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令和7年度いのちの青年弁論発表原稿(入山 夏帆さん)

身近ないのちから学んだこと

旭川龍谷高等学校3年 入山 夏帆
皆さんは、今までどのような身近な生き物と関わってきましたか。
いのちについて、考え方が変わったことはありますか。
身近な生物といえば、イヌ、ネコ、カラス、サケなど思いつくのは、人それぞれだと思います。最近ではシカやクマなどがよくニュースで取り上げられるくらい、身近な存在になってきました。
私も十七年という期間の中で多くの生き物と関わってきました。
クワガタやカブトムシは、虫かごに入れて、毎年のように世話をしていました。
野生のヒグマを見たこともあります。
今日は、実家の敷地の池の中に生息している、ザリガニやカエル、サンショウウオにフォーカスし、彼らを通して、私のいのちの見方の変化と、これからについてお話しします。
 
初めて池の中に興味を持ったのは、小学校四年生の時でした。
理科の授業のために、オタマジャクシを寄付しようと学校に持って行きました。
私が寄付したバケツの中には、オタマジャクシだけではなく、二種類の生き物がいたことを、元々理科の先生だった校長先生に教えてもらいました。
私がそれまで、オタマジャクシだと思っていた生き物は、実は、サンショウウオだったのです。
この頃は、生き物にエサをあげたり、観察したりするだけで、とても楽しかったです。写真を撮って、夏休みの自由研究にしたりしていました。
 
私が、いのちについて考えるきっかけになったのは、あるテレビ番組を見たことでした。
その番組を見て、絶滅危惧種の存在を、初めて知ったのです。保護猫、保護犬がいることも知りました。
地球温暖化の影響で、地球から多くの生物がいなくなっていることも知りました。人類が及ぼす、地球や他の生物への影響はとてつもなく大きなものでした。
その時から、池の中で生きている、オタマジャクシやサンショウウオ、ザリガニを大切にしなければならないと感じ始めるようになりました。彼らの生態について調べるようにもなりました。
彼らが、より良く生きることができるようにと、ゴミを拾い、落ち葉の量を調整して、池の環境を整えました。一方では、介入しすぎないようにもしました。専門家でもプロでもない私は、必要以上に、彼らに干渉しないことがベストであると考えたのです。知識のない私の行動が、彼らを危険に晒すかもしれないと感じたのです。
 
私は、人間の、他の生物の「いのちの扱い方」に対して、大きな疑問を持ちました。
彼らは、一生懸命生きています。
人間は、お金を稼ぐため、自分たちだけの幸せや豊かさを求めて、今日を生き延び、多くの子孫を後世に残そうと、必死に生きている生き物たちを、軽率に扱い過ぎているのではないでしょうか。
 
キモチワルイ、なんか変な色や見た目をしている、かわいい、かわいくない、好き、嫌い、自分たち人間に都合が良い、悪い。そんな考え方一つで、私達は、多くのいのちを犠牲にしてきたように思います。
 
いのちを失うのは私たちが思っている以上に一瞬で、この世から消えてしまったら、もう二度と戻ってくることはできません。
たったの一匹でも同じ。彼にしかない「いのち」は、いなくなれば、もう帰ってこないのです。
 
動物との関係に難しさを感じている人もいると思います。世界的な規模で考えると、複雑で想像しにくいと思います。
けれど、どんな動物でもいいんです。カラスでもいいし、飼っているイヌやネコでもいいんです。
「いのちを大切にしよう」という気持ちを、少しでも多くの人が持つことで、いのちに対する考え方は変わることができます。意識一つで私たちの行動は変えることができるのです。目先の変化に囚われず、根気強く付き合っていくことが大切なのです。
 
テレビ番組とノンフィクションの動物の本を通して、私の、「いのちの考え方」は変わりました。
「かわいい、かわいそう」、ただそう感じる存在から、「守りたい、もっと知りたい、共に生きたい」存在へと変わってきたのです。
なにか、行動を起こしたい。彼らの助けになりたい。生き物に対しての正しい知識を身につけて、人と動物をつなぐ架け橋になりたい。
 
私は将来、研究者としての立場から、身近な生物にアプローチしていきたいと考えています。
まずは、私が生き物と関わる原点となった、地元の生態系を守っていくことから始めます。