認定看護師リレーエッセイ No.9

最終更新日 2016年2月24日

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認定看護師リレーエッセイ

認定看護師リレーエッセイ No.9

皮膚・排泄ケア認定看護師 菅原あゆみ

なかなか言えない尿もれのお話

尿もれ(尿失禁)があっても、年のせいとあきらめている方や恥ずかしくて相談できないという方は多いと思います。しかし、尿もれがあると活動を控えたり皮膚のトラブルが起きたりと生活の質が低下します。
尿もれには色々な種類があり、適切な治療によって改善する場合があります。
いくつかご紹介します。

ふくあつせいにょうしっきん
腹圧性尿失禁
  • くしゃみや咳などお腹に力を入れると尿がもれてしまうタイプです。中高年女性に多いです。
    膀胱、子宮、腸を骨盤の底で支えているのが骨盤底筋です。この筋肉が弱ると、尿道が緩んだり膀胱や子宮が下がってきて尿もれしやすくなります。
    原因は加齢、女性ホルモンの低下、出産、肥満、便秘などです。
    治療は骨盤底筋体操(後述)で骨盤底筋を鍛えたり、手術などです。便秘や肥満の予防も大切です。
せっぱくせいにょうしっきん
切迫性尿失禁
  • 急に尿がしたくなり、おしっこがしたいと思ったら我慢できずに漏れてしまうタイプです。
    治療は膀胱が過敏に収縮しないようなお薬や骨盤底筋体操(後述)、膀胱に尿をためるようにする訓練などがあります。
  • この二つのタイプの尿失禁の場合、骨盤底筋体操で改善する場合があります。まずは、どの筋肉を鍛えるのかを理解することが大切です。
  • 「おしっこを途中で止めるとき」「おならを我慢するとき」にギュッと力を入れる筋肉、というとわかりやすいでしょうか。腹筋などは使いません。見た目に体はほとんど動かないのがポイントです。
  • 体操の方法は、
    (1) ぎゅーっと締めてそのまま数秒保つ
    (2) 締める・緩めるを素早く繰り返す
  • この2種類を5回ずつ1セットとして、1日10セットを目標に行ないます。
    1~3か月は続けることが必要です。地味な体操ですが、いつでもどこでもできるので根気強く続けましょう。
いつりゅうせいにょうしっきん
溢流性尿失禁
  • 失禁とはいってもこの病態はちょっと異なります。膀胱の収縮力が弱っているか、尿の通り道が狭くなり、尿が常に残っています。尿が少したまるとすぐに膀胱がいっぱいになり、あふれて漏れてしまう状態です。
    この場合は、先ほどの体操は危険です。逆に尿を出しやすくするような薬での治療や、管(カテーテル)で尿を出す治療が必要です。
きのうせいにょうしっきん
機能性尿失禁
  • このタイプは、実は膀胱の働きには問題がないのです。トイレに行くまでに時間がかかったり、トイレがわからない、トイレで下着をおろすのに時間がかかったりして、間に合わなくてもれるというタイプです。
    早めにトイレに行く、簡易トイレを近くに置いておく、トイレを使いやすいように環境を整える、脱ぎ着しやすい服装にするなどで改善できることが多いです。
  • このように尿失禁もいろいろです。
    種類が違うと治療・対処方法は全く異なります。
    まずは自己判断せず、一度泌尿器科専門医を受診しましょう。
私たち皮膚・排泄ケア認定看護師は、排泄や排泄に伴う皮膚トラブルのケアを行います。
いくつになっても楽しく人生を過ごせるようにお手伝いしたいと思っています。