認定看護師リレーエッセイ No.15

最終更新日 2016年2月24日

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手術看護認定看護師 長井香織

手術に関連した静脈血栓塞栓症の予防について

リレーエッセイNo.12で「筋肉のポンプ作用」のお話がありましたが、ふくらはぎの筋肉のポンプ作用「第2の心臓」とも呼ばれており、下肢に溜まった静脈血を心臓まで返す働きをしています。
手術を受ける患者さんは、手術中そして術後の安静によって筋肉のポンプ作用が行われなくなるため、
血流が滞りやすい状態になります。また手術に関連し、出血や脱水などの影響によって血液が固まりやすい状態になります。そして手術の操作によって直接的・間接的な静脈壁損傷も加わることがあります。
このような要因により、手術を受けられる患者さんは血栓を生じる可能性があり、深部の静脈に血栓ができる深部静脈血栓症や血栓が肺の動脈に詰まり生じる肺血栓塞栓症を引き起こすことが稀にあります。
このような合併症を予防するため、当院では手術が開始される前から術後、発症の危険が低くなるまで、患者さんの状態に応じて以下の予防法を選択し実践しています。

  • 早期離床および積極的な運動
  • 弾性ストッキング
  • 間欠的空気圧迫装置
  • 抗凝固療法
積極的な運動を行うだけでも十分な効果が期待できます!
足首を曲げ伸ばし(前屈、後屈)させることで、ふくらはぎの筋肉のポンプ作用が行われるため、血栓予防に効果的な運動となります。