認定看護師リレーエッセイ 手術前に飲食をやめるのはなぜ?
手術前に飲食をやめるのはなぜ?
認定看護師リレーエッセイ No.28
手術看護認定看護師 中西香織
手術を受けるときの準備として、皆さんはどのようなイメージを持っているでしょうか。
手術前の患者さんにお会いする時に「ご飯は何時まで?」「いつまで水飲めるの?」と聞かれることがあります。『手術前にはご飯はやめなくちゃいけない』というイメージが多かれ少なかれあるようですね。
それではなぜ手術前にご飯を食べたり、飲み物を飲んだりしてはいけないのでしょうか。それは、全身麻酔に伴う『誤嚥性肺炎』を予防するためなのです。
1. なぜ『誤嚥性肺炎』の危険があるのか
『誤嚥性肺炎』とは、胃から胃液や胃の内容物が逆流し、気管に流れ込むことで起こる肺炎のことを言います。
意識のある場合には、むせたり、咳き込んだりすることにより気管に異物が入らないよう予防するための現象が起きますが、全身麻酔で使用する薬の影響によりこの現象が起きなくなってしまいます。そのため、胃に消化されていない食べ物や飲み物が存在すると気管に逆流する可能性があるのです。
2. 手術前の飲食中止のポイント
手術前に飲食が中止になるとき、食事が先に中止になり、飲水は後から中止になることが大半です。ここで注意していただきたいのが、飲水の内容についてです。「飲み物なら何でもOK」ではありません!!食べ物の消化は、食べ物の種類やカロリーによって異なります。水分なら大丈夫だと思い、果肉入りのジュースや甘いココアなど飲んでしまうと、手術に影響してしまうこともあります。絶食後の飲水で良いのは、水やお茶、果肉を含まないジュース、炭酸飲料、お茶、ブラックコーヒーなどカロリーの少ない飲料ということですが、安全のためには水かお茶にしておくとよいでしょう。