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リアン、ジャック、モリトのふるさとであるボルネオ島に2009年3月初めて降り立ち約1年半が過ぎました。ボルネオ島で様々な経験をし、帰国後も、もぐもぐタイムや手書き看板などで、「ボルネオの現状」をみなさんに伝えてきました。 そして、2010年9月、みなさん一人一人からの温かい「ありがとう」の気持ちをボルネオへ届けに、再びボルネオへ旅立ちました。
(補足)ボルネオ日記2009
(補足)自動販売機からの支援金や寄付金、自動販売機の設置場所については、ボルネオ保全トラストジャパンホームページ(プロジェクト:野生生物レスキューセンター)へ
2009年9月にボルネオ島に再び降り立ちました。約1年半ぶりのボルネオ島はとてもなつかく思えました。 今回の目的は、檻の贈呈とこの檻を使用してのゾウのレスキュー(救助)です。 「ゾウの檻」贈呈式のため、現地でゾウのレスキューをしているレンジャーの方々と一緒にゲン・パク・ジョージも檻を組み立てました。
左:組み立て完了した新しい「ゾウの檻」。 右:贈呈式でのテープカットの様子。サバ州野生生物局長は「日本人一人一人の「恩返しの気持ち」に感謝しますと言ってくれた。 檻を贈呈したことで、一つボルネオへ恩返しができたのではないかと思います。
オランウータンやボルネオゾウの話をすると、パーム油が悪者のように扱われたり、悪い印象をもってしまいがちになるが、本当にそうなのだろうか。 自分たちの目でしっかりと見て確かめ、伝えるべきだと思い、大規模なプランテーションとそこにあるパーム油の生産工場、そして小さな村のプランテーションの見学をしてきました。
左:アブラヤシの実の収穫体験をさせてもらった(写真はゲンが体験中)。なかなか大変でテクニックが必要な仕事であった。 右:収穫したアブラヤシの実は、人力とスイギュウでトラックに大量に積まれていく。そして、大量に積まれたアブラヤシの実はトラックで工場に運ばれる。 責任者の方が「私たちを悪いように捉えないでほしい」と最初に言ったことがかなり印象的でした。そんな印象を持ちながらの工場見学は、とても興味を持ちながら見学することができました。
左:アブラヤシの実からとれた、しぼりたてのパーム油。触ると熱かった。 右:残渣を燃やして電力へ。 責任者の方が、胸を張って「アブラヤシには無駄がない」と言っていました。パーム油としてではなく、残渣を燃やして電力を作ることができ、効率のいいものだと感じました。一方で、業績を上げるだけの努力だけではなく、周りの自然や生態系など様々な視点からプランテーションを管理することも大切だと感じました。
続いて、小さな村のプランテーションも見学をさせてもらいました。 ここのプランテーションではお父さんがアブラヤシを栽培し始めたことで、「6人の子どもをみんなを学校に行かせることができた。この仕事をしなければそんなことはできなかった」と言っていました。 プランテーションで作られるパーム油は私たち日本人だけでなく、現地の人たちにとっても「大切なもの」なのだと感じました。 また、オランウータンやボルネオゾウが隣の森から村に入ってきて見られると言っていました。それをエコツアーにして、この村で観光も行っていました。
8000ヘクタールのアブラヤシのプランテーションに、オスのゾウ2頭が迷い込んでいました。そのゾウを新しい檻を使ってレスキューするというのが今回ボルネオを訪れた目的の一つです。レスキューをするために、ゾウを車を使って探します。ゾウの痕跡をたどっていくと…。家の裏や村の少し脇のところなどと、人の生活圏とゾウとの距離がかなり近い。電気柵などゾウがこないように対策をしていました。中には、ゾウを発見してすぐに殺してしまうこともあるらしいです。 プランテーションで生活する人にとってゾウはやはり大事な作物を食べたり、荒らしてしまうので頭を悩ませていました。 そのような場所で、2日間ずっとゾウの捜索をしました。
左:ゾウのレスキューの作戦会議中。プランテーションの関係者やレスキューのレンジャーの方と情報交換をし、ゾウの捜索に出発した。 右:ゾウが迷い込んだ8000haのプランテーション。見渡す限りアブラヤシの木だけしかなかった。
左:ゾウを捜索する時は、プランテーションに住んでいる住民に聞き込みをし、ゾウの足取りを追っていった。 右:人が住んでいる家のすぐ裏で育てているバナナの木。しかし、ゾウがバナナの木を食べてしまった。
左:2頭のゾウを発見し、足を鎖でしばり移動を待つ。 右:1頭ずつ移動を開始。さっそく新しい檻にゾウを入れ移動する。
左:トラックに積まれたゾウ。ジャングルまで移動。 右:ジャングルに着き、ゾウをはなす。
レスキュー成功の写真が後日届きました。このゾウ2頭の無事を祈りたい(写真提供:マレーシア・サバ州野生生物局)
ヒトは共有ができず占有をする動物。このまま占有する土地やものを増やし続けるのであれば、ヒトと他の生き物との共存はあり得ない思います。 オランウータンやボルネオゾウのことを大切に思う気持ちが根付くこと、これこそが一方的な利益を追求しない道を探る唯一の動機になるのではないかと思います。 レスキューセンター設立を目指す姿勢が、そのための道筋にならなければいけないのだと、切実に感じる視察でした。
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