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旭山動物園について

旭山動物園ヒストリー・読み物 旭川叢書「きたの動物園」(8)

旭川叢書
「きたの動物園-旭山のすてきな仲間たち-」から
著者 菅野 浩

平成9年、旭山動物園30周年記念の時に刊行された本(現在は絶版)の中から、
抜粋して動物たちや園でのお話を紹介していきます。

昭和62年(1987) 夜の動物園

夜の動物ウォッチング「カバ」

夜の動物園の様子
たくさんの人たちが飼育係の話を聞いています。
夜の方が活発な動物たちはたくさんいます。

旭山動物園の20周年を記念した行事の一つとして「夜の動物園」を開設することになりました。
ワンポイントガイドやサマースクールなどの学習教育活動のなかで、昼の開園時間中とは全く異なる夜の動物たちの生態を、ぜひ市民の皆様に観てもらいたいと考えるようになったのですが、どうせなら、園内に照明設備も用意して本格的にやろうという計画になりました。もう一つのねらいは、どうぶつえんからの旭川の街の夜景のすばらしさを、楽しんでもらおうということと、夜に動物たちとの出会いを楽しめる場所があっても良いのではということです。
心配なのは、動物たちの反応と入園者の行動でした。特に、若い2人連れが暗い横道にまぎれこんだり、子どもが足をとられて負傷しないように、ロープを張ったり、柵を設けたり、案内看板をつけたりと神経を使いました。
しかし入園された人たちは、夜、わざわざ動物園まで足を運んで下さった方々です。夜の動物園を楽しみ、夜の生態を観察したいという意欲が感じられて、心配したトラブルは一件もありませんでした。

夜の動物ガイド

昼間では見ることができない、夜間の動物たちの姿を知ってもらいたい、という動機で始められた夜の動物園は、昼間とはもう一つ違った夜の動物園の魅力を発見させてくれたように思われます。
飼育係員による「夜の動物ウォッチングガイド」も始められました。
飼育係員が二人で組になり、何ヶ所かで場所を決めて同時にガイドをスタートします。それは、一ヶ所だけでは入園者が大勢集まり過ぎて、担当者の説明が全部の人に十分届かないおそれがあると考えたからです。さらには夜の動物園に来園される入園者は、本当に動物が好きで、動物たちと親しみ、動物園を楽しもうとして来られる方々だと考え、できるだけ飼育係員が直接話しかけて、一つ一つていねいに細かいところまでガイドしたいと考えたからでした。
ガイドは幸いにも好評で、毎回たくさんの入園者が集まって熱心に聴いていただきました。一つだけ苦情があたのですが、それは、せっかくの楽しいガイドが、何ヶ所も同時に始められるので、全部を聴くことができないということでした。ガイドを楽しみ、喜んでいただけた証拠とも言えるうれしい苦情でした。