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どうぶつえん日記

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令和7年5月「環境の変化と伝える力」

環境の変化と伝える力

 新年度がスタートして1か月ほど経ちました。この時期は職員の入れ替わりがあったり、休園期間中にやることがたくさんあったりと、園全体がいつも慌ただしく落ち着かない感じです。でも、新鮮な気持ちをもたらしてくれるのもこの時期です。新しく迎え入れた職員も徐々に職場環境にも慣れて力を発揮してくれています。
 休園期間中は、動物たちにとって、日中過ごす放飼場はいつもと変わりありませんが、その先に見えている景色が明らかに違っています。いつもいるはずの人がほとんどいなくなるからです。来園者の存在が動物のストレス要因になると言われたりしますが、そう単純な話ではありません。特に、旭山動物園の場合、動物の活き活きとした行動を引き出す仕掛けに来園者を「利用」させてもらっている施設が多くあるので、興味や関心の向き先となる来園者がいなくなって、動物たちは不思議な感覚になっている様子です。好奇心旺盛なアザラシは、たまに人を見かけると円柱水槽越しに熱心にこちらを注視してきます。アザラシに限らず、自分たちは観ている側だと思っていたら、実は動物から観察されているのが面白いところです。
 話は変わりますが、今年度は高校生による「弁論」イベントを企画しています。園内の青空の下、動物や環境をテーマとして、自身のこれまでの経験や考えをスピーチしてもらう発表の場です。言葉の力を使って、伝えようとする高校生の勇姿をご覧いただけますのでご期待ください。
 旭山動物園は、「伝える」ことにこだわりを持った動物園です。動物の生態などを伝える手書き看板は、30年ほど前に予算がなくて始まったもので、それ以来、毎年リニューアルされた飼育職員の力作が園内に並びます。また、全国の動物園に先駆けて行うようになった動物の解説ガイドでも、担当職員が自分の言葉で動物の特徴や魅力を伝えています。「伝える」ことを通じて動物と来園者の架け橋となる取組は、今後もしっかりと継承していくつもりです。

ユキヒョウ
こちらを観察するユキヒョウのユーリ
 
令和7年5月7日
旭山動物園 田村

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