認定看護師リレーエッセイ No.12
認定看護師リレーエッセイ
認定看護師リレーエッセイ No.12
緩和ケア認定看護師 外川仁美
リンパ浮腫のお話 |
- リンパ浮腫ってどんな状態?
体の中のリンパ管が途中で途切れたり、押されたりしてリンパ液の流れが悪くなり
タンパク成分を多く含む組織間液が、皮下組織にたまりむくみが出る状態です。 - リンパドレナージとエステのリンパマッサージの違い
エステのリンパマッサージはリンパ管の途切れや圧迫などない人を対象とした美容目的のものです。エステは、健康な時にリフレッシュするためのものです。
リンパドレナージは治療を目的とし、流れが悪くなっているリンパ液を用手的に流していくことです。 - 女性の方がむくみやすい
腕の関節や足の関節を動かすことで、リンパの流れが良くなります。腕や足を動かすとその動きに合わせて筋肉は収縮と弛緩を繰り返します。
その筋肉の収縮と弛緩の動きはリンパ管にも作用して、リンパ管内のリンパ液が一定方向に押し出され、結果としてリンパの流れが良くなります。これを「筋肉のポンプ作用」と言います。
女性の方が男性より筋力がないため、「筋肉のポンプ作用」は弱く、血液やリンパ液の流れも弱いので、男性に比べるとむくみやすいと言われています。 - 西郷隆盛も実はリンパ浮腫だった?
明治時代の日本にフィラリア症という感染症がありました。今でこそ犬がかかる病気と知られていますが、当時は鹿児島などでかかる風土病でした。
フィラリアという寄生虫は蚊が媒介し〈移される〉お腹の中のリンパ管に寄生すると、足のリンパ管が塞がります。
男性がこの病気になると陰嚢が肥大化します。陰嚢水腫と呼ばれます。
明治維新の中、服装も背広に変化していくなかで西郷隆盛はこのために、浴衣を着ていたのではないかと言われています。また、馬に乗るのも困難で移動手段はカゴだったようです。
今の日本では、フィラリアは殆ど見られません。