第4回旭川市都市景観賞
第4回旭川市都市景観賞(平成11年度)
都市景観賞
蔵囲夢(くらいむ)・上川倉庫群(旭川市宮下通11丁目)

貴重なレンガ倉庫群を保存、再生歴史を後世に伝える優れた景観資源
市内に残る古いレンガ倉庫を、新しい機能を持つ施設に転換した好例。上川倉庫群は建物の化粧直しと共に周辺の道路整備を図り、かつての旭川の街並みの一端を甦らせました。約1世紀の風雪に耐えたレンガ積みの壁は手入れが行き届き、建設当時のレンガ職人の手技を現代に伝えています。倉庫群はそれぞれ、ビアホール(大雪地ビール館)、ギャラリー(作品展示場)、リハ一サルホール(市民サークルの練習場)の機能が与えられ、複合的な街区を形成しています。倉庫群が道路に囲まれた形で配置されているため、建物の隙間からも奥の倉庫がかいま見えるなど変化に富み、歴史的景観を道行く人々に提供しています。
三浦綾子記念文学館(旭川市神楽7条8丁目)

ストーリー性の高い文学施設都市内緑地「見本林」がより身近に
郷土が誇る作家である三浦綾子氏の文学記念館として、全国の三浦文学ファンを巻き込んだ市民運動の結果完成した施設。作家のデビュ一作「氷点」の舞台である「外国樹種見本林」という理想的な立地にもめぐまれ人々を惹きつけています。十分に育った針葉樹林地の環境との関係性を読みとり、文学館の配置や形態、開口部の位置、外装仕上げ素材などの選定にきめ細かな配慮が見られ、全体として周囲と見事に調和した景観の形成が図られました。この施設が開館して以来、見本林の遊歩道を散策する人々がこれまで以上に多く見られ、都市内緑地が一層身近なものとなりました。
優良景観認定施設
旭山動物園の再整備(旭川市東旭川町倉沼)

施設の再整備とアイディアに富む運営子どもも大人も楽しめる施設に
日本最北の公営動物園として市民に親しまれてきた旭山動物園。老朽化に伴う施設の見直しと、展示観察に対する新たな取り組みの結果、こども牧場、猛獣館、サル山など順次リニューアルが進められています。さらに、電気自動車の園内運行や通年入場できるパスポートの発行、夜行性動物が観察できる「夜の動物園」の開催など、ソフト面からのアイディアによって一層市民に親しまれる施設となってきました。中央坂道のせせらぎや、こずえ越しに見える市街地の遠景などが一連のリニューアルと調和して楽しげな景観を生み出しています。
旭川空港周辺整備(東神楽町東2線15号)

景観阻害要素を整理した姿勢に注目今後の景観保全に大きな意義
道北の拠点空港としての拡張工事も終わり、施設整備も最終の段階となっています。周辺整備にあたっては、ともすれば事業の目的にのみ限定されがちな整備手法に、ランドスケープデザインの視点を導入し、緩傾斜面、照明(照明学会・照明普及賞受賞)、駐車場などを含めて、全体のデザインコントロールが図られました。
特に注目すべき点は、空港からの大雪山連峰の眺望を阻害していた屋外大型広告物を取り除いたことです。周辺環境の整備にあたり景観阻害要素を排除した例は、今後のまちづくりや景観の保全に重要な意味をもつでしょう。
地図
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