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旭山動物園について

旭山動物園ヒストリー・読み物 平成4年

爬虫舎の改築(平成4年夏)

爬虫舎の写真

平成4年、爬虫舎の改築がありました。
この施設はいわゆる動物園エンリッチメントに合致する施設ではなく、既に14枚のスケッチなど、現在の動物園の施設につながる構想があった頃なのにと思い、当時の事を園長に聞いてみました。
「このままでは、爬虫舎が潰れて、ワニが逃げ出すぞ」
毎年、予算要求を繰り返していたのですが、この危険性をなかなか理解してもらえず、予算を認めてもらえませんでした。もう、これ以上待てないと思った平成4年度予算の要求時、動物園が財政当局に訴えた言葉がこれでした。
老朽化施設の代表格だった爬虫舎の土台部分は明らかに埋没していましたし、土台と屋根との間に亀裂が生じてもいました。このままでは3頭いるアメリカアリゲーターが脱出してしまう危険性があると真剣に思っていました。
でも「どうせ立て直すのなら、もう少しゆとりのあるものにしたい」と思って算出した予算要求額でしたが、認められた予算は現状維持の分だけでした。実際には、爬虫類には絶対に必要な温度管理をする設備をすれば、予算額では足りなくなってしまい、緊急に残った予算をかき集めて改築したのが現在の「爬虫舎」なのです。予算が不十分な中、当時としてはあれが精一杯の改築だった。
現在の爬虫舎を見て、他の獣舎との落差に「ワニたちがかわいそうだ」というご意見も頂戴します。しかし、私たちは決してワニたちをないがしろにしているわけではなく、予算が少ない中、当時としてはあれが精一杯の修理だったという事を分かってもらえれば幸いです。
ところで、このワニたちを引っ越しさせるのは実は大変な事でした。
まず、8月に旧爬虫舎から出すときですが、ワニが大きくなって入れたところから出せなかったので、ガラスを割り、そこから出したのですが、ワニが暴れ、近くのパイプにかみついたりしたので、麻袋をかぶせておとなしくさせて出しました。
その後、水きん舎で改築の期間を過ごし、12月に新爬虫舎に引越ましたが、その際も水きん舎の暖房を止め、動きを悪くし、麻袋をかけて引越をしました。

モユクカムイ31号(PDF形式 2,433キロバイト)