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季節の変わり目

季節の変わり目

 北海道とは思えない9月の残暑(のようなもの)もさすがに落ち着き、特に朝晩は冷え込む日も増えてきました。これからどんどん冬へ向かっていくのでしょう。
 季節の変わり目は体調を崩しやすいとも言われますし、実際わたしも風邪をひいたりしましたが、動物たちも急に元気がなくなることがあるので、注意が必要です。とはいえ、北海道産動物や北方系の動物はそもそも寒さには強いので過ごしやすそうにしているようにも見えます。
 我々人間は寒さへの耐性がほとんど無く、それを衣服で補うわけですが、動物たちは服を着るわけではありません。彼ら自身の体こそが寒さ対策ですし、基本それしかありません。
 本格的な冬と寒さが来る前に体を変化させ、厳しい冬を乗り切っているのです。例えば、たくさん食べて脂肪を蓄え体内を冷えから守るだとか、体毛を防寒仕様の冬毛に変化させるなどが分かりやすいところかと思います。冬眠をして冬を乗り切る動物もいますね。
 これらの一年スパンの変化はわかりやすいですが、進化の過程で長い時間をかけ獲得した寒さへの適応というものもあります。寒い地域の動物は暖かい地域にすむ同種や近縁種に比べ体が大きいという傾向があります。この大きな体自体が寒さ対策の一つです。耳や尾など体から出っ張ったり、飛び出たりしている部分を小さくすることで熱の損失を小さくする、というパターンの進化もよく見られます。他にも動物によってさまざまな寒さ対策がありますが、どれも動物自身の体に備わっているものです。防寒着や防寒靴を利用し、暖房を使わなければすぐに凍えて命が危険になる人間とは大違いですね。
 人間は寒さにめっぽう弱い生き物です。そんな我々から見ると、マイナス20度の中、雪の上を走り回るエゾユキウサギやキタキツネは寒くないのかなと心配になることもありますが、もしかしたら余計なお世話なのかも知れません。

ユキウサギ
白い冬毛への変化途中のエゾユキウサギ。まだ茶色の部分が残っています

オランウータン舎・北海道産動物担当 中野奈央也