旭川市文化賞 令和元年度受賞者が決定しました。
令和元年度 旭川市文化賞 各賞の受賞者
旭川市文化賞は、芸術・科学・教育の分野で、旭川市の文化の発展に特に貢献したと認められる個人や団体に授与しています。今年度は、旭川市文化功労賞に科学(アイヌ民族文化)の工藤 稠(くどう しげる)さん、旭川市文化奨励賞に芸術(陶芸)の柏川 法潤(かしかわ ほうじゅん)さん、並びに芸術(文学・文化活動)の旭川文学資料友の会(あさひかわぶんがくしりょうとものかい)さんの受賞が決まりました。
旭川市文化功労賞
工藤 稠(くどう しげる)さん
科学(アイヌ民族文化)
工藤 稠 さん
昭和13年青森県出身。昭和28年に北海道へ渡る。
自衛官として旭川市に赴任し、アイヌ民族の血を継ぐ妻との結婚を機に、縁戚の川村カ子ト氏や義祖父の栗山国四郎から先人たちの教えと指導を受け、アイヌ民族文化と深く関わることとなる。
誇り高いアイヌ民族の歴史と文化を尊重し、アイヌ民族の権利回復と地位向上を図るための活動や、文化を保存し伝承に努める取り組みの牽引力となって活躍してきた。
特にアイヌ民族の住居「チセ」の建設・修復ができる棟梁役や秋月橋から旭橋への川下り、神居古潭の激流を丸木舟で横断する技術を持ち、伝承者としての役割を担っており、棟梁役として手掛けた「チセ」は嵐山公園に3棟、博物館に1棟、計4棟が現存し、氏の卓越した技量を物語っている。
また、旭川アイヌ協議会事務局長として43年、旭川チカップニアイヌ民族文化保存会事務局長として35年、事業計画や実施要領の作成、関係団体との折衝などにも尽力している。
永年にわたり、本市のアイヌ文化の伝承と振興に尽くした功績は極めて大きい。
旭川市文化奨励賞
柏川 法潤(かしかわ ほうじゅん)さん
芸術(陶芸)
柏川 法潤 さん
昭和27年に十勝管内上士幌町で生まれる。
新ロマン派美術協会(昭和21年創立)の会員・顧問として、陶芸において自らの技術の研さんに努め、指導者としても尽力。
平成13年に新ロマン派展への初出品で読売新聞社賞を受賞。道展、全陶展等の多くの展覧会に作品を発表している。
平成14年、大滝村北海道陶芸展に「故城」を出品し、大賞を受賞。この作品は、柏川氏が以前中国内シルクロードを旅行した際、訪れた砂漠の中のオアシスの町トルファンの近郊に残された崩れかけた高昌故城、交河故城の心象を表現したものである。粘土を違え吹き付けたり、また焼き方も工夫されたこの作品は高く評価され受賞に至った。
同年、新ロマン派展においては上川支庁長賞を受賞している。
その後も精力的に創作活動を行い、平成25年の全陶展では、地元旭川の土を使い、還元で焼き締めた作品「風の詩」が文部科学大臣賞を受賞した。陶芸評論家の黒田和哉氏に「圧倒的な造形力」「素晴らしい作品である」と評されている。
本市陶芸分野の中心人物の一人として、後進の育成に努めるなど、本市の文化・芸術の振興と発展に貢献するものであり、今後一層の活躍が期待される。
旭川文学資料友の会(あさひかわぶんがくしりょうとものかい)さん
芸術(文学・文化活動)
旭川文学資料友の会 さん
平成13年、「旭川文学資料研究会」として創設。
主に旭川にゆかりのある文学資料の調査、収集、整理保存、展示等の活動を行い、旭川文学関係施設の運営及び旭川の文化発展に寄与することを目的としている。
散逸しがちな地域の文学資料を収集し、データベース化するなど研究者をはじめとする多くの市民の文化活動を支えている。
また、資料を市民に向けて展示紹介するため、毎年数回の企画展を実施しており、旭川ゆかりの文学者に焦点をあてた旭川文学資料展は今年で22回目となる。
これまで資料展で取り上げてきた主な文学者として、安部公房、下村保太郎、齋藤瀏・史、佐藤喜一、木野工などがあり、この他にも「教科書、ノート展…昔と今」、「子どもの遊び展」、「旭山動物園の50年展」などの、より生活に密着した企画展も行っている。
これらの活動以外にも、市内外の中高生や大学生、大学院生のフィールドワークの場所を提供。
また,平成21年から市の委託により旭川文学資料館を開館し運営、平成26年には井上靖記念館の指定管理者となり、活動の幅を広げている。
平成22年に上川管内教育実践表彰を受賞。平成23年には第10回北海道新聞北のみらい奨励賞を受賞している。
NHK旭川放送局が開局80周年プレイベントとして開催した「愛されて100年常磐公園の歩み展」への協力に対して、平成25年に感謝状を受領している。
市民と文学をつなげる役割を担い、ボランティア会員が中心となって地道に意義深い活動を行っており、今後も一層の活躍が期待される。
歴代受賞者
●令和元年度の受賞者