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旭山動物園について

旭山動物園ヒストリー・読み物 平成元年(1)

キリンの「トモ」(平成元年)

「トモ」の写真
人に抱えられているキリンの様子

この年5月末、アミメキリン「タミオ」のお嫁さんとして、埼玉県こども自然動物公園よりメスの「マーナ」が来園しました。
マーナは来園したとき、既に身ごもっていて、夏にその仔「トモ」が生まれました。
トモは順調に生育し、来園者の人気を集めました。そして12月、生まれて初めての冬、氷で足を滑らせてしまったのです。
最初は右後足を引きずって歩いていましたが、2日後には、かばった左後足も動きが悪くなり、さらに後足をかばって前足までも動かなくなり、ついには座りこんで、再び立つことはできませんでした。そして、その2日後、息を引きとりました。
解剖をして原因を調べたところ、右後足の2ヶ所の小さな筋肉に断裂が見つかりました。ほんの小さな傷だけで歩けなくなり、命を落としてしまうなんて。キリンのスマートな体型が微妙なバランスの上で成り立っていることを実感させられます。
長身のキリンは重心が上の方にあり、それを支える四肢は、「命の要」といって良いくらい重要な部位です。水を飲むとき、他の動物みたいにしゃがまず、前足を横いっぱいに広げて飲みます。これは、敵に襲われたとき、すぐに逃げることができるためといわれています。「トモ」もヒトのように、怪我をしたら座って休んだり、寝ることができれば、命をなくすようなことはなかったと思います。