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どうぶつえん日記

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令和7年11月「手書き看板に込められた想い」

手書き看板に込められた想い

 猛暑だったこの夏、園内一体を緑色に染めていた木々達も、11月に入り、たくさんの葉を落とし、冬の装いに変わろうとしています。動物達も長く寒さ厳しい季節に備え、夏毛から冬毛へと徐々に衣替えしています。冬期開園シーズンの到来です。
 さて、今回は、そんな旭山動物園に来たなら必ず押さえたい、見どころを紹介したいと思います。それは、皆さんもご存じかもしれませんが、動物の「手書き看板」です。
手書き看板は、旭山動物園のテーマ「伝えるのは命」を具現化した、その原点ともいえる取組です。「下手でもいいかから、一番間近で動物のことを知る飼育担当が書くべきだ」というコンセプトのもと、担当が変わっても、その想いは脈々と引き継がれてきました。まさに「旭山のお家芸」といえるものです。
この手書き看板、主に夏期開園前の4月、各飼育担当が夜遅くまで、手間暇かけて作成しているもので、実は毎年更新されています。動物の羽や毛を取り入れたものなど、内容や形状は様々で、各展示施設に掲示された看板は個性のぶつかり合い、まるで飼育担当が競演する作品展のようです。
その中身といえば、その動物ならではの生態や特徴、野生下での現状をはじめ、飼育担当でなければ知りえないような内容など、手書きだからこそ伝わる、動物達への愛情や想いが、熱いメッセージとして書かれているのです。
近年では、飼育スタッフの作成スキルも向上し、シンリンオオカミを絵画のように描き上げたものや、カバの口の中を3D化した力作も登場し、来園者の皆さんにも楽しんでいただけているのでは、と感じています。手書き看板が今後どのように進化していくのか、とても楽しみでもあります。
 旭山動物園では、これからも人と野生をつなぐ場所として、命の尊さや生きることの素晴らしさを伝えていきたいと思います。ぜひ「手書き看板」からもそのメッセージを受け取っていただければ幸いです。
 

カバの3D手作り看板

本物の歯を使った3Dの手作り看板

 
令和7年11月5日
旭山動物園 加藤

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