認定看護師リレーエッセイ No.11
認定看護師リレーエッセイ
認定看護師リレーエッセイ No.11
糖尿病看護認定看護師 増田千絵
糖尿病の名前のルーツ
糖尿病は英語で『Diabetes Mellitus(ダイアビーティス メリタス)』といいます。これは、“サイフォン”を意味するギリシャ語のDiabetesと、“蜂蜜のように甘い”を意味するラテン語のMellitusが合わさってできた病名です。 |
- なぜ“サイフォン(Diabetes)”なの?
血糖値が高い状態が続くとさまざまな症状が現れてきます。
その中で「のどが渇いて水分をたくさん摂る」「トイレに行く回数が増える」がありますが、この症状は古代エジプト時代から知られていました。紀元前15世紀ころのパピルスには「尿が異常なほど出る病気」と記されています。
古代ギリシャ時代になると「尿は水道の蛇口を開いたように絶え間なく流れ出す」と記されており、この症状をサイフォンにたとえてDiabetesと名付けられました。 - なぜ“蜂蜜のように甘い(Mellitus)”なの?
古代インド時代には、触るとベトベトして蟻がたかる尿があるという記録が残されています。17世紀になって、イギリスの医師がDiabetes患者の尿が蜜のように甘い事に気づき、蜂蜜にたとえてMellitusと付けました。 - なぜ日本では“糖尿病”と呼ばれるの?
このような経緯で甘い尿をたくさん出す病気は『Diabetes Mellitus』と呼ばれるようになり、明治時代の日本では蜜尿病と訳されていました。その後尿の甘い成分がブドウ糖であることが発見され、1907年に日本名で“糖尿病”となったのです。 - “甘い尿をたくさん出す病気”を放っておくと?
尿に糖が出ることは血糖値が高いことのあらわれです。高い血糖値が続くことで網膜症、神経障害や腎症などの合併症を引き起こし、生命を脅かす可能性があります。パピルスにも「不思議な病気で肉や手足が尿の中に溶けだしてしまう、病状が揃うと死も早い」とあり、甘い尿をたくさん出す病気を放っておき合併症を引き起こしていたことがわかります。
糖尿病は放っておかず、定期的に医療機関を受診することが大切ですね。