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どうぶつえん日記

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令和7年12月「白い季節、壁に耳あり…」

白い季節、壁に耳あり…

 11月4日より1週間の閉園期間をいただき、急ピッチ で進めた開園準備作業も無事に終え、11月11日から冬期開園が始まりました。休園期間にやってきたチンパ ンジーの「ユズ」とオランウータンの「ドーネ」もすっかり旭山の環境に慣れて元気にしています。
  そして、冬と言えばホッキョクグマです。オスの 「ホクト」とメスの「ピリカ」は春に交尾が確認され ています。旭山動物園では繁殖の可能性がある場合、11月初旬に出産準備のためメスを寝室に隔離します。寝室の檻には板を張って目張りをして、ほぼ真っ暗状態。飲み水はありますがエサは与えず絶食となりま す。野生下では雪の洞穴で出産をするため、暗くて静かな環境を再現しているの です。なので、この期間はメスを落ち着かせるため飼育担当者でさえ寝室側には入りません。寝室内の様子は複数の監視カメラで確認し24時間ハードディスクに記録します。今はカメラ システムも進化し高性能で、とても便利になりました。
 1974年、国内で初めてホッキョクグマの繁殖に成功した旭山動物園。その時代、寝室に人が出入りしないことは今と同じですが、カメラなどが無いあの頃は どのように出産を確認していたのか?その方法は、壁に耳をピタッとつけて室内の音を聞くという、実にアナログな確認方法だったと先輩から聞いていました。私が担当していた1990年代後半は、ビデオデッキは普及していましたが録画時間は最長8時間で、夜中に一度テー プ交換に来ていたことを覚えています。昔ながらの壁に耳をつけて確認することも継続して行い、赤ちゃん は「ギャーギャー」と激しい声で鳴くので産まれたことは確認できますが、これを「元気だね」とみるか「母乳が飲めずお腹を空かして鳴いている」とみるか、また逆に静かだと「満腹で寝ているのか?」「死んでしまったのか?」と判断がとても難しいものでした。
  4年前の2021年「ゆめ」が産まれた時は出産の決定的瞬間が撮れていました。さて今回は?この日記が届く頃、皆さんに良い報告ができますように…「がん ばれ、ピリカ! 」
 

令和の監視カメラ  ピリカの寝室

令和の監視カメラ            ピリカの寝室

 
令和7年12月5日
旭山動物園 中田

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