認定看護師リレーエッセイ ノロウイルスと餅つき

最終更新日 2017年4月13日

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ノロウイルスと餅つき

認定看護師リレーエッセイ No.20

感染管理認定看護師 桐則行

国立感染研究所の発表では2016年12月ノロウイルスによる感染性胃腸炎の患者数は、2006年、2012年に次ぐ規模の流行で、これは例年と異なりウイルスの変異が要因とも言われています。

【今年のトピックス】

「餅つき大会への影響」餅つき

  • 餅が原因の食中毒の報告
    2011年2件、2012年6件、2013年4件、2014年1件、2015年1件、合計感染者数768人です。
    発生件数は多くはありませんが、発生すると1件当たりの感染者数が多いと言えます。
  • 2016年の発生事例
    12月熊本県南小国町の保育園。餅つきが原因とみられる食中毒が発生。
    園児や保護者など計52人が嘔吐や下痢。
    餅つきは園児・父母・職員が行い、つきあがった餅はちぎられバット上で調理されていました。返しの水は交換されていましたが、容器は途中での洗浄はなく、他の器具も十分な洗浄・消毒はされていません。
    それらは全て素手で行われ、作業前やトイレ後の手洗いは徹底されていませんでした。
    要因:最初の段階で臼や杵、返しの水が何らかの原因でノロウイルスに汚染され、それらを介して餅を汚染し続けたものと考えます。

以上を受けて多くの自治体・保健所から自粛や注意喚起が出されました。

保健所等が推奨する対策

(1)餅を「つく用」と「食べる用」に分ける。

(2)雑煮や汁粉など必ず熱を通すようにする。

やむを得ず中止した施設

自治体や幼稚園では年末・年始恒例の餅つきを「子どもが伝統文化に触れ食育にもなっていたが、子どもの健康が第一」と説明し中止したところもあります。

  • 衛生管理を講じて開催した施設2
    「餅つきは、子供たちが毎年楽しみにしている行事です。食中毒などが発生したら翌年からできなくなってしまう。厳重に感染症対策を講じた上で実施します」という保育園もあります。
    中止・開催どちらにしても苦渋の決断だったのではないでしょうか。
    しかし、過剰反応でやみくもに辞めてしまうのは昔ながらの行事がなくなってしまいます。
    皆さんも保育所などで餅つきの楽しい思い出があるはずです。出来る限りの対策を行い伝統文化を守ることも必要かもしれません。
    そして、餅つき大会や様々な催しが親子で手洗いや清潔について実践するきっかけのひとつであっても良いのではないでしょうか。
    これは餅つきだけに限ることではないはずです。
    日常から「正しい手洗い」を習慣化することが重要です。
    それには親の日常の手洗いがお手本です。子供は見ていますよ。