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爪の手入れ

爪の手入れ

 5月になっても肌寒い日が続いていましたが、やっと春らしい気持ちのいい日がやって来ました。


 春だからというわけではないのですが、何か最近ちょっと心が浮き立つことがあったかなと考えてみると一つありました。それは久しぶりにやった爪のお手入れです。

 この仕事では伸びた爪は邪魔なので普段から短く切っています。そんな爪でも形を整えて表面をピカピカに磨くところまでやると、見た目もさわり心地もよくて仕事中もなんとなく触ってしまいます。爪切りはめんどくさいことの一つですが、きちんとやってみるといい気分が続くものだなと思いますが皆さんはどうでしょう。


 さて、人である私は爪の手入れを定期的に道具を使っておこなっていますが、動物たちはどうやって手入れをしているのでしょうか?爪の形は平爪、鈎爪、はたまた蹄など様々ですが、それらの爪はそれぞれに役割があり、動物たちは常に爪を使っているので特に意識しなくても自然とちょうど良い状態に削れていきます。ある意味手入れが行き届いているといえます。その完成度は動物園で働いているとごくまれに体験する機会があります。


 例えばワシやフクロウの仲間の鈎爪は獲物を捕まえる武器ですが、動物園で捕獲に失敗して足で捕まれた際、爪が革手袋越しに手に食い込んだ時には痛みに悲鳴を上げました。また、チンパンジーは人と同じ平爪ですが、おやつをあげた時にちょっと爪で手をさすられるとまるでピーラーでむかれたように薄皮が剥けたこともあります。


 そんな経験もあって、動物と相対する時は爪にも充分注意を払って仕事をしています。ただ何事も例外はあって、老齢だったり、どうしても運動量が足りない場合は爪(蹄)が伸びすぎ、歩くのに支障をきたしてしまう動物もいるので飼育員が切ることがあります。当園だとキリンの雄の蹄が伸びすぎるので蹄を切るための訓練を行った結果、定期的に切ことができる様になりましたし、高齢なヤギたちは定期的に保定して蹄を削っています


 爪は人でも健康のバロメータとも言います。皆さんもたまには爪のお手入れに本腰を入れてみるのも良いかもしれませんね。では!

チンパンジー爪

チンパンジーの爪は人と同じ平爪ですが・・・

旭山動物園主幹:池谷優子