「ロボット支援下直腸がん手術」の開始について

最終更新日 2022年3月11日

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「ロボット支援下直腸がん手術」の開始について

当院外科でロボット支援下直腸癌手術が保険診療で行えるようになりました。

泌尿器科領域では当院でもすでに前立腺全摘術・膀胱全摘術・腎部分切除等が行われています。

ロボット手術ってどんな手術?

ロボット手術とは腹腔鏡下の直腸癌手術をロボットの支援下に行う手術です。

“ダビンチ”というアメリカで開発された手術支援ロボットを使用します。

当院では最新の“ダビンチXi”を使用しています。

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(ダビンチXi)

まず、腹腔鏡下手術とはお腹に大きな切開をせず、5mm-12mmの穴を開け、カメラやマジックハンドの様な鉗子を挿入して行う手術です、現在まで当科では直腸がん手術に関してはほぼ全ての手術を腹腔鏡下に行っています。

ロボット支援下手術はロボットが勝手に自動で手術を行う訳ではなく、外科医がロボットを操作して手術を行います。

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(臨床工学士・看護師・外科医が連携して行います)
 

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(術者(外科医)が操作をします)

ロボット手術のメリット(利点)は?

外科医の手元の操作を大きな動きを手術の部位では緻密に、さらには手ブレの補正機能により緻密で安全に手術を行う方法です。カメラもロボットであるためブレたりすることがありません。

腹腔鏡下手術のマジックハンドの様な鉗子は直腸的なものですが、ロボットの鉗子は関節があり、お腹の中でさらに緻密な動きができることが大きなメリットになります。

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(繊細な鉗子が腹腔内で手のように動く事で緻密な手術が可能になります)

直腸癌は狭い骨盤内での操作が必要な手術で、排尿や性機能に関わる神経や前立腺のような出血しやすい臓器がある場所を操作する必要があります。腹腔鏡下手術はこの狭い骨盤の中をカメラで観察しながら行う手術で、緻密な操作により排尿や性機能障害、出血をさせない手術が出来るというメリットがあり、ロボット手術ではこの利点がさらに生かされる手術です。

直腸手術で患者さまが非常に心配なことに一つに“人工肛門になってしまうのか?”という不安があるかと思います。我々外科医もがんを残さないためにやむを得ない場合もありますが、出来ることであれば人工肛門は避けたいと考えています。がん手術ではがんをしっかり切除すること(根治性)と肛門や排尿機能・性機能を温存すること(機能温存)が大事になります。ロボット手術では3Dの非常に綺麗で拡大された視野で、手のように曲がる、操作性の良いロボットアームでの手術が行えるため、手術を受けられる患者さまにとって高い根治性と肛門を温存し人工肛門を避けるなど最大限の機能温存が可能となる手術が行えることがメリットと考えております。
 

(開腹手術)

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開腹手術では、骨盤内の深い部分を遠くから直接観察することになります。

鉗子操作も遠くからとなります。

(腹腔鏡手術)

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腹腔鏡手術では、骨盤内の深い部分をカメラが深いところに入って観察します。

鉗子は直線的であるため、周りの臓器にぶつかったりすることでの動作の制限があります。

(ロボット手術) 

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ロボット手術では、骨盤内の深い部分をカメラが深いところに入って観察します。

さらに鉗子(ロボットアーム)は関節があるため、先端の部分で動作制限がなく、より緻密な操作が可能となります。

どんな直腸癌でもロボット手術が出来るの?

がんの大きさや浸潤の度合いからロボット手術より腹腔鏡下手術や開腹手術を選択した方がよい患者さまもいらっしゃいます。これに関しては消化器内科、外科で検討しさらに患者さまと相談しながら手術方法の選択をしてゆきますので、気軽に相談して下さい。

ロボット手術の費用は?

消化器がんの領域ではまず、日本内視鏡外科学会の技術認定医という資格が必要となります。手術ビデオを直接審査される平均の合格率は20%程度の資格となります。この資格取得者が規定のトレーニングを受け、さらに施設としての直腸癌手術の症例数などの条件をクリアして初めて保険診療での手術が可能となります。

医療費は現在の処、直腸がん手術に関してはロボット手術でも腹腔鏡下手術でも同じです。実際に手術にかかるコストはロボット手術では腹腔鏡下手術に比べ高額ではありますが、ロボット手術から患者さんが受けられる恩恵は大きいものと考えているため、適応となる患者さまには利益を度外視しロボット手術をお勧めしております。

当院ではロボット支援下直腸癌手術は保険診療で行うことが出来ます。

ロボット手術は他のがんではできないの?

消化器がんの領域では現在の処、食道がん、胃がん、直腸がんで適応となっております。今後、結腸がんにも適応が拡大される予定となっております。胃がん、結腸がんに関しては2022年度の保険診療の改定を待ち、順次導入の予定です。

当科ではがん以外の消化器疾患や鼠径ヘルニア(いわゆる脱腸)といった疾患95%以上を腹腔鏡下手術で行っておりますので、ロボット手術が患者さまにメリットがあるのであれば、それらの疾患にも積極的に取り入れてゆくのが望ましいと考え、日々研鑽しております。

消化器疾患の手術が必要となった患者さま、あるいは手術は必要なのか?と悩まれている患者さまは当院にお気軽にご相談下さい。


 

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(手術のトレーニングを行うシミュレーターと、実際にロボット鉗子を操作するレバー)

実際の臓器ではなくバーチャル映像でのトレーニングがいつでも可能です。