血管外科

最終更新日 2024年10月1日

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メッセージ

2024年10月1日より、血管外科を開設しております。ここ旭川は全国でも高齢化人口の割合が多い地域で、今後血管病患者の増加が予測されています。市内、近隣地域における血管病に対する質の高い安全な血管診療(予防・治療)を提供できるよう尽力していきたいと思います。

取り扱う疾患

私たちは脳、心臓、胸部大血管を除くほぼすべての動脈・静脈疾患に対して診療を行っております。主に動脈では閉塞性動脈硬化症、腹部大動脈瘤、静脈では下肢静脈瘤、深部静脈血栓症、透析用ブラッドアクセストラブルを扱っており、標準治療から低侵襲で最先端の治療が提供できる環境が整っております。

動脈の病気

閉塞性動脈硬化症

動脈硬化による狭窄(細くなる)や閉塞(詰まる)は、全身の動脈に起こります。腹部や下肢の血管に生じることが多く、下に示す下肢の虚血症状がでる病気を閉塞性動脈硬化症と言います。重要なのは、日頃から高血圧、脂質異常症などの生活習慣病などの動脈硬化を来たす要因(リスク)を減らすことですが、症状があれば、専門外来を受診することで適切な診断に至り、治療を受けることで、より長く元気な足を維持していくことができます。ぜひ血管外科外来でご相談下さい。
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こんな症状があったら対応します!

・足先が冷たく感じる(冷感)
・歩くと足がだるくなる(間欠性跛行)
・だまっていても足が痛い(安静時痛)
・足指や足部のキズが治らない(潰瘍・壊疽)
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こんな治療が可能です!

・血管内カテーテル治療
 狭窄血管部を広げ、再狭窄を防ぐ器具を入れます。
 バルーン拡張、ステント留置、ステントグラフト留置
・血栓内膜摘除術
 狭窄血管部のこびりついた動脈硬化を取り除きます。主に股の付けの動脈が対象です。
・末梢バイパス手術
 広範囲の血管狭窄が認められるときや、キズが大きい時に行います。
 主に下腿や足部まで、ご自身の静脈を使用してバイパスを行います。
・補助療法
 レオカーナ治療というアフェレーシス治療(血液濾過)になります。血液の粘度を調節して末梢循環改善を期待して行います。

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旭川医科大学外科学講座血管外科の関連施設として、下肢閉塞性動脈硬化症の治療を得意としております。最も重症度の高い下肢虚血にも血行再建を実施し、機能的救肢(歩ける下肢)の維持を目指した治療が受けられます。

腹部大動脈瘤

腹部の大動脈が正常(約2cm)の1.5倍以上(3cm以上)に膨らんだ瘤(こぶ)を腹部
大動脈瘤と言います。無症状のことが多く、偶然に見つかることが多いとされ破裂して初めてわかることもしばしば経験します。原因は、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の合併が多く内科管理が重要され、特に喫煙と動脈瘤の拡大は密接に関連しており、禁煙は最も重要で必須になります。日常診療での触診やエコー検査などによって早期発見が可能です。腹部大動脈瘤は自然に、あるいは薬で小さくなることはまずありません。破裂すると致死的となるため、見つかったら血管外科外来への受診をお薦めいたします。

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こんな症状があったら対応します!

多くは無症状ですが・・・
・おなかに手を当てると拍動性のこぶを触れる
・検査で指摘された
・腰痛や腹痛、圧迫感
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こんな治療が可能です!

万が一瘤が破裂してしまった場合は、痛みや出血性のショックが引き起こされ、高い確率で生命が奪われてしまいます。破裂する前に手術を行った場合の早期死亡率は1.4~5.1%と比較的良好とされますが、破裂してしまった場合の手術成績はよくないため、破裂する前に診断し、5cmを超えてくるような時期に適切な治療を行うことが重要となります。当院では、開腹人工血管置換術と腹部ステングラフト内挿術(EVAR)の2つの方法での手術が可能です。患者の希望を取り入れつつ、リスクや動脈形状に合わせた最適な治療法を選択しご提案いたします。
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下肢静脈瘤

下肢静脈瘤とは、下肢の静脈に逆流が生じる結果、下肢に血液が溜まってしまう病気のことを言います。いわゆる下肢の血液の渋滞症状として、血管のこぶ、脚のだるさ、重苦感、掻痒、つり・けいれんといった症状が現れます。重症度が進むと、皮膚の炎症から色づきや、潰瘍などが生じてしまい治療が難しくなることがあります。決して命に関わる病気ではないものの、人知れず長く悩んでいる患者さんが多い病気でもあります。
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こんな症状があったら対応します!

・血管がぼこっと浮き出る(こぶ)
・脚がだるい、重く感じる(重苦感)
・むくむ(浮腫)
・かゆい(掻痒)
・就寝中につったり、けいれんする(こむら返り)
・なんとなく足に違和感を感じる
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こんな治療が可能です!

・圧迫療法(弾性ストッキングまたは弾性包帯)
 皮膚の外から静脈を圧迫して血液の渋滞症状を緩和させます。いろいろな質感の弾性ストッキングを取りそろえておりますのでお気軽にご相談ください。
・手術
<血管内(カテーテル)治療>
 血管内焼灼術(レーザー治療/高周波治療)
 カテーテルを血管内に挿入し、熱で閉塞させる治療です。
 血管内塞栓術(グルー治療)
 カテーテルを血管内に挿入して、医療用の糊を注入して閉塞させます。
<ストリッピング(抜去)術>
 ストリッパーと言われる器具を血管内に挿入して、外科的に血管を抜去します。
<硬化療法>
 主に上記手術に組み合わせて行う治療で、主に下腿の瘤に硬化剤を注射して血管を閉塞させます。
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治療方法は、圧迫療法と手術、硬化療法の3つが挙げられ、患者さんの状態や希望によりカスタムメイドの治療方針を選択いたします。近年、医療の低侵襲化(患者負担減)や治療技術の発達が進み、全国的にもカテーテル治療が多く実施されております。当院では患者背景やニーズに柔軟に対応できるようすべての治療に対応できる環境が整っているのが強みになります。治療は1泊2日(手術当日入院、翌日退院)から対応可能です。また当院では不適切な治療は一切行いませんので安心して治療を受けていただけます。

スタッフ紹介

スタッフ紹介
役職 医師名 所属学会等
診療部長 内田 大貴

日本外科専門医

日本心臓血管外科専門医

日本脈管専門医

日本血管外科学会 血管内治療認定医

医長

森山 寛也