放射線治療科
はじめに
放射線治療は太陽の光エネルギーの一種で、あなたの病気を手術せずに治す、非常に効果のあるもので熱くも痛くもありません。
大きな装置のある部屋で、お一人で治療を受けていただくことになりますが、スタッフが操作室のテレビカメラで、見守っていますので、安心して治療を受けて下さい。
もしわからないことがありましたら、遠慮せずなんでも医師や技師、看護師にお尋ねください。
あなたと私達治療スタッフが力を合わせて放射線治療を成功させ、病気を克服されることを心から願っています。
放射線治療とはどのようなものでしょうか
- 「放射線治療」では、病気を治すために「放射線」を照射します。
- 「放射線」は目に見えず、体にあたっても何も感じませんが、体の表面や奥にある病気を治すことができます。放射線治療は痛みをともなわないので、麻酔をかける必要もありません。また、手術をすれば大きい傷跡が残り、身体の外観や機能が損なわれたりするような場合でも、「放射線」によって障害を最小限におさえて治療をすることが可能です。
- 放射線治療の治療計画は精密に行われ、治療に使われる装置は非常に精度の高いものなので、必要な範囲以外には放射線はあたりません。ですから、放射線のあたったところにのみ副作用が出現します。例えば、頭に照射していないのに髪の毛が抜けたりするといったことはありません。
放射線治療の方法
- 外部照射とは、体の外から照射する方法です。
- 照射装置にはいくつかの種類があります。しかし、これらの装置の治療効果はほとんど同じもので、治療する部位深さによって治療医師があなたに最適な装置を選択します。
当院で使用している放射線治療装置です
放射線治療にかかわる人たち
放射線治療は放射線治療医師、放射線技師、看護師がチームで行います。
放射線治療とはどのようなものでしょうか
- 放射線治療医師
あなたの体の診察所見や色々な検査結果をもとに、放射線治療の方針を決定します。
治療期間中および治療終了後も定期的に診察し、必要に応じて最適な処置を行います。 - 放射線治療技師
医師によって決定された方針に従って放射線を照射します。
治療部位の皮膚にしるしをつけ、患部だけに正確に放射線を照射します。毎日の治療に際してわからないとこがありましたら、いつでもお尋ねください。 - 看護師
治療期間を通してあなたの日常生活の注意点や副作用のケアなどを行います。遠慮せずにご相談ください。
放射線治療の進め方
以下の流れで行われます。
- 診察
- 治療計画
- 放射線の照射
- 経過観察
放射線科外来での診察
専門の担当医師が診察し、検査結果を参考にして治療方針を決定します。また、治療期間中は身体の変化等を確認していきます。
治療計画
治療計画とは、実際に治療をする前に、最適な範囲や方向を決めるためのものです。
治療計画室では、皮膚に治療計画の基準線となる印をつけます。また、治療を毎日同じ姿勢で行うために、身体の一部を固定するための道具を用いることがあります。
- ほとんどの場合、CT検査により治療計画を行います
- 首から上の治療を行う場合、顔や頭に印が付けられませんので、「お面」を作成します
放射線の照射
- 治療室には患者さん以外はいれません
治療室内では患者さんは一人になりますが、治療中の様子は、テレビモニターで見ていますので心配いりません。具合の悪いことがあれば手を上げて合図を送ってください - 治療時間は一部位につき10分程度です
一回目の治療は少々時間がかかることがありますが、普段の治療は10分程度です。そのうち、実際に放射線が照射されているのは5分程度です - 治療部位の皮膚にインクでしるしをつけます
一回目の治療時に、再度必要な線をつけさせていただきます - 治療による痛みは全くありません
身体に放射線があたっても、痛みは全くありません。また、照射中に機械が身体のまわりをまわる場合もありますが、決して体に触れることはありませんので、ご安心ください - 治療中は動かないようにしてください
治療中に動きますと、治療部位に十分な放射線があたらなかったり、まわりの正常部分に悪影響をおよぼしたりします - 決められた回数の治療が必要です
放射線治療は回数や期間が効果と密接に関連しています。
予定された回数の半分しか治療を受けられなかった場合、効果はほとんどありません。また、予定された回数の治療を行っても、途中に休止期間があると効果が弱くなることがあります。 - 治療中の診察について
照射中は最低週1回、診察させていただきます。治療後に身体の症状でかわったことがあれば、なんでもご相談ください。
経過観察について
放射線治療は特殊な治療法ですので、放射線治療終了後も放射線科医師による定期的な診察が必要です。
放射線治療中の日常生活の注意点
普段通りにして結構ですが、次のことに注意しましょう
- 休養は十分に
十分な休息と睡眠をとって下さい。眠れない時は、医師にご連絡下さい。運動については担当医にご相談下さい。
外泊のときは、人混みの中にいくのは、なるべく避けて下さい。 - 入浴
一般的にはさしつかえありませんが、湯冷めしない程度のできるだけぬるめのお湯にして下さい。また、皮膚をこするときは、皮膚に付けられた治療部位の印の範囲をこすらないようにして下さい。印の部分だけは、タオルで押さえるようにして、軽く拭きましょう。 - 食べ物 食事は最良の薬です。
栄養のあるバランスのとれた食事をしましょう。高タンパク高カロリー食と水分の多い消化のよい物をとりましょう。
少しずつわけてでもいいので、食事をして下さい。 - その他
照射している部分の皮膚は刺激に対して弱くなります。ばんそうこうや湿布を貼ったり、直射日光を浴びたりすることは避けましょう。衣類は肌触りの良い刺激の少ないものを選びましょう。 - 治療中の身体の変化
放射線治療によって皮膚がかゆくなったり、食欲がなくなったり、吐き気などの副作用が出ることがあります。どんな症状がでるかはどこを治療するかによって違います。また人によって出やすい人と出にくい人があります。症状が出ても一時的ですから心配いりません。また、副作用がでても、薬などで、軽減させることもできます。治療前になかった不快感や症状があれば、我慢せずに何でも医師や看護師にご相談下さい。治療部位の皮膚に皮膚炎を起こした方はお申し出ください。掻くと反応がひどくなりますので、かゆくなっても掻かないようにしてください。
おわりに
放射線治療の効果は、3ヶ月から長いもので数年にわたって続きますので、その間の注意深い観察が必要です。治ったからといって診察を受けなかったり、治らないからとあきらめて診察に来ないようなことがあったりしないようにして下さい。
役職 | 医師名 | 所属学会等 |
---|---|---|
診療部長 | 川島 和之 |
日本医学放射線学会専門医 日本放射線腫瘍学会認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本癌治療学会 日本肺癌学会 日本乳癌学会 日本頭頚部腫瘍学会 |
医員 | 岩井 七海 |