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今年も終わります。皆さんにとってどんな一年だったでしょうか?旭山動物園は充実した一年でした。自分自身は統括園長という新たな立ち位置で戸惑いながらもある程度は結果につなげられた一年だったのかなと思います。外部の様々な機関と連携をして、環境や生物多様性の保全につながる取り組み、その結果として旭山動物園の社会的な役割の強化、来園動機の多様化、しいては旭川市の経済にも少なからず貢献していく、旭山動物園と外部との連携を強化し繋ぐそんな役割が統括なのかなと捉えています。動物を観てもらうことをベースに保全のプラットホームを目指していきます。 シマフクロウに関して環境省、生息域内の保全に係る専門家と協同で旭山動物園を中心とした普及啓発プロジェクト、道内9園館で取り組む北海道産いきもの保全プロジェクトの本格始動、来年からボルネオでの活動開始になるJICAの草の根支援事業等、種が芽を出し根が張り始める年になりました。 動物に関しては、アムールヒョウの繁殖がありました。日本最北の動物園として開園当初から飼育している旭山動物園を象徴する動物でもあります。子が骨折をしたため皆さんに見てもらえるのは年を越してしまいますが順調に治癒していますので今しばらくお待ちくださいね。 一方でシンリンオオカミのレラの死がありました。オオカミの森がオープンして初めて誕生した個体でした。レラの後に生まれた弟や妹の面倒もよく見て成長したのですが、社会性が強く様々な視点から順位がつくオオカミの群れの中では劣位な個体でした。生き物を飼育するうえで重要視されるようになった動物福祉・アニマルウェルフェアーの考え方の中で、人の側からの視点だけでなく、それぞれの種が持つ死生観や社会性を尊重し、死を迎えるまで飼育すること。動物園が何を見せ続けていくのか、飼育動物たちの暮らしをより豊かにしていくこととはどういうことなのか、など多くのことを考えさせられ学ばせてくれたレラでした。 さて、今年は冬になり特に海外からの来園者数が増えています。コロナのパンデミックが発生した2020年は2月3月と来園者が急減しましたが、同じ傾向でした。マレーシアに行くと乳製品のお菓子やソフトクリームなどにHOKKAIDOの名がついた製品をよく目にしました。いつか雪を見にHOKKAIDOに行きたい、そんな話をよく聞きました。いよいよ今シーズンはその環境が整ったシーズンになりそうです。オーバーツーリズムという言葉を耳にする機会が増えましたが年明けの3月までは旭山動物園でも、えっこんなに人が多いの!となってしまう予感がします。でも地球で暮らす多くの人に寒さ、雪のすばらしさや寒さの大切さを実感してもらうチャンスでもあります。多様な環境の尊さを共有することが地球の未来につながる第一歩でもあります。前向きにとらえていただければと。 来年は蛇年ですね。写真のように脱皮を続けながら旭山動物園も成長していきます。みなさまの新たな発見や気づきにつながるよう目から鱗を落とし続けながら、未来に向かっていく年にしたいと思います。 みなさま 今年も暖かく見守ってていただきありがとうございました。みなさまにとって来年も良い年になりますように。
アオダイショウの脱皮ガラ
統括園長 坂東元
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