認定看護師リレーエッセイ 心不全に成り始めのサインとは

最終更新日 2020年1月20日

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心不全に成り始めのサインとは

認定看護師リレーエッセイ No.29

慢性心不全看護認定看護師 辻 久美

~高齢者心不全 早期発見のために~

高齢者の心不全は症状がはっきり現れないことが多いです。症状があっても「年のせい」と思い込んで我慢して生活しているケースが少なくありません。病気が進行してからでは治療は難しくなるため、いかに早く見つけて、治療を始めるかがその後の人生を左右すると言われています。

早期発見のためのポイント紹介

~むくみや体重増加も心不全の前触れです~

高齢者心不全 早期発見のために心臓の機能が落ちてくると血液の流れが悪くなります。そして体の全体に水が溜まりやすくなります。水分が体をめぐって腫れていく症状をむくみ=「浮腫」と呼んでいます。体を起こしていると溜まった水は、下半身に移動するため通常は足に見られます。
心臓が原因の浮腫では、浮腫のある部分、例えばすねや足の甲を指で押さえるとそのまま凹み、圧痕が残るという特徴がみられます。浮腫が進むと溜まった水分の分だけ体重も増加します。むくみや体重増加
特に理由がないのにむくみが出ることや沢山食べてないのに急激に体重が増えた場合、または「疲れやすい」「咳が出る」「食欲不振が続く」といった症状も心不全の危険なサインです。どれも一見、心臓とは関係ないように思えますがこうした症状も見逃さないようにしましょう。
心不全の成り始めである初期症状に特に敏感であって頂きたいのが、心不全の原因となる病気を持っている場合です。心筋梗塞や弁膜症、不整脈をはじめとする全ての心臓病は、心不全の原因となります。また動脈硬化の危険因子として知られている高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病、喫煙、過度の飲酒、塩分摂り過ぎ、運動不足、過労、ストレスといったことも心不全を起こしやすい要因となります。
高齢者では、こうした危険因子にいくつも該当する場合が多く、たとえ症状がなくても自分が心不全になりやすい予備群であることを自覚して生活するようにしましょう。
 

●心不全かもしれない判断のポイント

~いままでできていたことができなくなったら心不全を疑う~

いままでできていたことができなくなったら歳をとると体力が衰えて坂を登っただけで「ゼイゼイ」「ハアハア」することがあります。このような変化は、急には起こりません。少し前はできていたことができなくなった、急に体力が落ちたと感じた場合、心臓に何らかの異常がある可能性があります。「少し歩いただけでも息が切れる」「重い荷物を持って歩けなくなった」など今までふつうにできていたことが大変と感じたら「老化」と片付けずに病院に相談しましょう。