(神経内科)あつかう疾患・治療

最終更新日 2021年6月1日

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あつかう疾患・治療

神経内科で扱う疾患は非常に種類が多く、ここで全てを取り上げることは出来ませんので、脳卒中(脳血管障害)認知症、頭痛の3つに絞って説明します。

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 脳卒中(脳血管障害)

脳卒中の分類

脳卒中には、(1) 脳の血管が詰まる脳梗塞と、(2) 脳内の血管が切れる脳出血と、(3) 脳の動脈の”こぶ”(動脈瘤)が破裂して生じるくも膜下出血などがあります。それぞれ治療法が変わりますので、最初の診断のときにきちんと区別されることが必要です。 

脳卒中の症状

脳卒中の症状は急に起こることが多いです。

脳卒中の症状としては、半身の麻痺・ろれつが回らない・視界の半分が欠ける・激しい頭痛・意識が低下するなどがあります。

脳卒中の検査

脳卒中の検査としては、脳CTや脳MRIがあります。どちらも脳の断面を撮影する方法です。

撮影原理

長所

注意

CT

X線を使用

撮影時間が短い

出血が分かりやすい

X線被ばく(*通常は健康上問題ありません)

MRI

磁場・電磁波を使用

細かい病変が分かる

超急性期脳梗塞が分かる

心臓ペースメーカー・脳動脈瘤クリップなどの体内金属があるときは原則不可(例外あり)

その他の検査として、超音波検査(エコー検査;頸動脈・心臓)、脳血流シンチなどがあります。

 脳卒中の治療

脳卒中は急に症状を呈し、麻痺や意識障害など重篤な症状を示すことも多く、死亡や後遺症などの重大な結果を生じることも多いため、迅速な診断と治療が必要です。

(1)  脳梗塞

発症超急性期(4.5時間以内)であれば、血栓(血管内の血の塊)を点滴薬で溶かす血栓溶解療法(tPA療法)が可能な場合があります。tPA療法以外の点滴治療薬もあります。そのほか血管の中に細い管(カテーテル)を通して詰まった血管を再開通させる血管内治療などがあります。

(2)  脳出血

大きな脳出血の場合は手術で血の塊を取り除く治療が行われることがあります。その他、発症直後には血圧上昇などが起こることが多いので全身管理が重要です。

(3)  くも膜下出血

動脈瘤がある場合は、動脈瘤の付け根をクリップで挟んで再出血を防止する治療(クリッピング術)や、脳動脈瘤の中に細いワイヤーを詰め込んで再出血を防止する治療(コイル塞栓術)などがあります。

また、全ての脳卒中において、リハビリを早期から始めることも重要とされています。

脳卒中の再発予防

脳卒中は再発することの多い病気ですので、慢性期の治療が重要です。近年では適切な慢性期管理が脳卒中再発予防に効果的であることが分かっています。

高血圧・糖尿病・脂質異常症などのある人はきちんと治療することが必要です。特に血圧が重要です(外来血圧140/90 mmHg未満、家庭血圧135/85 mmHg未満が目標)。喫煙している人はタバコを必ず止めましょう。飲酒量の多い人はお酒を減らすことが必要です(日本酒なら1合/日以下)。

また、脳梗塞の場合は血液をサラサラにする薬を用いて再発を予防することが一般的です。いろいろな種類がありますが、脳卒中のタイプによって使い分けられていますので詳しくは担当医にお尋ね下さい。

一過性脳虚血発作[TIA]について

脳動脈が詰まりかかっても、その後再開通することで、麻痺などの脳卒中様の発作が短時間(通常数分~15分程度)で回復することがあります。これを一過性脳虚血発作(TIA)と言います。TIAは本格的な脳梗塞に移行する危険が高いとされていますので、症状が消失しても油断せずに、すぐ病院を受診してください。速やかに検査・治療を開始する必要があります。

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認知症

認知症とは、いったん正常に発達した知能が、何らかの原因(脳卒中、脳萎縮、脳炎、外傷など)によって低下した状態のことを指します。

認知症が生じる理由としては、アルツハイマー病、脳血管障害(血管性認知症)、レビー小体型認知症が3大原因とされています。

アルツハイマー病

年齢に伴って、脳の中にアミロイドβやタウと呼ばれる蛋白が蓄積して、脳の神経細胞が徐々に減って生じるとされています。認知症の原因の約60~70%程度を占めます。

症状としては物忘れが主です。「さっき言ったこと(言われたこと)を忘れる」「さっきと同じことを繰り返し言う」「若いころのことはよく覚えているが、昨日今日のことをすぐ忘れる」などが良くみられる症状です。その他、「物の名前が出てこない、人の名前が出てこない」「日付・昼夜・季節を間違える」「料理などの段取りが要領よく出来なくなった」「電子機器などが使えなくなった」「火を消し忘れる、鍋を火にかけたまま忘れる」などもあります。

その他、意欲低下・うつ・怒りっぽい・徘徊・不眠・昼夜逆転・被害妄想(物盗られ妄想・嫉妬妄想など)を伴うことがあります。

進行すると自立した生活が困難となり、見守りや介護が必要になってきます。

血管性認知症

認知症全体の約20%を占めます。多発性脳梗塞などが原因として多いですが、その他のタイプの脳卒中でも認知症を生じることがあります。若い時から高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙習慣があった人は注意が必要です。意欲低下や感情失禁が多いとされています。

 レビー小体型認知症

近年注目されるようになってきた疾患です。認知症全体の約10~20%を占めると考えられています。年齢に伴って脳の中にαシヌクレインという蛋白が蓄積してくることが原因だと考えられています。症状としては物忘れのほか、「鮮明な幻視(いないはずの人・子供・小人・犬猫や虫や蛇などが見える)」「意識レベルの変動(呼びかけてもぼーっとしているなど、日によって調子の良い時と悪い時がある)」「パーキンソニズム(動作緩慢・手足のふるえなど)」を伴うことがあります。その他、「大きな寝言を言う」というのもレム睡眠行動異常といってこの病気によくみられます。うつ症状を伴うことも多いです。

また自律神経障害(頑固な便秘・起立性低血圧など)を伴うこともあります。

 認知症の治療

残念ながら大部分の認知症について根本的治療法は無く、「病気の進行を停止させる」「病気の原因を取り除く」といった治療法は見つかっていません。但し、適切な治療やケアによって病気の進行を遅らせたり、症状を緩和させたりする方法はあります。

一部の病気では治療法があります(慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症などでは手術療法など)ので、最初の段階できちんと診断して適切な治療方針を立てることが重要です。

(1)アルツハイマー病

日本では認知症治療薬として、4種類の薬が保険で認可されています(ドネペジル・ガランタミン・リバスチグミン・メマンチン)。これらは各々特徴がありますので、患者さん毎に使い分けています。1つの薬で効果が不十分な場合は他の薬に変更したり、2種類の薬を併用したりすることもあります(一部併用できない組み合わせもあります)。

興奮が強い場合には安定剤を使用することがありますが、眠気・ふらつきなどを生じることもありますので注意が必要です。

その他、漢方薬(抑肝散など)にはイライラを鎮める作用がありますので用いられることがあります。

(2)血管性認知症

高血圧・糖尿病・脂質異常症などを伴っていることがありますので、これらの治療をすることが必要です。脳梗塞の場合は再発予防のため、血液をサラサラにする薬を一般に用います。喫煙している人は禁煙が必要です。飲酒は記憶力や注意力の低下や、ふらつきの原因になることがありますので控えた方が良いです。

(3)レビー小体型認知症

日本ではドネペジルが保険で認可されています。興奮や幻覚などが強いときは、安定剤を用いることがありますが、ふらつきや眠気などの原因になることもありますので注意する必要があります。イライラが強い場合には漢方薬(抑肝散など)が有効なことがあります。パーキンソニズムで動作緩慢が強いときはレボドパを投与することがあります。たちくらみ(起立性低血圧)が強いときは血圧を上げる薬を用いたり、弾性ストッキング使用を指導したりします。

認知症におけるケア・介護のポイントや福祉サービスについて

⮚ 叱ったり怒ったりせず、穏やかに接するようにしましょう。認知症の患者さんを驚かせるような行為は避けましょう(急に大きな声をかけたり、後ろから引っぱったり急に近づくなど)。

⮚ 分かりやすい言葉で簡潔に伝えるようにしましょう。一度にたくさんの話をすると混乱の元になります。

⮚ 「〇〇しなさい」等の命令調の呼びかけは避けましょう。

⮚ 出来ないことをさせる・あるいは覚え込ませるようにするのは逆効果です。

⮚ 患者さん自身で出来ることは自分自身でするようにし、介護者の方は見守りをしましょう。

⮚ 規則正しい生活をする・させるようにしましょう。

⮚ 介護保険を活用しましよう(65歳以上の全員、または40歳以上で「認知症」と診断されている方で申請可能です)。介護保険で活用できるサービスは、手すり等の設置や、訪問看護、デイサービス・デイケアなどの通所サービス、ショートステイなどです。利用可能なサービスや自己負担額などは要介護度や世帯の収入などによって決まっていますので、詳しくは役場窓口や病院のソーシャルワーカーにお尋ね下さい。

⮚ 社会や家庭で孤立していると症状が悪くなりやすいです。家庭や地域で居場所・役割を持っている人の方が症状が安定していることが多いです。デイサービス等も活用しましょう。

⮚ 徘徊や暴力などで困っているときには地域包括支援センターにも相談してみましょう。

⮚ 家庭での療養が難しくなってきた場合はグループホームなどの施設利用を考えます。

⮚ 自動車運転;認知症と診断された場合、運転は認められていません(道路交通法に基づく)。

⮚ 成年後見制度;認知機能の低下に伴い、財産等の管理等が出来なくなった場合に、本人の権利を守る援助者(成年後見人等)を選任し、本人を支援する制度です。成年後見人等の選任には家庭裁判所への申し立てが必要です。

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頭痛

頭痛の原因となる病気としては、脳卒中や脳炎・脳腫瘍などもありますが、日常的によく遭遇するものとしては(1)片頭痛や、(2)緊張型頭痛があります。

片頭痛

ズキンズキンと脈打つような頭痛が4~72時間続きます。頭痛の部位は片方(ときに両方)のこめかみであることが多いです。頭痛の前に閃輝暗点と呼ばれる前兆が出現することがあります。これはギザギザ・キラキラした光が見える現象で、15~20分ほど続きます。その他、嘔気・嘔吐を伴ったり、光過敏・音過敏・臭い過敏を伴ったりすることがあります。

頭痛ピークのときには「動くと頭痛が増強する」「暗い部屋で休みたい」「目の奥が痛い」といった症状を示すことが多いです。

片頭痛の原因はよくわかっていませんが、頭部に分布する血管の収縮拡張異常や、その周囲に分布する神経線維の活動異常や炎症などが考えられています。女性の場合は月経(生理)の周期に一致して生じることもあります。

(治療)

生活習慣について

⮚ 規則正しい生活をしてストレスを避けるようにします(ストレス状況の最中だけでなく、ストレスから解放されたときに頭痛が生じることもよくあります)。

⮚ 寝不足はよくありませんが、寝過ぎもよくないとされています。従って、週末も出来るだけ平日と同じように起きるか、遅く起きるにしても1~2時間程度にするようにしましょう。

⮚ 飲酒は片頭痛の誘因になることがあります。ワインが有名ですが、ワイン以外でも生じることがあります。そのほか、チーズやチョコレート摂取で生じることがありますので、食べ過ぎないようにして下さい。

⮚ 強い光や大きな音を避けるようにしましょう。パソコンや携帯電話の画面を長時間見ることは避け、画面の輝度を下げるなどの工夫もして下さい。直射光を見るのは避け、日中の外出や運転時はサングラス使用等も試してみてください。

⮚ 極端な炎暑や冷暖房による寒暖差を避けるようにして下さい。

⮚ 頭痛の時に湯船につかると全身の血管が拡張して症状が強くなることがあります。このようなときはシャワーだけで済ませる方が良いです。

⮚ 高血圧の治療薬や狭心症の治療薬などの中には血管を拡張させる作用のために頭痛の誘因になるものがあります。気になったら主治医の先生に相談してみましょう。(*自己判断で薬を止めることは危険ですので必ず医師に相談してからにして下さい)

⮚ 喫煙している人は禁煙しましょう(脳卒中リスクが高まることがあります)。

⮚ 痛くなり始めのとき、コーヒーや緑茶を飲むとカフェインの作用で楽になる場合があります(但し、飲みすぎは逆効果なので1日2~3杯までにしましょう)。

(頭痛発作時の薬や対処方法)

軽い片頭痛であれば、一般的な鎮痛薬(NSAID系;ロキソプロフェン、イブプロフェン、アセトアミノフェンなど)の頓服で十分なことがあります。

痛い側の頭を冷やして暗い場所で安静にする方が楽になります。出来ればそのまま一眠りしたほうが頭痛がリセットされることがあります。

強い片頭痛の場合は、トリプタン系と呼ばれる片頭痛薬が頓服で用いられることがあります(*妊婦や狭心症の方は使用できません)。

頭痛頻度が多い場合は頓服だけでは不十分なので、片頭痛予防薬を使って治療します。塩酸ロメリジン・バルプロ酸などが使われます。漢方薬では呉茱萸湯・五苓散などが有効です。

鎮痛薬の頓服を連日使うと「薬物乱用頭痛(薬物誘発頭痛)」といって薬のせいでかえって頭痛がとれないといった状態になることがありますので連用しないようにしましょう(NSAID系であれば月に15日、トリプタン系であれば月に10日を超えて使用しないようにする)。

緊張型頭痛

肩こりによって生じる頭痛です。「頭全体が重苦しい」「帽子を被っているように・または鉢巻きを締めているように重苦しい」といった訴えであることが多いです。

一日中頭痛が続くタイプが多いですが、疲労の溜まってくる夕方に強くなり、逆に休息のとれた朝には軽快する傾向があります。長時間パソコンに向かって同じ姿勢をとっているようなときなどに生じます。その他、心身のストレスを多く抱えているときや十分な休養がとれていないときなどにも生じやすいです。

(治療)

⮚ 長時間同じ姿勢をとらないようにし、時間を決めて休憩をとる。

⮚ ストレスを避ける。

⮚ 軽い運動やマッサージをして筋肉をほぐし、筋肉の血行を良くする。

⮚ 入浴して血行を改善し、ストレスを減らす。お風呂の温度は熱くしすぎないようにしましょう。

⮚ 薬;軽いものであれば一般的な鎮痛薬の頓服や湿布等で十分なこともあります。

頓服薬で不十分な場合は、筋肉の緊張をほぐす薬や筋弛緩作用のある安定剤を併用することがあります。

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