ページの本文です。
ページのニュースです。
ページID:008784
昭和54年の「こうほう旭川市民」より
昭和54年、こうほう旭川市民で、10回に渡り、飼育員が書いた旭山動物園の様子が連載されていました。今回の「読み物」はその中の一つを紹介します。
今日は、ヤマアラシのトゲ丸が便秘をしたときの話をしよう。 もうかなり前のことになるが、トゲ丸がフンヅマリを起こした。 あのいつもの見慣れたウンコが、全く見当たらないのだ。5日以上にもなる。 黒っぽくて、あずき豆ぐらいの大きさのヤツが、 ちょうどブドウの房のように固まって出てくる。 その日の体の調子によって、硬かったり、軟らかかったりする。 それを見て、「今日はいいウンコだ。よし、元気だな。」とわかる。それがないのだ。 いつも同じ場所にしているはずなのに、どこにもない。 そういえば、このごろ食べ残しが目につく。なにか変な物でも食べたのだろうか。 何か気に入らないことでも起きたのだろうか。客にいじめられたのだろうか。 こまった、こまった。 動物病院の先生に相談した。 「こりゃまいったな。もし明日もウンコが出なかったら、浣腸しましょう。」 「カンチョー!!」
ヤ、ヤマアラシに浣腸だって!? あのトゲ丸をどうやって押さえるの。あのトゲトゲハリハリの山の中から、 どうやって尻の穴を見つけるの。 もし、暴れでもして、あのトゲハリが顔にズブズブ…&helli その晩、深酒。 次の日、あのいつもの場所にウンコがあった。 ブドウの房のような、懐かしいウンコがあった。 いつも思う。 「みんな、ウンコだけはちゃんとしろよ。」-と。
え・文 阿部 寛
当時の獣医師である小菅(現園長)に聞いたところ「非常に苦労したうえに、浣腸をした。」とのお言葉。どのようにしたか気になり詳しく聞いたら、金網を円錐型にし、そこへトゲ丸を入れて浣腸をしたそうです。金網にトゲがはまり、抜けなくなって固定できたということ! 分厚い革手袋をして手で押さえた?麻袋にでもいれたの?と考えたのですが、まさかトゲを固定するとは思いませんでした。
フッターです。