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旭山動物園について

旭山動物園ヒストリー・読み物 こんにちは(1)

昭和54年の「こうほう旭川市民」より

旭山動物園からこんにちは

どうぶつえんからコンニチワ

昭和54年、こうほう旭川市民で、10回に渡り、飼育員が書いた旭山動物園の様子が連載されていました。今回の「読み物」はその中の一つを紹介します。

今日は、ヤマアラシのトゲ丸が便秘をしたときの話をしよう。
もうかなり前のことになるが、トゲ丸がフンヅマリを起こした。
あのいつもの見慣れたウンコが、全く見当たらないのだ。5日以上にもなる。
黒っぽくて、あずき豆ぐらいの大きさのヤツが、
ちょうどブドウの房のように固まって出てくる。
その日の体の調子によって、硬かったり、軟らかかったりする。
それを見て、「今日はいいウンコだ。よし、元気だな。」とわかる。それがないのだ。
いつも同じ場所にしているはずなのに、どこにもない。
そういえば、このごろ食べ残しが目につく。なにか変な物でも食べたのだろうか。
何か気に入らないことでも起きたのだろうか。客にいじめられたのだろうか。
こまった、こまった。
動物病院の先生に相談した。
「こりゃまいったな。もし明日もウンコが出なかったら、浣腸しましょう。」
「カンチョー!!」

ヤマアラシに浣腸しているイラスト

ヤ、ヤマアラシに浣腸だって!?
あのトゲ丸をどうやって押さえるの。あのトゲトゲハリハリの山の中から、
どうやって尻の穴を見つけるの。
もし、暴れでもして、あのトゲハリが顔にズブズブ…&helli
その晩、深酒。
次の日、あのいつもの場所にウンコがあった。
ブドウの房のような、懐かしいウンコがあった。
いつも思う。
「みんな、ウンコだけはちゃんとしろよ。」-と。

え・文 阿部 寛

その時の様子

当時の獣医師である小菅(現園長)に聞いたところ「非常に苦労したうえに、浣腸をした。」とのお言葉。どのようにしたか気になり詳しく聞いたら、金網を円錐型にし、そこへトゲ丸を入れて浣腸をしたそうです。金網にトゲがはまり、抜けなくなって固定できたということ!
分厚い革手袋をして手で押さえた?麻袋にでもいれたの?と考えたのですが、まさかトゲを固定するとは思いませんでした。