認定看護師リレーエッセイ No.10

最終更新日 2016年2月24日

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認定看護師リレーエッセイ

認定看護師リレーエッセイ No.10

感染管理分野 桐則行

血液型と感染症

血液型診断といえば、性格占いを思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし意外にも、血液型によって免疫が弱かったり感染症にかかりにくかったりする傾向が分かってきています。
将来的には血液型に合わせた健康法が出てくるかもしれません。
それは、細菌にも血液型が存在し、A型の血液型をもっている細菌はA型に、B型の血液型を持っている細菌はB型に感染しやすいと言われます。

  • なぜか?
    血液には、同じ抗体を持っている血液型を攻撃しないという特性があり、同じ血液型の細菌は、それだけ侵入しやすい事になるわけです。
  • 免疫力の強さは?
    免疫学的にはO、B、A、AB型の順で免疫力が強いと言われます。

A型
A型は免疫力が弱いが適応能力が高い。
日本人の30%以上を占める「A型」
感染症への抵抗力が弱いという説があり風邪をひきやすいと言われます。

O型
最も免疫力が強いという「O型」
激しい運動に耐える身体能力を持ち、肉食を好むのが特徴です。
多くの病気にかかりにくいと言われます。

B型
B型の性質を持つサルモネラ菌や病原性大腸菌などは注意です。
また、B型は肺の病気にも注意しましょう。
肺炎の原因となる肺炎球菌にはB型の性質が多いのです。
インフルエンザのなかでもA型に血液のB型はかかりやすいです。

AB型
AB型はA型とB型の耐性を持ち、免疫系は微生物による感染症に対して、抗体を作ることができます。アレルギーにかかる確率が低く、関節炎や炎症、皮膚病などの自己免疫疾患にかかることも少ないと言われます。しかし血液型の中では免疫力は一番強くないようです。

ノロウイルスにはO型が危ない
最近の研究で、ヒトの赤血球の表面やノロウイルスが標的とする腸管上皮細胞に存在する血液型抗原がノロウイルスの受容体として働いています。
その受容体はノロウイルスの血清型ごとに違っています。
そのことから、ヒトの血液型とウイルスの血清型の組合せによって感染したり、しなかったりすることが分かっています。
例えば、日本で一番多いノーウォーク類似株ではO型の人は感染率が高く、B型の人は感染率が低いと言われます。
参考文献:白土東子: 国立感染症研究所
ノロウイルスと血液型抗原
http://www.glycoforum.gr.jp/science/glycomicrobiology/GM02/GM02J.html


以上、血液型と感染症について罹りやすいか否かの諸説や文献をご紹介しました。
これには年齢、環境、習慣などが多く関与することは言うまでもありません。
日常的に感染症にかからないようにするためには・・

  • 家庭では・・
    「規則正しい生活」「手洗い」「うがい」
  • 病院・施設では・・
    「標準予防策」その中でも「手指衛生」が最も重要となります。