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トナカイの繁殖

トナカイの繁殖

 夏期開園となりゴールデンウィークも過ぎました。トナカイの生息する寒い地域にも春が来て、トナカイの食べる草花がたくさん生えてくるこの時期、5月から6月はトナカイの出産の時期になります。子供が元気に成長するために食べ物が豊富なこの時期に産むんですね。

 トナカイの出産の時期ということで、今回はトナカイの繁殖に注目してみたいと思います。

 トナカイは、雄1頭と数頭の雌が交尾をするハーレムという群れを作ります。9月下旬から11月上旬が繁殖期で、雄同士が雌をめぐって争い興奮状態が続きます。この時期は、近づくと危険なので飼育員も同じ空間に入らないようにしています。妊娠期間は230日前後で5月から6月に1頭出産します。子供は生まれて数分で立ち上がることができ、2-3日後には大人と同じように移動できるようになるため、いつ敵が来てもすぐに逃げることができます。

 旭山動物園では2019年の出産を最後にトナカイの出産がありませんでしたが、2021年に釧路動物園から雌個体(麻生)を導入し雄個体(デナリ)と同居させることで、昨年度は繁殖を試みました。導入後の繁殖期にはデナリが麻生に近付く様子は観察できましたが、交尾の瞬間を見ることはできませんでした。しかし、1日中観察できるわけではないので担当者が見ていない間に交尾していた可能性はあります。

 期待を持ちながら担当者は麻生の様子の観察を続けています。トナカイは妊娠していてもお腹の大きさがあまり変化しないため、妊娠を外見から確認することが難しいのですが毎日観察していると少しずつお腹が大きくなっているように思います。期待の目を持って見ているからかもしれませんが...。

 お腹の中の胎児が動けば胎動が見られる可能性もあるので、ぜひトナカイ舎を訪れた際には麻生のお腹をじっくり観察してみてください。
 麻生が妊娠していれば、1か月後くらいにはトナカイの子供が見られるかもしれません!

トナカイ

デナリと麻生

トナカイ担当・獣医師:篠原明