彫刻美術館だより vol.2 (2025年8月発行)

情報発信元 文化振興課

最終更新日 2025年8月17日

ページID 082314

印刷

タイトル

彫刻美術館だより Vol.2

館長よりごあいさつ

皆さま、いつも彫刻美術館をご支援いただき、ありがとうございます。
ただいま当館では、企画展示『遊び心の彫刻展』(9月7日(日曜日)まで)を開催しています。この展示は、「彫刻ってどう見たらいいのかわからない」「なんだか難しそう」という声を耳にした学芸員が、「見方がわからなくても楽しんでもらえる展示をつくろう」という思いで企画しました。収蔵品の中から、作者の“遊び心”が伝わってくる作品を選び、難しい略歴や専門的な技法の解説はあえて省いています。気軽に、自由な視点で作品と向き合っていただける内容になっています。
彫刻は、絵画と違って立体です。ぐるっと全方向から鑑賞できるので、視覚から得られる情報がとても多いのが魅力ですが、難しさでもあります。まずは「何でできているのかな?」「どうやって作ったのかな?」といった、わかりやすいところから見始めてみてください。素材や作り方に注目するだけで、不思議と作品との距離が近くなるはずです。そのあとは、ぜひ皆さん自身の感性で、作品の魅力を見つけてみてください。きっと、自分だけの発見や楽しみ方が生まれると思います。
『遊び心の彫刻展』が、彫刻の面白さや新たな魅力に出会うきっかけになればうれしく思います。皆さまのご来館を、心よりお待ちしています。

彬子女王殿下のお成り

彬子女王殿下は、「第28回全国菓子大博覧会・北海道」が開催された5月29日から30日の2日間、旭川にお成りになりました。
5月30日(金曜日)には当館をご視察いただき、《若きカフカス人》をはじめ中原悌二郎作品、舟越保武の《原の城》、 青木野枝の《原形質/2014》、小泉俊己の《水脈(図法-1)》など、中原悌二郎賞受賞者の作品をご鑑賞になりました。

彬子女王殿下

野外彫刻

永山武四郎之像

常磐公園の入口には、北村西望による《永山武四郎之像》があります。
この像は、北海道開拓に大きな功績を残した人物を顕彰するために建立されたモニュメントです。当初は彫刻家・加藤顕清(上川中学校〔現・北海道旭川東高等学校〕出身)の構想で制作が進められましたが、加藤の逝去に伴い、北村西望(「長崎平和祈念像」の作者)がその遺志を継ぎ、完成させました。
永山武四郎は鹿児島県出身で、明治5年(1872年)に来道。屯田兵制度の創設に尽力し、のちに屯田兵本部長、第二代北海道庁長官、第七師団長などを歴任するなど、旭川と深く関わった人物です。
「永山」という地名は、その功績を讃えて明治天皇が名付けたものです。札幌には、同じく加藤顕清の構想によって建立された黒田清隆、ホーレス・ケプロン、岩村通俊の像もあります。
ぜひ4基すべてを巡ってみてください。

永山武四郎之像

作家名:北村 西望(きたむら・せいぼう)
制作年:1967年(昭和42年)
材質:ブロンズ
作品寸法:高さ294×幅107×奥行129 cm
設置場所:常磐公園入口

お知らせ

彫刻美術館本館の展覧会

遊び心の彫刻展

ステーションギャラリーの展覧会

WOMEN'S EYES しなやかに生きる女性たちの視点 ―織田コレクションより―

彫刻教室

彫刻教室のページ

イベント申し込みのページ

ボランティア

ボランティア紹介のページ

旭川彫刻サポート隊

旭川市彫刻美術館 ボランティア みゅうず

当館の運営を応援する目的で、2つのボランティア団体が活動しています。

会員を随時募集しています。活動の詳細については彫刻美術館までお問い合わせください。

ある日、ひとつの彫刻

最後の歩み――ロダン《ジャン・デールの裸体習作》

オーギュスト・ロダン
――日本だけでなく、世界でもっとも知られた彫刻家のひとりです。
旭川出身の彫刻家・中原悌二郎は若いころからロダンを「神のように崇め」、その作風に学び、「模倣を似て甘んじましょう」とまで語りました。当館に展示されている《ジャン・デール(裸体習作)》は、1979年、旭川市民の熱意で開かれた「ロダン展」の実行委員会から寄贈された作品です。

――それは、死を受け入れるための「最後の歩み」
史実によれば、ジャン・デールは14世紀、百年戦争のさなかカレー市の財政責任者を務めていました。1347年、長い包囲戦の末、街を救うため六人の市民が身代わりとなることを決意します。ジャン・デールはその二番目に名乗り出ました。
裕福な商人であり、二人の娘を持つ父でもあった彼は、首に縄をかけ、大きな城門の鍵を手に、敵の王の前へ進み出たと伝えられています。


この像は、後に完成する群像《カレーの市民》のために制作された裸体の習作です。完成作では衣服をまとい、手には鍵や鎖といった象徴が加わります。しかし、この習作にはそれらはありません。ただ、裸の肉体と一歩を踏み出す緊張感
――それだけが、彼の決意と人間としての生々しい存在感を伝えてきます。
握りしめた両手や盛り上がる筋肉からは、見えないはずの「鍵」の重みまでが感じられます。腕や胴のわずかなひねりは、緊張と覚悟が交錯する一瞬を、鮮やかに刻みつけています。

ロダン

関連記事

お問い合わせ先

旭川市教育委員会 社会教育部文化振興課中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館

〒070-0875 北海道旭川市春光5条7丁目
電話番号: 0166-46-6277
ファクス番号: 0166-46-6288
メールフォーム
受付時間:
午前8時45分から午後5時15分まで(月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)及び12月30日から1月4日までを除く)