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しいくのぶろぐ

エゾモモンガ成長記録

エゾモモンガ成長記録

 8月1日、まさかな…と思いつつ恐る恐る巣箱を覗いてみると、い、いたー!!!
 驚きのあまり一度蓋を閉めてしまいましたが、もう一度開けて記録用に写真を撮りました。
 何の写真かって?それはもちろんエゾモモンガの仔の写真です。3頭の出産を確認しました。
 エゾモモンガ舎で飼育しているメスの「べに」が7月30日から巣箱にこもるようになりました。いつも外に出ているのにおかしいなと思い、思い切って巣箱を覗いてみたのが1日です。
 なぜこんなに驚いているかというと、実は今年の繁殖は諦めていたからです。
 5月7日「べに」とオスの「ウトナ」の交尾を確認しました。数回に渡ってしっかりと交尾していたので、これは着いただろう!と確信し準備を始めていました。どの動物も交尾を確認したら計算してだいたいの出産時期の目安を出しますが、調べてもエゾモモンガの正確な妊娠期間が分からなかったため、エゾリスの妊娠期間である40日を参考におおよそ1ヶ月半、遅くても6月末までには産まれるだろうと予想していました。
 しかし6月を過ぎ、7月終盤になっても生まれる気配はなく...
 繁殖期も終わるし、交尾はしていたけど今回は妊娠しなかったんだな~と思っていた矢先の出産でした。
 恐らく5月以降に私の見てないタイミングで交尾していたのでしょう。
 エゾモモンガは目、耳の穴は開かず、毛も生えておらず、さらには指もくっついている状態で生まれてきます。最初に見たときはあまりの未熟さに驚いてしまいました。
 生まれたてはマウスの新生児と大差ないのですが、唯一違うのは目の大きさでしょうか。皮膚から薄く透けている眼球が明らかに大きいです。

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生後約5日_指がくっついている


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生後約2週間_指が離れ始める  


3

生後約3週間_体毛が生えてくる  


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 生後約35日_2頭目が開く

 
 せっかくの機会なので、エゾモモンガ舎内で飼育している個体を紹介します。
 まずは「べに」。今回出産をした母モモンガです。一般の方が保護したのちに、旭山にやってきて、今は4歳。
 人工哺育のため人間を怖がらず、警戒心も薄いです。べには幼いときから人間に育てられたため、当初は育児放棄するのではと心配していましたが、心配ご無用でした。
 一生懸命子育てしてくれていますが、私が子どもに近づいてもほとんど警戒せず観察させてくれてとっても有り難いです。

 次にオスの「ウトナ」。保護個体で、人工哺育で育ち、今年で1歳です。若いので元気いっぱいで開園中も走り回っていることが多いです。
 

 最後にメスの「おはぎ」。他園からやってきた個体で、約6歳の個体です。おばあちゃんですが食欲旺盛でたくさん食べます。なお、現在は治療中のため一時的に隔離しておりますが、治療が終わればこの中に戻します。

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(左)ウトナ(中央)おはぎ(右)べに


 エゾモモンガ舎内は巣箱を4つ設置しており、自分達の好きな場所で寝られるようにしているのですが、メスの2頭と子どもたちは、実は出産当初から1つの巣箱でみんなで寝ていました。
 大体の動物は子育て中は気が立っていて、ほかの動物を警戒し寄せ付けない!というイメージがなんとなくあったのですが、べにがおはぎを追い出すこともなく、おはぎも気を遣って出て行くでもなく、毎日同じ巣箱に戻っていく2頭の様子を見ていると、この寛容さはさすがモモンガだな...と非常に感心させられます。
 (私だったら自分の出産、子育て中にほかのメスが隣でぐーすか寝ていたら嫌ですけどね…)
 ちなみにオスは子育てに関与しないので、ウトナは窓側の巣箱で一頭で寝ているのですが、子育て中の巣箱の中に入ろうとしたらべにに怒られていました。
 べになりのボーダーラインがあるのでしょうね。
 

【最後に】
 4月から飼育員になった私の目標の1つが「エゾモモンガの繁殖」でした。
 飼育の先輩方からは、旭山でエゾモモンガはいままで繁殖したことがないと聞かされていました(後日調べたところ19年前に一度産まれていましたが、短命だったようです)。
 そんなこと言われたらやるっきゃない!!絶対に自分が担当のうちにエゾモモンガを繁殖させてやるぞ!!と根拠も無く意気込んでいたところ、思ったよりも早く目標を達成できましたが、正直なところペアの相性が良かっただけで、私が担当じゃなくても繁殖していただろうと思います。
 なによりも嬉しいのはエゾモモンガ舎内で繁殖をしてくれたことです。令和2年に建設されたエゾモモンガ舎は夜行性のエゾモモンガの姿を日中にご覧いただけるよう、昼夜逆転施設になっています。
 通常のエゾモモンガとは真逆の生活を送るモモンガたちがその中で繁殖をしてくれた、ということはストレスなく昼夜逆転できている、そしてここでの生活が自分達にとって安心できる環境だと感じてくれているのでは、と思います。
 まだまだ小さい彼らですが、すごい速度で日々成長しています。最近は巣箱から出るようになり、おっかなびっくり周囲を探検しています。是非その姿を見に来てくださいね。
 

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外の世界だー!(9/17)

【お願い】
 モモンガ、リスたちにあげていたカボチャの種が底を尽きてしまいました。私一人で消費できるカボチャの量には限界がありまして…皆さんのご家庭ででたカボチャの種をご寄付頂けるととても助かります(非常にカビやすいので、洗ったのちにしっかりと乾燥させた状態だと嬉しいです)。櫻井からのお願いでした。


エゾモモンガ舎・北海道産動物舎(小動物・野鳥)担当:櫻井結夢