認定看護師リレーエッセイ「放射線治療は からだに悪くないですか?」

最終更新日 2020年10月9日

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放射線治療はからだに悪くないですか?

認定看護師リレーエッセイ No.32

がん放射線療法看護認定看護師 永草 麻由美

放射線治療は、治療する部分の近くにある正常臓器への放射線の被ばくをなるべく避けながら、治療する部分に絞り込んでおこなっています。また、患者さんの年齢や体力・治療の強さも考えて計算し、体への負担を最小限にしています

しかし、残念ながら副作用が起きないとはいえません

副作用は放射線のとおった部分におこり、症状や程度は、治療の部位と範囲・放射線の量によって異なります

放射線治療による副作用について 

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原子爆弾の被ばくによりがんになったと聞いたとことがあると思います。放射線治療で“二次がん”になるのではと不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、放射線治療はがんの部分に限って放射線をあてていますので、放射線治療が原因となる発がんの危険性は極めて少ないです

脱毛について心配される方もおおいですが、放射線のとおり道に副作用はおこるため、頭部の放射線治療以外は脱毛が起こることはありません。また、脱毛してもほとんどの場合は数か月後に生えて来ます 

副作用を少なくするためには

副作用を最小限にするためには、治療している部分に刺激をあたえないことが大事です

治療を行う前に、治療の方法・副作用の出現時期や副作用の悪化を防ぐ方法ついて詳しく説明いたします

治療中も体調の変化をお聞きしながら、治療を続けても問題がないか、困っていることがないか毎日確認しながらおこないます

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放射線治療中の生活について

「放射線治療中は家族が気をつけることはありませんか?」という質問をうけることがあります 

一般的におこなわれている、外部から放射線をあてる外部照射に使用している放射線は、検診などの検査のときに使用しているX線です。X線は瞬時に体を通り抜け放射線が体に残ることはありません

もちろん、家族や周囲の人への影響はありませんので、治療中も生活を変える必要はありません

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戦争で世界唯一の被ばく国である日本は、一般的に「放射線=被ばく」というイメージが強いです。放射線治療は体に悪い危険な治療ではないかと考えられがちですが、体への影響や副作用を考えながら最大限の効果を得られるよう安全に治療をおこなっています。

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