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新年あけましておめでとうございます! 皆様はどんな年末年始をお過ごしでしたか? 旭山動物園は12月30日〜元旦までお休みで、1月2日から開園でしたが、年始早々たくさんの方々に来園いただいており、喜ばしい限りです。 今年も皆様にとって素晴らしい1年になるよう、お祈り申し上げます。
さて、あざらし館でも飼育員が声を上げて喜ぶような嬉しいニュースがありました!
気になる内容はというと… ハズバンダリートレーニングによって、ゴマフアザラシの麦の無保定採血が成功しました!!(ハズバンダリートレーニングとは、健康管理を目的とし、動物に協力してもらいながら受診動作を行うためのトレーニングです。)
そもそもトレーニングをしていないアザラシの採血は、プールの水を抜き、アザラシの頭に毛布をかけて飼育員が人力で保定して採血するという、中々に強引なやり方なんです。
これだと、アザラシも飼育員もかなり負担がかかり、ベストな採血方法とは言えないと思います。
そこで、2023年の9月頃から麦がリラックスしながら無理なく無保定採血を行えるように、採血のハズバンダリートレーニングを始めました。
採血に向けてのトレーニングの流れとしては (1)後肢が触れようになる (2)後肢のどこを触っても待てる (3)後肢を広げたり裏返したりできる (4)後肢のどこを触っていても完全に脱力した状態で待てる (5)後肢にお湯をかけられる (6)後肢にタオルを乗せられる (7)後肢にタオルを乗せながらお湯をかけても待てる (8)針を刺す場所に指で刺激を与える (9)針を刺す場所に爪楊枝の頭や先で刺激を与える (10)針を刺す場所に先を丸めた針で刺激を与える (11)針を刺す場所に本物の針を刺し、採血を行う という流れで進めていきました。
元々、ボディタッチは100点満点な個体でしたので、後肢は割と早い段階で脱力して触れて待てる段階まで進みました。
しかし、そこからがとても長かった…! 旭山動物園は屋外での飼育なので外気温が上がると水温も上がり、夏場は暑いときで水温30度になることも…。その影響もあってか、夏場は食欲が下がり、トレーニングがままならず、また振り出しに戻ってしまうということがしばしば続きました。 トレーニング意欲も戻ってきた2024年9月頃、再度本格的に後肢の付け根から採血できるようにトレーニングを再開しました。
その後、なんとか後肢に刺激を与える段階まで進みましたが、思うように麦が落ち着いてじっと待てる状態を作ってあげることが出来ず、試行錯誤の日々が続きます。(この時点で採血トレーニング開始から1年と3か月が経過していました。)
そこで今一度色々と採血トレーニングのやり方を調べ、「今まで行っていた後肢の付け根ではなく、後肢を裏返し、指から採血をしてみよう!」ということになりました。
すると…!嫌がることもなく、血管もすぐに見つけることができ、先を丸めた針でツンツンしてみても無反応でした!(2024年12月10日)
お湯をかけて浮かび上がる血管
これはいけるのでは!?と、すかさず本物の針で、いざ採血を試みました! 獣医さんも初めてのアザラシの採血なので、初回は上手く血が返ってこず、検査に必要な量は採れませんでしたが、「針を刺してじっと待てる」は難なくぬるっとクリアできました!(志子田は心の中でガッツポーズしてました)
そして、同日の夕方にリベンジ採血…!
その結果!なんとなんと!!血液検査に必要な量も採血できて(獣医さんすごい)、麦も落ち着いて(麦えらすぎ)リラックスした状態で採血することができたんです!!(担当者2人、これまた歓喜の声を静かめにあげます)
採血成功の瞬間
麦の血液の記念撮影
その後、無事血液検査も終わり、麦は健康そのものということが分かりました。 麦はこれから性成熟を迎える年齢(4歳になります)なので、ホルモンの値が季節や妊娠によってどう変わっていくか、現在は定期的に採血を行い、指標を作っていっています。
アザラシたちの健康を守るためにもトレーニングは必要不可欠です。もぐもぐタイム中と、それ以外の時間に不定期でトレーニングを行っています。見かけた際は、ぜひ温かく見守ってくださいね!
お魚が無くて信じられない様子の麦
あざらし館担当:志子田紗希
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