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この言葉は、閉園期間中にいつも心の中で掲げているスローガンです。
ただいま本園は閉園期間中です。 閉園期間中は飼育員にとって大忙し。休みは一切なく言葉通りの無休で働きます。 その間に動物の床材を取り変えたり、新たにパネルや展示物を作成したりやることはつきません。 今回は、そんな展示物についてのお話。
私は2015年から旭山動物園で働いていますが、最初の3年間は飼育員ではなく園内班という、主に来園者の対応や、委託業者の統括をするような仕事をしていました。 その経験もあり、おそらく飼育員全体の中でもかなり来園者と接することの多い飼育員だと思います。
その中でも特に印象に残っているのが、3年前にいらしたレッサーパンダを視ていた女性。 その女性は目が不自由な方でした。 お声がけをしたものの、「レッサーパンダってどんな動物なのかしら?」と尋ねられ、生態こそスラスラ出てくるものの、そのような方への『茶色』の伝え方さえ私には分かりませんでした。 ただ、その方は「動物が直接見えなくても、鳴き声だったり匂いだったり、周りの人の反応から、動きや命を感じることは出来る」とお話をしてくれました。 本園のパンフレットの表紙に書いてある言葉は【伝えるのは、命】。 このままじゃいかんな。と心に決めた一日でした。 まずは、どれだけ忙しくても、必ず自分の担当舎(旧小獣舎・は虫類舎)のガイドは一つずつやると決め、展示物も工夫を凝らしていかなければと思いました。 これは来園者全てに言えることでもありますが、我々飼育員にとって当たり前の毎日でも、来る人にとっては最初で最後の旭山動物園の場合がほとんどです。 たとえ目が不自由でも、もっともっとレッサーパンダの生き方や命を感じられるべきです。
そこで私の中で沸いてきた言葉が、「五感にブチ込め」です。 もし、何か五感に不自由があっても、他のもので補えるような展示物がなければいけないと。 ということで、現在設置してある展示物のうちいくつか紹介します。
当日に出たうんち。子どもと高校生のテンションがブチ上がる。 レッサーパンダ特有の体のつくりも説明できる。 視覚と嗅覚にうったえる展示物。
看板に貼ってあるのは、その動物の本物の抜けた毛。 野鳥が巣材用にほぼ持っていきがち。 触覚と嗅覚にうったえる展示物。
普段はじっくり見られない総排泄腔が見られる。 世間ではお財布に入れとくとお金持ちになるらしいので、衣装ケース一つ分保存してある私は大富豪になる予定。 触覚と視覚にうったえる展示物
動物を見るというのは視覚を最大限に使っており、その動物が出す音や動物舎の匂い、角などの展示物、いろいろなところで無意識に感覚を使っていることと思います。 動物園に動物を『見に来る』のはもちろんのことですが、他の感覚もほんの少しだけ意識してみると、新しい発見があるかもしれません。
ただ一つだけ、味覚についてのアプローチがなかなか出てこないので、何かアイデアがある方はこっそりと私個人に教えてくださいね。
レッサーパンダ舎・マヌルネコ舎・両生類は虫類舎担当:鈴木達也
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