令和6年度旭川市文化賞 受賞者が決定しました
令和6年度 旭川市文化賞 各賞の受賞者
旭川市文化賞は、芸術・科学・教育の分野で、旭川市の文化の発展に特に貢献したと認められる個人や団体に授与しています。
令和6年度は、旭川市文化賞に芸術(創作人形)の 宮竹 眞澄 さん、旭川市文化功労賞に芸術(茶道)の 塩野谷 恒也 さん、旭川市文化奨励賞に芸術(日本現代舞踊)の徳本 禄智寿 さんの受賞が決定しました。
旭川市文化賞
宮竹 眞澄(みやたけ ますみ)さん/芸術(創作人形)
昭和53年、子育ての合間に出来る趣味を始めようと思い立ち、もともと手仕事が好きで人形作りに興味を抱いていたことから、人形制作に関する本を一冊購入し、独学で人形創作を始める。
当初は西洋風の人形を作っていたが、平成3年に北海道へ移住した際、まちに広がる田園風景が故郷・大分県宇佐市で見ていた景色と重なったことや、移住先の女性たちとの交流を通じて、快活で温かい笑顔を人形で表現したいという気持ちが芽生えたことから、郷愁を誘う生活の情景や、逞しくも朗らかに暮らす人々を題材とした現在の作風へと変化していった。
展覧会については、はじめは旭川市や東川町で個展を開催していたが、作品を見た人による反響の大きさや、「作品を見たいが遠方に住んでいるため見に行けない」といった声を受け、平成20年よりライフワークである「宮竹眞澄・心のふる里人形展」を開始し、全国巡回展を開くようになった。行く先々で贈られる歓迎の言葉や、「来て良かった」等の感想を原動力に展覧会は現在まで続けられ、これまでに130回以上開催し15万人以上が来場している。今後はこれまで県庁所在地や大都市での開催が多かった展覧会を、どの地域に住む人にも訪問しやすいように、小さな町でも開催することを目標としている。
旭川市周辺の風景や地域の人々との関わりの中で唯一無二の作風を創り上げ、作品を見た多くの人に活力や感動を与えている宮竹氏の功績は、本市を始めとした全国での文化芸術の振興と発展において極めて大きなものである。
旭川市文化功労賞
塩野谷 恒也(しおのや つねや)さん / 芸術(茶道)
茶道を通じて礼儀作法を身につけてほしいという母のすすめで茶道を習い始める。
おばの指導のもと研鑽を重ねていく中で、点茶のみならず日常におけるあらゆる所作への気配りや、活けられた花や会場の建築の素晴らしさといった、生活の細部を見る目が養われ充実していく茶道の世界に魅了される。
昭和42年、茶道裏千家淡交会旭川支部青年部発足と同時に同会へ入会する。その後は青年部長、旭川支部副部長、旭川支部長を歴任し、数多くの後進の育成指導にあたるとともに、旭川市の裏千家茶道の振興発展に尽力する。
また、女性比率の高い茶道の世界において、男性愛好家の技術や結束力を高めることを目的として、茶道の流派を超えた男性たちによる集いである霜月会を牽引し、発足から75年を超えた現在まで活動を続けている。このような取組を現在に至るまで継続している茶道団体は道内の他の自治体にはほとんど例が見られない。
さらに、塩野谷氏が旭川ドイツ交流協会員としても活動していることから、茶道を通じた日本の伝統文化を体験してもらうために、ドイツの人々を招待した茶会の主催も行っている。
現在は茶道裏千家淡交会旭川支部顧問に就任し、一杯のお茶から人を和ませる茶道の魅力や奥深さを伝える活動を続けている。
長年にわたり茶道家として活動し数多くの後進の育成に尽力してきたことに加え、様々な団体と協力関係を築き上げながら、流派や国籍を超えた茶会を主催し現在まで続けるなど、幅広い方面において本市の茶道文化の振興と発展に尽くしてきた塩野谷氏の功績は極めて大きい。
旭川市文化奨励賞
徳本 禄智寿(とくもと ろくともじゅ)さん / 芸術(日本現代舞踊)
日本現代舞踊徳本流初代家元である徳本禄親師に師事し、2歳の頃から舞踊を始め、3歳で初舞台を踏む。幼少から熱心な稽古や多くの舞台経験を重ねる中で舞踊及び振付の研鑽を積み、平成23年より徳本流二代目家元を襲名する。
現在、市内の教室において3歳~90代に至るまでの幅広い年齢層の生徒およそ120名へ舞踊指導を行っており、伝統的な舞踊の動きを主軸としながらも、聞き慣れた楽曲で踊ることのできる親しみやすさもある日本現代舞踊の魅力を伝えている。
また、振付師としての活動も精力的に行っており、古典音楽のみならず、演歌や歌謡曲、タンゴやJポップなど、ジャンルを問わず幅広い楽曲に対して振付を考案している。
平成25年よりクラウン邦楽舞踊協会の専属助教授に就任し、歌謡曲等に対し制作された振付譜は、クラウンレコードから全国販売されるCDに同封されている。
そのほか、台湾の中華民国日本舞踊舞踏研究協会会員への舞踊・振付指導も行い、日本現代舞踊を通じた国際交流にも取り組んでいる。
さらに、舞台の演出も自身で手がけており、旭川市民文化会館で実施される定期公演においては、自前の大道具で舞台を装飾し、衣装の着付けやメイク等のプロフェッショナルをスタッフとして呼び集めるなど、表舞台から舞台裏に至るまで総合的な演出を行っている。
日本現代舞踊家として多くの後進育成に尽力しているとともに、様々な楽曲への振付や本格的な演出による舞台を主催するなど、徳本氏の本市に根ざした活動と実績は市内の舞踊文化の振興と発展に大きく寄与するものであり、今後もさらなる活躍が期待される。