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6月頃ととりの村の屋内施設で、オシドリのヒナがかえりました。
冬の間、ととりの村の鳥たちは屋内で過ごします。今年はオシドリのオスたちは早いうちからメスの取り合いをしており交尾も確認していました。 そこで水禽舎内の大池に、オシドリ用の巣箱を設置してみました。巣箱は野生のオシドリがよく巣を作る木の洞をイメージして、少し高い位置に取りつけました。 2月ごろになるとメスが何度も巣箱から出入りしている姿が見られました。4月頃になると巣箱の中からメスの姿が確認できるようになり、じっとこちらを見るメスと目が合いました。卵を温めている真っ最中だったのかもしれません。 本当に卵を抱いているのか確かめるために、メスが巣箱から出ている隙に中を覗いてみるとたくさんの卵がありました。それからしばらくの間、巣箱の中のヒナたちがいつ飛び出してくるのか、楽しみにしながら見守っていました。 そんなある日、餌の準備をしていると、ふと異臭が漂ってきて、大池の近くに腐った卵が落ちているのを見つけました。監視カメラの映像を確認すると、メスが卵をくわえて巣箱の外に出し、床に置いていたのです。どうやら腐った卵をずっと巣箱の中に入れておくと巣箱の中の環境が悪くなってしまうため孵化しなかった卵を自ら運び出していたようでした。卵を見てみると穴が開いており、ここにクチバシをさして運んだようです。
そしてついにある朝水禽舎に行くと1羽のヒナが大池で泳いでいました。 しかし他のヒナと母鳥はまだ巣箱の中です。生まれたばかりのヒナは自分で体温を調整することができないため、水に入った後は日に当たったり母鳥にくっついて温められます。全ての卵が孵り母鳥が巣箱から出てこないとこのヒナは死んでしまう可能性があります。 その後他の作業をしながら何度も確認しに行きましたが、母鳥はまだ巣箱の中で飛び出したヒナはキンクロハジロのあとを一生懸命について行っていました。 そして夕方頃、全てのヒナが母鳥と一緒に巣箱から出てきて最初に飛び出してしまったヒナと合流していました。これで一安心です。
オシドリの親子
ところが次に確認に来てみると、今度はオシドリのオスたちがメスとヒナを追っており、メスは必死な様子で部屋の角でヒナたちを翼で隠していました。
母鳥を囲むオス
このままではヒナがオスたちに攻撃されてしまう可能性があるため、急いで他の飼育スタッフと連携してオスたちを他の部屋に移しました。 メスが抱卵している間、オスたちはずっとメスがいる巣箱の上・左右・前で待機しており,一見メスや巣箱を守っているようでしたが、まだ繁殖期だったため実は巣から出てくるメスを繁殖相手として待っていたのかもしれません。
巣箱を囲むオス
美しいストーリーだけではない動物の世界を感じた瞬間でした。
ととりの村・オオカミの森担当:原田佳
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