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ペンギンは1年に1回全身の羽が生え替わります。これを換羽といいます。なぜ換羽をするかというと、1年間同じ羽を使っていると撥水性や保温性が無くなってきてしまうからです。動物園で暮らしている分には多少羽の機能が弱くなってきてもそこまで問題にはなりませんが、自然界ではちょっとの羽の濡れや体温の低下が命取りにつながります。 旭山動物園ではキングペンギンは1月から4月にかけて換羽が行われます。ところがまれに換羽が起こらない個体がいます。原因は不明です。そしてもっとまれに2年間換羽が起こらない個体がいます。さすがに2年間換羽が起こらないと色がセピア色っぽくなり、見た目にもハゲてきているように見えます。未だに謎は多いのですが、鳥の換羽には甲状腺ホルモンが関係していることがわかっています。甲状腺ホルモンは私たちヒトの体でも非常に重要な役割を果たしています。調べてみると、猛禽類では甲状腺ホルモンを投与することで換羽が起こったという研究が見つかりました。お、それならペンギンでも換羽が起こるのでは!?ということで甲状腺ホルモンの投与を開始してみました。するとどうでしょう無事に換羽が始まったのです。もちろん薬には副作用などのリスクもあるので、毎日のエサの量などの健康状態のチェックを行いながら投薬しています。 来園者の方とこのお話しをしていると必ず、それって毛生え薬なんですか?と聞かれます。毛生え薬、、、ではないけれど羽生え薬って言っても良いのかな?
換羽中のキングペンギン。古い羽が浮いてきてモコモコした姿になります。
2年間換羽していないセピア色のキングペンギン(赤い○)
獣医師・オランウータン担当:佐藤
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