認定看護師リレーエッセイ 認知症やうつ状態とも間違われる「せん妄(せんもう)」とは?
認知症やうつ状態とも間違われる「せん妄(せんもう)」とは?
精神科認定看護師 福本きよみ
入院や手術を受けて、いつもとは様子が変わり「急におかしなことを言い、日にちも分からなくなった、ひどい認知症になったのだろうか」「この状態が続いていくのだろうか」と不安になることがあるかもしれません.このような場合は、「せん妄」の可能性があります。
せん妄とは
- からだの状態が弱っている
- 手術の後
- 薬の影響 など
このような時には、脳の神経も不具合が生じます。
そのため「せん妄」という意識の混乱が生じることがあります。
せん妄の症状
- 場所や時間の感覚が鈍くなる
- 落ち着きがない
- 昼と夜の感覚が鈍くなる
- ぼんやりする
- 話のつじつまが合わない
- 幻覚が見える
- イライラする
- 怒りっぽい
- 体についている管を抜いてしまう
せん妄の治療
- せん妄の治療薬を使うこともあります
- 安全に安心して治療が受けられるように環境を整えます
※やむをえず安全のために、体動センサーやミトン等を使用することもあります。
せん妄の予後
- せん妄の50~70%は治療や環境調整によって、改善する可能性があります。
- 身体の状況によっては、改善することが難しい場合もあります。
ご家族にご協力いただきたいこと
- 普段親しんでいる方がそばにいるだけで、ご本人の安心が得られます。
- 時計(腕時計も可)やカレンダー、ご家族やペットの写真などを見える場所に置いてください。
- つじつまの合わないことを言っても否定しないで、気持ちを受け止めてください。
当院では、せん妄などの精神的な症状がある場合には、精神科医師、精神科認定看護師、精神保健福祉士からなる、精神科リエゾンチームが支援をお手伝いすることもできます。 お気軽にご相談ください。 |