認定看護師リレーエッセイ「糖尿病のスティグマについて考える」
糖尿病のスティグマについて考える
認定看護師リレーエッセイ No.34
糖尿病看護認定看護師 増田 千絵
「糖尿病と言われてショックだった」「糖尿病であることを他人に知られたくない」
そんな患者さんは決して少なくありません。それは、糖尿病という病気がスティグマを持っているからです。
今回は、糖尿病とスティグマについて考えていきます。
糖尿病のスティグマって何?
”スティグマ”とは、一般的に”恥・不信用のしるし、不名誉な烙印”を意味し、ある特定の属性に所属する人に対して否定的な価値を付与することです。
糖尿病患者は、糖尿病を発症したことや、治療がうまくいかないことを患者さん自身の不摂生のせいなどと世間で判断されます。
また、糖尿病があると、寿命が10年短くなる、さまざまな合併症を引き起こすなど、ことさら糖尿病のマイナスイメージをあおるような情報が世の中にあふれています。
このような糖尿病に対してのマイナスイメージにより、糖尿病と診断されることはスティグマ、負の烙印を押されてしまうことになります。
そのため、糖尿病であることを恥ずかしく感じ、周囲に隠すようになるのです。
スティグマが糖尿病患者の生活の障壁になっている!?
糖尿病患者は社会生活をおくるうえで、次のような不利益を被りがちです。
・生命保険に加入できない
・住宅ローンを断られる
・就職できない
・仕事を任せてもらえない
・結婚できない
・出産させてもらえない
・周囲に糖尿病であることを隠しているので定期的に受診ができない、そのため適切な治療の機会を失い、糖尿病の重症化につながる
・・・など
糖尿病について何も知らない人たちからの誤解や偏見のために、糖尿病を持ちながらの生活を辛く感じている患者さんもいるのです。
糖尿病患者の幸せライフの実現へ!
近年、糖尿病に関する医療環境は飛躍的に進歩しています。
血糖コントロールを適切に行うことで合併症の発症を減らせます。
糖尿病患者の平均寿命は糖尿病ではない人と比べても大差がありません。
糖尿病があっても社会で活躍できる時代です。
糖尿病患者が糖尿病と共に歩む人生の中でごく普通の生活を送り、幸せな人生をまっとうできるためには、社会からの正しい理解が必要なのです。
当院では、糖尿病について正しい理解ができるような啓発活動を定期的におこなっています。
詳細は、院内掲示物・広報誌「あさひばし」等に掲載されますので、ぜひご参加ください。