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シマフクロウヒナと保全に関する取り組み

シマフクロウヒナと保全に関する取り組み

 今年の4月9日にシマフクロウのヒナが生まれ、旭山動物園でのシマフクロウの繁殖は3度目となりました。過去いずれも♂ロロ×♀モコのペアでの繁殖です。
 同じペアからの繁殖が多くなると、国内の飼育下シマフクロウ個体群のなかで血統の偏りが生じてしまうため、今回の繁殖がこのペアでの最後になるかもしれないと思っていました。実績十分のこのペアに任せておけばヒナが生まれるのは確実なのかもしれませんが、野生下のシマフクロウの現状を考えた時に、ただ飼育下でヒナが生まれ個体が増えるだけよりも、将来的にシマフクロウの保全に繋がるような取り組みにしたいと思い、人工孵化を実施しその生まれたヒナを巣に戻すことを行いました。
 これは例えば何らかの原因によって巣が放棄され、卵の状態やヒナの状態で保護される、野外で絶滅しそうな時に飼育下の卵やヒナを野生の巣に戻す取り組みに繋がる可能性があります。そのような状態にならない方が良いにこしたことはないですが、将来的にライチョウやツシマヤマネコのように野生下と飼育下、域内と域外が連携した野生動物の保全の取り組みを目指したものです。
 実際に生体や卵を移動させたりといった具体的な取り組みはまだありませんが、普及啓発の面では域内と域外の連携はすでに動き出しています。今年の春から環境省主導のもと普及啓発連携チームが制作したパネルが旭山動物園のシマフクロウ舎に展示されています。とても充実した内容でわかりやすくまとまったパネルに仕上がっていますので是非来園された際にはじっくりと目を通していただき、シマフクロウを取り巻く環境や自然のことについて興味を持っていただければと思っています。このパネルの展示に関しては、さらに設置箇所や内容も増えていく予定になっています。
 今後のシマフクロウの保全に向けた域内域外、官民一丸となった動きに期待が高まります!
 

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最近のヒナの様子。親は心配そうにしていますが、高いところにも移動するようになりました
 

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域内域外連携チーム作成のシマフクロウに関するパネル。
野外でのシマフクロウの状況や保全活動についてなど読み応えありの力作!
 

フクロウ・えぞひぐま館担当:大内章広