放射線治療室・シミュレータ室・小線源治療室

最終更新日 2021年3月29日

ページID 002080

印刷

はじめに

当院では、放射線治療システム(放射線治療装置、治療計画用CT、放射線治療計画装置など)を更新し、患者さまのために最善の放射線治療の提供を目指して日々努力しております。

放射線治療装置の写真

当院で使用している放射線治療装置です

放射線治療とは

放射線は医療の領域でよく使われています。放射線診断では体の状態を画像化して病気の診断を行いますが、がんの治療では放射線をがん病巣に照射することによりがん細胞を死滅させます。
放射線が照射されると、がん細胞はダメージを受けます。これを繰り返すことにより、がん細胞が受けた傷はどんどん悪化し、がん細胞を破壊したり、細胞分裂する能力をなくしたりしてがん細胞はやがて死滅します。
一方で健康な細胞もダメージを受けるものの(副作用として表れます)、ある程度は自らを修復することができるため時間の経過とともに回復します。
この放射線の効き具合(放射線感受性)はがんの種類によって異なります。
この効果を最大限発揮させるため、一般的な放射線治療では10回から30回程度に分割して繰り返して放射線を照射します。治療の回数は、病気の種類やがんの状態、放射線を照射する面積(あるいは体積)および各施設の治療機器の違いなどによって変わることがあります。従って他の患者さんと治療の回数が違っても心配することはありません。放射線治療の専門医が患者さん一人一人に合わせた最適な回数を選択し治療を行います。

廊下の写真

放射線治療の目的

放射線治療はがんを治したり、がんによる痛みなどの症状を和らげたりするなどいろいろな目的で行われます。

根治的照射

がんを完全に治す目的で照射をお行います。放射線が効きやすいがんや小さながん病巣、切除できない部位のがんの治療として行われます。最近では抗がん剤を併用して照射が行われることもあります。

緩和的照射

骨転移による痛み、脳転移による神経症状、がん病巣による気管、血管、神経などの圧迫による症状などの症状を和らげることを目的に照射を行います。緩和ケアに放射線治療を用いることによって、QOL(生命・生活の質)が高まる人も多いです。

術前照射

外科的手術を行う前にがんをできるだけ小さくすることを目的に照射します。手術をしやすくします。

術後照射

外科的手術を行ったあとに再発の可能性をさらに低くすることを目的に照射を行います。

予防的照射

他の治療法でがん治療をおこなった後に、将来的に転移しやすい部位に予防的に照射を行うことです。

放射線治療の流れ

  1. 診察 放射線治療専門医が治療内容・治療期間などの説明をします。
  2. CT撮影 放射線治療の準備として、専用CTで治療部位の確認と固定具の作製または皮膚にマークの記入を行います。
    計画用CT
    放射線治療計画で使用するCT装置です
    治療器具に乗っている写真治療器具の写真
  3. 治療計画 CT画像や紹介状などのデータをもとに最適な治療方法を決定します。
    骨盤の放射線治療画面の写真放射線治療画面の写真
  4. 治療開始 通常1から2日後より開始。初回は30分程度の時間が必要。治療時には患者様の体表にレーザーを投影し、毎日同じ位置に照射を行います。 

当院の高精度放射線治療

画像誘導放射線治療

呼吸や蠕動などによる体内のがん細胞の動きや位置合わせによる誤差を最小限に抑える治療法です。照射直前にCT撮影し高精度の位置合わせを行います。
放射線治療器具の写真

定位放射線治療(脳)

約3cm以下の脳腫瘍に対して多方向から一点に集中的にピンポイント照射をします。周囲正常組織を傷つけず、病巣のみに短期間で大量の放射線を照射する技術です。

脳腫瘍に放射線治療を行っている画面の写真
脳を治療している画面の写真

定位放射線治療(体幹部)

主に肺がんや肝がんに対して多方向から一点に集中的にピンポイント照射をします。周囲正常組織を傷つけず、病巣のみに短期間で大量の放射線を照射する技術です。

体幹に放射線治療を行っている画面の写真
体幹を横に切断した治療画面

強度変調放射線治療(IMRT)

リニアック本体の角度、回転速度、放射線の強弱、照射範囲などを複雑に制御して、病巣には強く、周辺の正常臓器には極力放射線を当てない最新の治療方法です。

放射線治療ちゅの4画面の写真

その他

コバルト(Co-60)を用いた密封小線源治療や、放射性医薬品を注射しがん細胞に取り込ませ治療する非密封小線源治療なども行っております。