認定看護師リレーエッセイ No.47(糖尿病を持ちながら生活する方からの手紙)

最終更新日 2024年7月5日

ページID 080070

印刷

認定看護師リレーエッセイ No.47 ~糖尿病を持ちながら生活する方からの手紙~

糖尿病看護認定看護師 増田千絵

 糖尿病看護に携わり30年以上が経ちました。ここまで長くやってこられたのは、たくさんの糖尿病患者さんの支えがあったからだと思っています。
 患者さんのお話をうかがっていると、自分なりの糖尿病治療生活の創意工夫に感心させられます。そして、患者さんからパワーをもらい、私も頑張ろうと勇気づけられます。また、「ありがとう」の言葉を聞くと、温かい気持ちになれます。このようなやり取りのおかげで、30年以上も糖尿病看護に携わることができました。
 時々、患者さんから手紙を頂くことがあります。どの手紙も看護師冥利に尽きるもので、ある1型糖尿病をもつ女性の方から頂いた手紙は、今も私の心の支えになっています。幼少児に発症し、周囲から心ない言葉を言われ傷ついたこと、「糖尿病だから妊娠は無理」と言われて落ち込んだことなどが書かれていました。そして、妊娠を機に私との関わりが始まり、一緒に相談しながら血糖マネジメントができたこと、無事に出産できたことへの感謝が綴られていました。
 糖尿病患者さんは、糖尿病を持つことの生きづらさを感じています。その思いを言葉で伝えてくれる方もいれば、この方のように文字で綴って伝えてくれる方もいます。手紙の場合、あとで読み返すたびに、その思いが胸に刺さります。また、感謝の気持ちも、文字で綴られるとより心に響きます。糖尿病を持ちながら生活する方々をサポートするにあたり、色々考えさせられ、糖尿病看護に携わっていくうえで糧となる手紙になっています。
 ここまで私を育ててくれた患者さんたちに感謝を込めて、これからも良い看護が実践できるように励んでいきたいと思っています。
 
gazo