から上がろうと頑張っていましたが床が滑るため上がれずにいたので、陸に引き上げました。
母親のぽちゃ丸もすぐに上陸し仔の横にいました。しばらく様子を見ているとしっかり授乳もしていて一安心。「あとはぽちゃにおまかせだ!」と思っていました。
翌朝、ぽちゃは仔のそばにはいますが元気がありません。ついには仔を残しプールへ行ってしまいました。
泳ぎも緩慢で覇気がありません。仔が鳴いても戻ってくれず水中で漂っている状態です。エサにも全く反応がありません。
ぽちゃが陸に上がったタイミングで仔をぽちゃのそばに運びましたが、ぽちゃの子育てスイッチは完全にオフです。というよりは自分のことで精いっぱいといった様子でした。時間が経っても状況は変わらなかったため、仔は人工哺育に切り替えました。
現在仔はミルク期を終え、魚を与えています。まだ自力では食べてくれないので、強制的に口に魚を突っ込みエサだと認識させ馴らしているところです。
一方母親のぽちゃは、4月5日、やっとエサを食べてくれて体調も戻りました。よかった!
夏期開園の時は白い産毛も抜けゴマ模様になっているでしょう。成長の過程はまた「しいくのぶろぐ」でお伝えしますね。
のぞいてます
ひなたぼっこ
白い毛は今だけ
4月は、人間社会にとっては出会いと別れの季節。旭山動物園でも、こども牧場の会計年度職員・渡部さんと安田さんが約11年の勤務を経て退職することになりました。
最後にお二人からみなさんへご挨拶のメッセージをいただきましたので、ご紹介します。
旭山動物園で働き始めて、気が付けば11年も月日がたっていました。
たくさんの動物が産まれ育つのを見て喜び、人よりも短い生涯を見送ってはその命からたくさんのことを学ばせてもらいました。
旭山動物園は離れてしまいますが、この経験を今後もどこかで活かせるよう頑張っていきたいと思います!
たくさんの人に支えられて今日まで働いてこれたことに感謝しています。
お世話になりました!
(こども牧場担当:渡部 ゆりか)
最近は、ようやく気温も高くなり暖かくなってきました。
こども牧場にいるイヌのだいちは、日光浴をして気持ち良さそうに過ごす時間が増えてきました。
だいちが動物園にきて、もうすぐ1年がたちます。
ひなたぼっこ中
月日がたつのは早いもので…
私は、約11年間こども牧場の飼育スタッフとして過ごしてきましたが、今日で終えることとなりました。
動物たちだけではなく、たくさんの方と出会うことができて、とても貴重な時間を過ごすことができました。
(こども牧場担当:安田 恵里)
先日しいくにゅーすでお知らせしましたが、3月14日にワオキツネザルのナスカが出産しました。昨年の双子出産に続いて2年連続です。
だんだんと大きくなるお腹を日々見ながらいつ出産するのかと待っていたので、無事に出産しこどもがしっかりとナスカにくっついているのを見て一安心しました。
こどもは順調に成長していて、もう少しで生後1か月を迎えます。
今はまだ1日中母にくっついていますが最近はまわりをキョロキョロ見ているので、離れて遊び始める日も近そうです。
日々の様子はSNSに投稿していますので「#ナスカのこども」でチェックしてくださいね。
<3月30日撮影>
そうそう、昨年生まれの双子はすっかり大きくなり、ほぼ大人と同じ大きさです。
まだ顔はちょっと幼いような・・・?
<下の手前と上の個体が昨年生まれの双子です>
昨年生まれたアビシニアコロブスとブラッザグエノンのこどもたちも元気いっぱいです。
やっと雪がなくなり外で過ごす時間が増え、おてんば&やんちゃっぷりを発揮しています。
こちらはワオキツネザルよりも成長がゆっくりなのでまだまだ「こども」という感じです。
<おてんばなあんず>
<ブラッザ親子。左から父・子・母>
今年もワオ・コロブス・ブラッザの3種のこどもたちの成長を見守っていただけたら嬉しいです。
サル舎・北海道産動物舎:佐藤和加子
開園55周年イベント「旭山動物園の今と昔」
データ保存用ページです。
皆さんこんにちは。
今年の冬は大変雪が多かったと思っているミカンの国出身者です。
そして、やっと、やっと春の気配を感じる日々がやってきました。
私もさすがに6年も北海道で生活していると0度を超えてくると暖かいとか言う言葉が出てくる様になってきましたが、その上プラス一桁台の気温が続くと春だ春だと騒ぐようになってしまいました。ミカンの国に住んでいた時にはあり得ない言葉です。でも、ほんとーに春なんですよね、雪国の皆さん。
気温が上がってきて春の気配を感じますが、そこではっきりした証拠はないかと園内を探し歩いてみたので、見つけた物をあげてみます。
その1「根開き(ねあき)」。これは春の季語らしく、木の根元の雪が先に溶けて地面がまるく見える現象のことです。
たくさんの根開き
なぜ起こるかを調べてみると、木は春先に活発に地下水を吸い上げる様になるのですが、その地下水は周りより暖かいため、吸った木の根元も暖かくなり先に雪が溶けて地面が見える様になること、もう一つの理由は木と雪の太陽光の反射率の違い(木は黒いのでより太陽光を吸収して温かくなる)によって周りの雪が溶けるとのことでした。
その2「フキノトウ」。 ド定番ですが雪解けの地面から覗いていました。
緑っていいね
満開の花々も恋しいですが、雪が溶けたところに緑が見られるようになるのはとてもうれしいですね。
その3 「トビ」。ミカンの国にすんでいた時は年中みられる鳥でしたが、旭山だと真冬にはほぼいなくなり3月からまた頻繁にみられる鳥なので、トビを見るとああ春が来るんだと感じるようになりました。
今年は旭山はまだまだ雪が残っていますし、春だ春だと騒いでみてもまだまだダウンのコートは手放せませんが、あとちょっと、頑張ります!。
(副園長:池谷 優子)
みなさんこんにちは。突然ですが、誰の何の餌だと思いますか?
すでにわかった人もいるのではないでしょうか。では、徐々に答え合わせをしていきましょう。
まずはじめに、この凍った板を冷凍庫から引っ張り出します。実はこの板一枚約14キログラムが二枚セットになっているため約28キログラムとなかなかの重労働。腰をいたわりながらの作業です。
次にこの板を金槌と斧で四等分に割ります(意外とこれもきつい)。これが一回の量です。
そしてそして、翌日の分は冷蔵庫に入れてゆっくり解凍です。残りは冷凍庫に戻します。
(ちょっとだけヒントが)
ここまで来るとわかった人も多いのではないでしょうか?では、先にこれは何なのか、それは
OKIAMI?そう、オキアミです。何の動物の餌になるのでしょうか、それはズバリ
フラミンゴです!
みなさんわかりましたか?夏期開園中に池に撒いているピンクのやつです。さらっと撒いていますが、意外と準備が大変なんです。しかし餌の準備も飼育員の大切な仕事。フラミンゴたちのために手は抜けません。
ほかの動物たちの餌も各担当者が工夫しながら準備しています。ですので、動物園に来られたらどんな風な餌かな?とか少し気にしてみると何か発見があるかもしれません。
また無事夏期開園が出来れば、今回登場したフラミンゴもオキアミを撒いているところも見ることが出来ます。そのときは頑張って割ったオキアミなんだな。と思い出していただけると少しうれしいです。
(フラミンゴ・くもざるかぴばら館担当:若山 晃輝)
みなさんこんにちわ~ 新人飼育員のあらきちと申します。
今回は、繁殖シーズン真っ只中の『シマフクロウ』について書いていきます。
現在「産卵期」を迎え、今日(3月9日)1卵目の卵を産みおとしました。それに伴い、オスも私も絶賛そわそわ中です。
「すごく分かりづらいけど、卵発見!」
「3月9日 卵を産んでいるメス、側から離れないオス」
さて、お気づきの方もいると思いますが、こちらは新しい巣箱です。
2018年繁殖時に使用したものではなく、それよりも低い位置に設置してあり、現在使用中です。
虹別で保護活動をされているコタンコロカムイの会さんから譲っていただき、せっせと設置しました。野生下での繁殖実績があり、毎年改良を重ねているそうです。そのおかげもあり、無事メスのモコさんが気に入ってくれてホッとしてます。
コタンコロカムイの会の方々の活動は、後日改めて書きます。フィールドに足を運んで感じたことをみなさんとぜひ共有したいです!
「右上2018年使用 左下現在使用中」
メスが既に抱卵に入っているため、2卵目は確認できていませんが、順調にいけば4月中旬に孵化予定です。この繁殖記が1弾で終了せず、みなさんにいい報告ができるよう飼育員としてできる限りのことを努めていきます。
なぜ、新しい巣箱を設置したのか…?!は、『シマフクロウ繁殖記🌟~第二弾~』でつづります。ヒートアップしてきそうなので、今回はここら辺でドロン致します。
と、その前にオフショットをどうぞ。
「リアルタイムで抱卵状況がみれます。園内でもへき地にありますが、ぜひお楽しみください!」
「見下ろすオス ロロさん」
「のぞき込むオス ロロさん」
フクロウ・てながざる館担当:荒木地 真美
※今回のブログでは、うんちの画像を使用していますので、あらかじめご了承ください。
「突然ですが皆さん、うんちの絵を描いてみてください。」
と言うと、おそらくこんなうんちを書く方が多いのではないでしょうか?
ザ・うんち
皆さんは実際にこんな形のうんち見たことありますでしょうか?
少なくとも犬や猫のうんちでもあんな形のものは見たことないし、いや、まさか他の人はあんな形のうんちをしているのか?
と、自分の中で長らくの疑問であり、これがうんちのイラストとして一般化されているのも不思議なものだなと思いながら日常を送っていました。
念願のうずまき
ついに、ついに、ついに発見しました。
これはレッサーパンダのチャーミンがペレット(固形飼料)を食べた後のうんちです。
毎日あるわけではなく、稀にこの形になるようです。
最初に発見したときはとてつもなく感動しました。
ただ、SNSにこんな画像を上げるとBANされかねないので、ブログだなと思い温めておいた写真です。
さて、ここから真面目な話もしますが、レッサーパンダの『主食』は植物でありながら、消化器官は肉食の構造をしているので、植物をあまり上手に消化することが出来ません。
また、人間のようにご飯とおかずを交互に食べるような食べ方もしないので、好きな物から順番にまとめて食べていきます。
結果として、レッサーパンダのうんちは食べた物の種類ごとに未消化のものが混じった状態で排泄されます。
例えば、竹のうんちは竹の繊維が混じっており、ふんわりと竹の匂いがします。
リンゴのうんちはリンゴの実や皮が混じっており、甘い匂いがほのかにします。
左から、竹・リンゴ・ペレット
そんなうんちを実際に見れるのがこちら。
大人気生うんち
毎日その日出た新鮮なうんちを展示しているので、匂いも残っていることと思います。
うんちというのはすごいもので、やんちゃ盛りのちびっ子から、おふざけが楽しい学生達、純粋に興味を持ってくれる大人の方まで、老若男女問わず興味を示してくれる展示物なんだなと深々と思います。
もちろん我々飼育員にとっては貴重な情報源であり、動物のうんちでも健康状態をチェックします。
うんちの中に寄生虫や血が混じっていないか。柔らかさや色。異物を飲み込んだときはきちんと排泄されているか。
また、うんちからホルモン物質を調べたりと研究にも使われることもあリます。
動物園に来た際も、「どうしてカバはうんちをわざわざ撒き散らすんだろう?」とか、「ヘビはうんちをどこから出すんだろう?」みたいに、何か一つのテーマを持って見て歩くと普段気にならない新しい気付きが発見できるかもしれませんね。
小獣舎・両生類・は虫類舎担当:鈴木達也
奇蟲ファンのみなさん、こんにちは!大西です。
さて今回はアフリカウシガエルをご紹介しましょう。
こう見るとコミカルな?表情をしています。大きなお口がキュート!
しかし彼らの口が大きいのは「口に入るものなんでも食べてしまう」から。野生下では昆虫のみならずネズミや小鳥まで捕食するといわれます。獰猛な捕食者でもあるのですね。
動物園では餌に何を与えているかというと・・・
ジャジャーン!マダガスカルゴキブリです!!
マダゴキは順調に繁殖しているので、増えた個体はウシガエルの餌とすることで、園内で生態系が成り立っているのです。
ウシガエルが動いているところを見たことがある来園者の方はほとんどいないかもしれません・・・でも給餌の時は驚くほどのスピードでマダゴキを捕らえます。
このたびウシガエルの捕食シーンを動画に収めましたので、アップします!
ある研究によると、カエルが舌を伸ばす速度は秒速4000mだそうです。マッハ12に相当し、ジェット戦闘機の約4倍です。
大型種であるアフリカウシガエルの舌はマッハ12までは無いかもしれませんが「本気出したら素早い」というのはご覧いただけると思います。
「活き餌を食べるシーン」に抵抗がある方もおられるでしょう。でも、旭山で一貫して行っている「行動展示」や「もぐもぐタイム」。捕食も重要な行動の一つですし、餌イコール「他の動植物のいのち」です。いのちがいのちを食べるのは自然な事なのです。
私たちは毎日を過ごす中でいのちを奪い「いただいている」ことを実感することがほとんどありませんから、「自分も毎日いのちを食べている」という当たり前の事を忘れてしまいがちですね。
ちょっと衝撃的かもしれませんが、動物の能力、そして命の恵みへの感謝を感じていただきたく、こうした動画もアップしていきたいと考えています。
「どうしても見たくない」という方は視聴をご遠慮ください。
↓↓ご覧になりたい方はこちらをクリック!
youtu.be/pHc63pPF1Bk(新しいウインドウが開きます)<リンク先>【閲覧注意】アフリカウシガエルがマダガスカルゴキブリを捕食
皆さんこんにちは。今年の冬はいかがお過ごしでしょうか?
今回は冬のペンギンたちの様子をお知らせしたいと思います。
この写真はぺんぎん館の放飼場。外の地面を写したものです。黒っぽくなってる所、この部分は雪(氷に近い)がヘコんでるんですけど、何のヘコみかというと・・・
ジェンツーペンギンが腹ばいで寝ていた跡なんです。
これは砂利の上ですが、イメージとしてはこんな感じ。
すっかり体の形に雪がとけてますねー。
最近のキングペンギンは、日中比較的外に立っている事が多いうえに、動かない!!なので足型のヘコみがいっぱいできます。
少し暖かい日はペンギンの足の模様までハッキリ。(ブツブツ キャー>*0*< )
この足型がハッキリ残ります
私たち人間だってはだしで雪の上に立てば足型にヘコんでいくでしょうが・・・ねー!!
まずやりたくないですねー。サムイ。
ペンギンって足冷たくならないの?なんて声も聞こえてきますが大丈夫!それに暖房がきいている。自由に出入りできる放飼場もあるので、寒かったり冷たかったりすればそちらへ移動すれば良いのです。まあつまりは自らの意思で外に居るってことですね。
ジェンツーペンギンの場所はヘコみが深くなったりするので、同じ場所に何度も来てるんでしょうね。お気に入りの場所なのかしら?
私はフンボルトペンギンと同じで暖かい方が良いので、早く春になる事を願っています←切実
昨年11月に担当動物の変更があり、新たにオランウータンと北海道産動物の担当になりました、中野です。
担当するオランウータンに(ちょっと)関わる話をしてみようと思います。
オランウータンの仲間は分類上、我々ヒトに近い類人猿といわれる動物のひとつです。類人猿は他にチンパンジーの仲間、ゴリラの仲間、そして意外に思う方もいるかもしれませんが、テナガザルの仲間も類人猿です。類人猿(とヒト)に共通の特徴はいくつもありますが、一番分かりやすい点は尾が無いという部分です。これら類人猿はヒトに近い生物として知られていますが、よりヒトに近い順に並べていくとどうなるか。
最も人間に近いのはチンパンジーの仲間(チンパンジーとボノボ)です。これは聞いたことがある方も多いと思います。次に近いのはゴリラの仲間です。その次に近いのがオランウータンの仲間で、その次がテナガザル科のサルたちです。この次までいくと、類人猿を通り越して尾を持ったサルたちになってきます。
ではそもそも分類上、あるいは進化系統上、近いというのはどういうことかというと、それぞれの祖先を遡った時に共通の祖先に辿り着くのがより早い、ということです。これは家系図をイメージすると分かりやすいかもしれません。
例えば、自分と兄弟がいたとして、家系図を遡っていくと出会う共通祖先は親(父母)です。いとこならば、祖父母の所で出会い、はとこの場合は曾祖父母のところで出会います。自分に近いのは(親や祖父母などの直系の祖先を除くと)兄弟、いとこ、はとこの順になります。これを生物種という大きなスケールで考えたものが、分類上の「近さ・近縁さ」だと思ってください。(あくまでイメージの話ですが)
ヒトの祖先とチンパンジーの祖先を遡っていくとどこかで共通祖先に辿りつくわけですね。そしてその共通祖先のさらに祖先を遡っていくとゴリラとの共通祖先に辿り着くということです。オランウータンはその次ですね。
さて、ヒトに最も近い生物はチンパンジーの仲間とお話しましたが、これには条件がつきます。それは「現在の地球上に生息する」という点です。
この条件をつけないのであれば、ヒトに最も近い生物は「ヒトの直接の祖先」となります。先ほどの家系図でいうところの「親」にあたる種ということですね。我々ヒト、現生人類に至るまで、たくさんの種の人類が生まれて進化してきました。もしかしたら現生人類よりも後に生まれた種の人類もいたかもしれません。当たり前ですが、これらの他の人類たちの方が、チンパンジーより我々に近いですよね。
しかし現在の地球で最も近い生物はチンパンジーです。なぜか。答えは簡単で、現生人類以外は全て絶滅しているからです。残っていた他の人類も諸説ありますが約1万年前から2万年前くらいの間に全て滅びた(逆にいうとそのくらいの時期まではいた)と考えられています。我々は多様に進化した人類の中の唯一の生き残りなのです。そのため我々に最も近い現生生物は、近縁の滅びた人類たちを全てすっ飛ばして、類人猿のチンパンジーになってしまうんです。
こう考えるとあんまりヒトとチンパンジーって近くないな、3番目に近いオランウータンならなおさら遠いな、という気がしてくるかもしれませんが、極めて多様な生物全体から見ると、やはりヒトと類人猿はものすごく近いと言えます。捉え方次第ですね。
今回は少しややこしい話をしましたが、様々な生物の祖先を辿っていくのはとてもおもしろいです。興味が出た方は色々調べてみてくださいね。
オランウータン・北海道産動物(草食系・野鳥系)担当:中野奈央也
さる山で飼育しているニホンザルのうち1頭に年老いたサルがいます。名前はシロザル、年齢は32歳。野生化では寿命が25年ほどですので結構な高齢個体となります。
数年前には障害が残るほどの病気をしていて、少し動きがぎこちないです。歯は抜け落ちている部分も多く、柔らかい物を選んで食べています。そして高齢のため、なかなか皮下脂肪がつかないので夏頃から餌をシロザルだけ増量していました。
こうして冬になり、ふっくらとした体格になったシロザルですが、皆さんがご覧になることが出来ない日もあります。あまりに寒い時は寝室から出ようとしないのです。こちらとしても代謝の悪いであろう老齢個体を厳冬期に外へ出すつもりはありません。そんな日には寝室でぬくぬくしながらバナナなどの柔らかい食べ物を食べて過ごしています。
飼育している側として、高齢個体にはこうした方が良いのかな?など、本当に小さな事だったりするのですが、細やかな気遣いが必要です。今後も出てくるであろう高齢個体の飼育を意識しながらシロザルから学んでゆきたいと思っています。
冬のさる山
天気の良い日は外にいます
さる山・タンチョウ担当:高橋伸広
最近は寒さの厳しい日も多く、早くも春の暖かさが待ち遠しく感じることがあります・・・。
現在、第2こども牧場では、ブタの放飼場の隣にヤギ3頭とヒツジ1頭を一緒に展示しているのですが、(あれ、ヒツジがいない?)と不思議に思われた方もいるかもしれません。
実は、ヒツジの「リリー」は今年の3月で10歳を迎えるおばあちゃん。年々、毛の伸びも悪くなっており、寒さが体にこたえるようになってきました。そのため、気温の低い日や風が冷たい日などは、外の放飼場には出ず、暖かい建物の中で休んでいることがあります。
外での様子
高齢ではありますが、足腰もしっかりしていて、まだまだ食欲も旺盛です。「メェー」と鳴く声は力強く、離れたところからでもよく聞こえてきます。
暖かい日には外でヤギたちとともに元気に過ごしている姿を見ていただけるかと思いますので、ぜひ、第2こども牧場にも立ち寄ってみてください!
(こども牧場担当:鈴木 彩音)
全国3000万人の奇蟲ファンのみなさんこんにちは!大西です。
アフリカ水槽の中で、アフリカオオヤスデとマダガスカルゴキブリ(以下マダゴキ)の水槽は「昼夜逆転」をおこなっています。開園中はライトを暗くして夜行性の彼らが活発に動くように、閉園後はライトを明るくして植物が光合成できるようにしているのです。
でもそのせいで「水槽が暗くて見づらい」という方もおられることでしょう。
そこで、マダゴキ水槽の前に虫めがねを設置してみました。
名付けて「ゴキゴキルーペ」!!(「もぐもぐタイム」的な語呂で)
マダゴキたちの触覚や足の動きなど細かいところまでゴキゴキルーペでじっくりご観察ください(ニヤリ)。
説明看板も貼ってあります。
好評でしたらヤスデ水槽前にも「ヤスヤスルーペ」が設置されることでしょう。
話は変わって、最近アフリカ水槽ではコバエ発生に悩まされています。飼育動物への影響は少ないとはいえ、気になる。ポットや粘着式のハエ取りも、来園者から見える場所には置きにくい。
そんな時、見つけました!コイツを!!↓↓↓
モウセンゴケ!!!食虫植物です。しかもアフリカ産!
植栽がコバエを食ってくれるなんて最高。さっそくオオヤスデ水槽に入れてみました。
すると翌日には葉に黒い点が!さっそくコバエを捕獲しています。
モウセンゴケの葉に虫がつくと、葉を丸めたり腺毛を折りたたんで逃がさないようにして消化します。アフリカ水槽でもその様子が観察できますよ。
これぞ「モウセンゴケのもぐもぐタイム」!(と言って良いのか??)
モウセンゴケの捕食行動。興味のある方だけ拡大してご覧ください・・・
植物にも「行動展示」があるんですね。オオヤスデにキャラ負けしてないモウセンゴケ、けっこう気に入りました。
食虫植物が虫を捕食するのは、やせた土地に自生しており根からの栄養が期待できないからです。なので堅強な種が多く、水槽内はコバエも豊富なのでぐんぐん生長しています。
生長良すぎてじゃっかん引く。
時に虫は植物を食べたり、植物に擬態する。時に植物は虫に花粉を運ばせたり、あるいは虫を捕らえて栄養にしてしまう。恐竜時代なんかよりずっと昔から、虫と植物はお互い利用し合いながら進化してきました。
カバやキリンが闊歩するアフリカの大自然。その大地を支えるのは多くの虫や植物たちです。水槽展示の動物・植物たちから「自然のつながり」を感じてほしい、と考えています。
<あさひやまコソコソ噂話>
モウセンゴケはサクラのような可愛い花を咲かせるらしいよ。水槽の中でも花が咲くかな?
アミメキリンの結が昨年の12月28日にオスの仔を出産しました。ゲンキと結が交尾をしたのが2019年の10月1日だったので、赤ちゃんは454日間もの長い間、結のお腹の中にいました。キリンの妊娠期間は約450日間と言われているので、標準的ではないかと思います。飼育担当としては本当に長い長い454日間でした。11月に入り、結のお腹は破裂しそうなくらい大きくなりました。また、おっぱいも大きくなり、いつ生まれるのかな?とソワソワしていました。出産は夕方に始まったので、監視カメラのモニター越しですが、幸運にもリアルタイムで見ることができました。
結が落ち着きなくウロウロし始めると、結のお尻のあたりから赤ちゃんの前足(たぶん)がニョキっと出てきました。結が何回か強く踏ん張ると、勢いよく赤ちゃんがズルっ、ボトっと生れ落ちました。結のお尻は地面から2メートルくらいの高さにあるので、ものすごい衝撃だったと思います。生まれたての赤ちゃんは膜をかぶっているのですが、結が赤ちゃんの体を丁寧になめると、膜がはがれ、段々とキリンの網目模様が見えてきました。赤ちゃんがピクピクと動き始め、立っては転びを5回くらい繰り返した後、震えながら4本足で立ちました。有名な「生まれたての子鹿」の動きです。その後、しっかりと立ち、フラフラとした歩みですが、結のおっぱいに近づき、授乳している様子が確認できました。現在、結と赤ちゃんは落ち着いた様子で寝室で暮らしています。
外の放飼場デビューは気温が高くなった春以降を予定しておりますので、しばらくはご覧いただけないのが残念ですが、動画や写真などはSNSなどを通して発信していきますのでよろしくお願いいたします。
キリンの赤ちゃんと母親の結
きりん舎担当・獣医師:佐藤伸高
明けましておめでとうございます!大西です。
今年も奇蟲たちのようすを張り切ってお伝えしていきますので、お楽しみに!
さて前回お話しした、アフリカオオヤスデ水槽に埋めたなめこ菌床はまだ生えて来ず。そろそろ一か月ですが・・・マットに埋め込む方式ではだめなのでしょうか?もう少し待ってみます。
ヤスデ水槽には他にも植物を植えてあります。できるだけアフリカ産にこだわろうと探してみたら、よく知られた観葉植物の中にも意外と多いことがわかりました。
たとえばこれ!サンセベリア。
黄色い斑があるものは「トラの尾」とも呼ばれ、日本でもむか~しから観葉植物として親しまれていますよね。みなさんも一度は見たことあるんじゃないでしょうか。じつはナイジェリアやコンゴ原産です。
<ここであさひやまコソコソ噂話>
飼育事務所の玄関にもサンセベリアの鉢植えがあって、中田副園長が水やりしてるらしいよ!
サンセベリアには空気清浄効果がある?という説があります。ヤスデたちも空気がきれいになって喜んでいる・・・かどうかは不明ですが、水槽内に植栽を植えると適度な保湿効果があるし、生長すると展示にも変化が付きます。
コーヒーの苗木も植えてみました!
一時期枯れかけて心配しましたが、その後きれいな新葉が出てきました。
コーヒーの横でくつろぎ中の?オオヤスデ
そう、みなさんが飲んでるコーヒーの原産地はアフリカやマダガスカルなのです。
コーヒーは観葉植物としても安価で流通しており、大きく育てれば結実・収穫できるそうです。
ヤスデのフンで育ったコーヒー、収穫したら誰かに飲ませてあげたいな・・・ヒヒヒ
みなさんも意外と身近にあるアフリカの植物、探してみてはいかがでしょうか。
他にも何種類か植物を植えました。これからどう生長していくのか?そしてなめこは生えてくるのか??(なめこは日本産ですが)
そんな水槽展示の変化を、ご覧いただけたら嬉しいです。
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
昨年の12月中旬からほっきょくぐま館の水槽にて展示しているサケの卵ですが、年末にかけてふ化が始まり、大みそかにはすべての卵のふ化が終わり、仔魚(しぎょ)として新年を迎える事ができました。
これからはお腹にある臍囊(さいのう)から栄養を吸収して、稚魚(ちぎょ)へと成長していきます。
機会がありましたら是非、ほっきょくぐま館のサケ達の成長を観察に来てください。
フッターです。