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ページID:084007
2024年12月に飼育下シマフクロウ個体群の遺伝的多様性を保持すること目的として、それまで旭山動物園でペア飼育をしてきたロロ(オス)とモコ(メス)のペアを解消し、釧路市動物園でペア飼育されていたものの繁殖がうまくいっていなかったサクラ(メス)をモコと交換し、新しくロロとサクラのペアで繁殖を進めていくことになりました。 野外のシマフクロウはつがい相手が死亡したりするなどでいなくならない限りペアの相手を変えることはありません。本来であればロロとモコもとても良いペアだったので、そのままずっと一緒に飼育をしていくこともできましたが、シマフクロウは環境省を主体とした「保護増殖事業」の対象種となっています。その一環として、飼育下では野外のシマフクロウの不測の事態に備え、種を維持したり繁殖させたりする必要もあるため同じ遺伝子を持つ子孫ばかりを増やしていくことよりも、さまざまな血統の遺伝子をプールしておくことも重要となります。そこで経験豊富なオスのロロと野生生まれのサクラを新たにペアにすることになりました。
ロロとサクラのペア
前置きが長くなりましたが、そんなロロとサクラのペアに2月28日と3月4日待望の産卵がありました。 2024年12月に初めて同居をした頃は警戒心MAXで常にロロの対面に動き一定の距離を保っていましたが、そんなサクラにもロロは少しずつ距離を詰めていき、営巣場所で鳴いてみたり求愛給餌をしたりと一生懸命アピールをしていました。その甲斐もあって徐々に2羽の距離は縮まり、鳴き交わしや交尾まで観察できるようになったのは昨年の繁殖期終盤の3-4月頃でした。残念ながら昨年は産卵まで至りませんでしたが、着実にペアとして進歩が見られたシーズンとなりました。 そして今シーズン、昨年の終盤同様に繁殖行動もしっかりと確認でき待望の産卵となりました。初めての産卵となったサクラでしたがしっかりと卵を温める様子や、それをしっかりと巣の外で見張り、時折心配そうに巣の中に何度も様子を確認しに来るロロをモニター越しに観察していました。 ヒナが孵るのを2羽とともに心待ちにしていましたが、残念ながら孵化予定日を過ぎても変化はありませんでした。確認のため卵を調べたところ2卵とも発生もしておらず無精卵でした。
モニター越しで確認
飼育下でのシマフクロウの初めての繁殖は、成功する可能性が低いことが知られています。今回の繁殖はうまくいきませんでしたが、ペアの組み換えからここまで順調に進んでいるため悲観する必要はないと考えています。確実に、一歩ずつではありますが新しいペアは成長し、飼育下だけだはなく野生下においてもシマフクロウの保全にきっと貢献してくれることになると考えています。
先日の改定された環境省のレッドリストではシマフクロウは保護事業が順調に進んでいるとのことでランクが一つ下げられましたが、まだまだ安心できるわけではありません。バードウォッチャーやカメラマンによる生息地への立ち入りがシマフクロウの繁殖や採餌に深刻な影響を与えていることについても評価書では言及されています。 シマフクロウの保護・保全には生息域内・生息域外で協力が不可欠です。動物園は生息域外を担っているわけですが、動物園でシマフクロウを飼育する理由の一つに彼らの生活や繁殖の様子を観察してもらうことで「知ってもらう」、「興味や関心を持ってもらう」、「観察のマナーや自分たちにできることなどについて考えてもらう」といったことも重要な役割となっています。
いつの日か、動物園で見たシマフクロウのつがいの様子や親子の様子が北海道のあちこちで自然に目にすることができる、そしてそれが北海道に暮らす人にとっても当たり前のようになる、そんな未来に繋がることを期待しながら今後もロロとサクラのペアを見守っていきたいと思っています。
フクロウ担当:大内章広
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