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どうぶつえん日記

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ゲンちゃん日記・令和4年12月「人と自然をつなぐ「熱い想い」」

ゲンちゃん日記・令和4年12月「人と自然をつなぐ「熱い想い」」

  この手紙が届くのは年末になりますね。今年はホッキョクグマの子ゆめの誕生、えぞひぐま館のオープンと続きました。かたや地球温暖化の象徴として取り上げられるホッキョクグマ、かたや身近な野生動物との関係の難しさの象徴としてのエゾヒグマ。旭山動物園としてはどちらもとてもタイムリーな出来事になりました。今年は白いクマと茶色のクマを軸にした一年だったかなと感じています。
 先日、環境省が行っているシマフクロウの巣箱かけに同行させていただきました。普段人が入らない川沿いのヒグマの生息地を、想像よりも多くの設営のための機材を背負い、エゾシカの獣道に沿って歩きます。巣箱と言っても直径約60センチ高さ約80センチもあります。それを高さ7メートル近くまで持ち上げて既存の木に縛り付けるのです。想像以上の労力、さらには巣箱をかける場所の選定までの地道で継続した調査‥。現在は人目につかない場所を選定しているので、このような活動はほとんど知られていません。でも現在繁殖しているシマフクロウのペアの多くが人工の巣箱を利用しているという現実があります。シマフクロウが生息繁殖できる可能性のある河畔林に大きな洞などがある巨木がないのです。これから野生個体数を増やしていくには人工の巣箱に頼らざるを得ないのです。
 シマフクロウへの、さらには人と自然との関係に「熱い想い」があるからこその持続力、こだわり、結果に結びつけていく努力があるのだと強く感じました。
 長い厳しい冬があるからこそ命をつなぐリズムが生まれる北海道の生き物たちのたくましさをしっかりと伝えていかなければと改めて思いました。
 今年は地元の方の来園がとても多い印象でした。地元に根ざした皆さんの動物園として過ごせたことに感謝して今年の手紙の締めくくりにさせていただきます。