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屋外放飼場で伸び伸び過ごす
アムールトラのメイ
北海道は9月も中旬になり、やっと秋らしくなってきました。とても「北海道の短い夏」なんて言える状況じゃないですね。知床や天売島では、海鳥の繁殖が約1か月前倒しだったと聞きました。本州では一等米の比率が極端に下がるなど、農作物への影響が大きくなっているとのニュースを見ました。そういえば、旭川でも稲が倒れている田んぼが多く見られます。いよいよ気候変動が日常の中で見える化されてきて、自分事として捉えて行動しなければと考えさせられます。 旭山動物園では、冬に向かってもうじゅう館の外壁と旧ヒグマエリアの改修工事が始まります。もうじゅう館も気づけば築25年になりました。他の施設でも老朽化対策として、空調関係の設備など大掛かりな改修工事を続けています。 旧ヒグマエリアは、アムールトラを飼育できるように放飼場の床の一部を土にしたり、立体的に動ける岩棚を造るなどの改修をします。「なぜ、アムールトラ?」と思われるかもしれませんね。日本で飼育しているアムールトラは、将来にわたって近親交配にならないよう遺伝的な多様性を保ちながら、個体群として維持していかなければいけません。その観点から、キリルとザリアの遺伝子は必要十分な状況になったため、繁殖は止めることになります。避妊処置などを行っても、ザリアと娘のメイ、キリル3頭の同居はできません。現在は放飼場が1つなので入れ替えながら飼育していますが、今後はそれぞれが、のんびりと屋外で過ごせる環境とするため、第2放飼場として整備することにしました。 秋にかけてチンパンジー、ブラッザグエノンの出産、クジャクのふ化があり、保護したヒグマの子「すなすけ」も順調に成長しています。やっと屋外で気持ちよく過ごせる気候になりました。ぜひ、動物園に足を運んでいただければと思います。
令和5年10月12日
旭山動物園 園長 坂東 元
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