議員協議会の結果(H22.4.26)

最終更新日 2016年2月24日

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議員協議会の結果について

  • 日時 平成22年4月26日(月曜日)午前1時から午後4時5分(休憩午後3時20分から午後3時30分)
  • 場所 旭川市議会議場
  • 日程 次のとおり

開会あいさつ要旨

旭川市議会議長 鎌田 勲

本日は、大変お忙しい中、ありがとうございます。

この研修会の開催に当たり、アドバイザーを快く、お引き受けくださいました東京財団政策研究部研究員の中尾修様に厚くお礼を申し上げます。中尾先生は1月の研修会にもおいでいただき、皆さん御承知のことと思います。

旭川市議会では、昨年10月に設置した旭川市議会議会基本条例検討委員会が中心となり、「旭川市議会基本条例(素案)」をまとめました。今日は、その素案について、全議員で自由に討論する場としたいと思います。限りある時間ではありますが、有意義な機会となりますことを御期待申し上げます。

また、円滑な進行ができますよう、皆様の御協力を心からお願い申し上げ、開会に当たりましてのごあいさつといたします。

旭川市議会基本条例(素案)の説明

旭川市議会議会基本条例検討委員会委員長 谷口 大朗

本検討委員会は、昨年の10月に議長の私的諮問機関として設置され、今日まで10回の検討委員会を開催してきました。今年の10月、第3回定例会までに議案を議長に答

申できたらと工程表を作成し、概ねそのスケジュールに沿って今日まできています。

検討委員会は、条例チームと渉外チームに分かれ作業を進めています。

条例チームが中心となり議論を重ね、3月30日の第7回検討委員会で、素案のたたき台をまとめました。このことについて議長に報告し、その後、議会運営委員会でも旭川市議会基本条例(素案)、本日の議員協議会の開催、5月の市民説明会の開催を確認していただきました。渉外チームは、1月の研修会の開催、アンケートの実施及びとりまとめ作業を終了し、今回の議員協議会の準備、運営、そして、今後の市民説明会の向けての準備を進めております。

皆さんにお示した3月30日の素案に対し、各会派から様々な御意見をいただいたものを検討委員会で議論し、4月22日素案として、本日お手元に提出させていただきました。この条文等については、すべて固まったものではありません。文言の修正、規程等で定めるもの、整理するものなどがあることを前提にお示ししたものであることを御了解ください。

本日、全議員の皆さんに御意見をいただき、その御意見をもとに更に検討委員会で議論を重ね、5月の市民説明会に臨もうと考えておりますで、本日はよろしくお願いいたします。

(素案の説明)

旭川市議会基本条例(素案)に対するアドバイス

アドバイザー 東京財団政策研究部研究員(前栗山町議会事務局長)中尾 修 氏

主な内容

1月の研修会には傍聴者として参加させていただき、皆さんの活発な御議論を聴かせていただきました。今日は、素案のアドバイスの前に全国の状況、国の動きなど、私が実際に行った市町村の話をしたいと思います。

御紹介するのは、兵庫県加西市、愛知県名古屋市、香川県観音寺市です。

最初は、兵庫県加西市です。人口3万7千人、市長の職員採用に端を発し、首長の不信任、議会解散など、九州のある市と似た状況が続いています。先日、議会基本条例制定のための市民フォーラムがあり、参加しました。参加者は120人弱で、市民が3分の1、議会が3分の1、行政職員が3分の1でした。この会場は、大変な緊張感、こちらが恐ろしいくらいの緊迫感がありました。その会場に開始2時間前に現れたのは、なんと市長。その市長が私に話したことは、次のとおりでした。議員定数18人を12人にする議案を提出していて、委員会に付託されているが否決されるだろう。今まで議会は市長提案を7回も否決しているが、議会はその説明を市民にしていない。議案賛否は、市長が市の広報で公表しているのだとのことでした。加西市議会は、議案を否決したことを含めて議会のスタンスを市民に説明することを盛り込んだ議会基本条例をこの6月定例会で制定予定としています。素案がホームページで公開されてますので御覧ください。議会基本条例制定を機にしっかりした二元代表制のもと、市民に説明責任を果たしていくとのことであります。

次に、2月に、名古屋市議会で話する機会がありました。小さな町出身の私がどうしてだろうと思いました。それは、昨年、河村市長が市民税を10パーセント恒久的に減税すると公約し、一定の支持を受けて大変な票数で当選し、当然、議案として議会に出てくるのを承知しながら、なぜ議会は何も行動しなかったのかと公然と批判をしていましたから、一度話を聴こうということだったようです。議会はいつも受け身で、市長提案の議案が議会に提案されてから対処し、狭い議場で決着するという時代はとうに過ぎています。市議会が市民への説明責任を果たす、最もいいチャンスだとお伝えしました。名古屋市議会では、4月中に市内5か所で市民説明会を開催し、東京財団では2名の研究員を派遣し、その報告をホームページに掲載しています。
遅きに失しましたが、市民は、議会報告会の初めには市議会が今ごろになってでてきたことを叱責しますが、議会の説明を聴き、最後は議会のスタンスを理解するものとなりました。この動きは、自治のしくみとして大変関心があり、市長、議会そして市民が試されているのだと思います。それに関連し、市長が議会を直接解散させることができるかのような誤解のある言い方がされているようですが、市長が議会を解散できるのは、市長の不信任決議が可決されたときだけであることは、皆さんは御承知のことと思います。地方自治法の直接請求による議会の解散は、また別になります。

この3月議会では、香川県観音寺市議会をはじめ、市長提案の一般会計など議案を一部修正する議会が相次いでいます。観音寺市議会は既に議会基本条例を持っていましたが、議案修正するための執行部側との将来の財源や政策シート等の詳細資料のやりとりを想定していなかったのです。訪問した3月25日は、議会最終日の前日で、議会は準備で大変でした。

旭川市議会基本条例(素案)の説明にもありましたが、規程等に明記する際にも執行部との明確な調整が、大変重要だと考えています。

今、御紹介しましたように、全国的に相当な動きがあります。

ここで、お手元に配付しております新聞記事をいくつか御紹介します。

「参考新聞記事」北海道新聞 林総務調査課長が読み上げる。

中尾先生 素案のアドバイス

事業仕分けについては、本来は議会の仕事だと考えます。地域の経営者としての視点を持ち、将来を見据えて、市民に公平公正であるか、市民が求めているものかどうかを判断をしていかなけれなならないことは、皆さん十分御承知のことと思います。このことに関連し、栗山町議会では、次のような取り組みをしました。予算審査で、19節の補助金を国からのもの、道からのもの、首長からのものに分けて10年間の推移を出し、補助金だけに特化、集中した審議の日を設け、経緯なども踏まえながら、議会として判断しました。補助金は、様々な要素を含みますので、事業仕分けとしてはやりやすかったように思います。目的別、年度別や人件費などの様々な費用を切り口として審議することもいいかと思います。このように地域経営を担う議会になっていくということが、議会基本条例の基本中の基本で、信頼される議会に変わっていきますというのが議会基本条例の根幹だと考えます。

条例を制定しても、議会が変わったことを市民が認めてくれなければ、意味がないし、条例の制定がゴールでもない。条例制定後に、この旭川市議会が真に試されるのだと思います。

今まで、議会は機関として、市民と向かい合ってきていません。選挙で当選し、住民の代理的な意味で信任されてはいるが、実際の議員像は、地域経営者として、市長と市民との間にありつつも、市の状況を踏まえ、議論を重ね、悩みに悩み抜いて判断をしているのが本当のところだと思います。だから、議会は、その両方の立ち位置を大切にし、市民の意見を聴き、その意見を持ち帰り議員同士で議論を尽くし、市の経営者としての判断をしていくことになるでしょう。
「参考新聞記事」山梨日日新聞 林総務調査課長が読み上げる。

議会基本条例に議会の議決責任を入れたのは、会津若松市議会が初めてです。旭川市議会の素案にも盛り込まれていますが、見事だと思います。議会としての議決責任を果たすことについて、法律に担保されていないので、今の法律では訴訟の相手側にはなれない。それを市民報告会で説明責任で果たしていくことが不離一体として盛り込まれいる素案は、見事だと思います。

市政報告会については、市長もやっているが、選挙で選ばれた人は市長ひとりだけで、その他付いていくのは行政職員です。議会が行う場合は、選挙で選ばれた議員が何人かで行くことになる。栗山町で経験しましたが、市民の前にでた時に、議会が束になると議会は強いなと実感しました。行政職員がいくら説明しても市民に納得してもらえないことがあるが、議員は市民の一票を獲得しているのですから、何よりも頼りにされていて、議会、議員でなければできないことだと考えます。その手法のひとつが、市民との直接対話、議会報告会であることを強調しておきたいと思います。
議会基本条例の制定とともに、民意を得てくるのが議会の得意技であることを市民の皆さんにも理解していただき、そういう議会に変わっていくのだということを市民の皆さんに宣言をしていただくこと。これが、議会版のマニフェストなろうかと考えています。

この3月末で103の議会基本条例が制定されていますが、ユニークなものを2つ紹介します。

「議員は、職員、臨時職員の採用に関わってはならない。」、「議員は、代表質問、一般質問を執行側職員に書かせてはならない。」。驚かれると思いますが、議会基本条例が議員活動の規範になるということです。

内向きだった議会のルールをこのように変え、市民と共に歩んで行くことに変えますと宣言したことを理解していただきたい。

「参考新聞記事」日本経済新聞 林総務調査課長が読み上げる。

先日、東京財団では、原口総務大臣、大塚内閣府副大臣の御出席をいただき、シンポジウムを開催しました。政府は、明後年の通常国会に地方議会の在り方を一部見直す法案を提出するようです。国は、地方分権を実現するに当たり、受け皿である地方自治体、とりわけ地方議会をあまり信用していないのでないかという印象を私は持ちました。私はあえて、地方は二元代表制でいいのではないかと質問しました。議会基本条例をもとに議会改革が進み、市民が活躍しているような事例も出てきている旨を伝えました。それに対して大塚副大臣は、「その実情をしっかりと踏まえたい、国は地方議会改革に、どのようなモメンタム(勢い、はずみ、方向性)を与えるかが役割なので、両方をにらみながら進めたい」という答えでした。

地方議会は警鐘をならされているのだと思います。中央で議会改革が議論されている中、地方議会の立ち位置を明確にする議会基本条例を持って、地方が権限を持っても大丈夫だというメッセージを中央に投げ返す時期なのかと考えてます。

最後に、旭川市議会条例素案についてです。3月30日の素案が出された後、大変なエネルギーを要し、全議員の皆さんが悩み抜かれ、一定の方向性のある素案をまとめあげましたことに心から敬意を表します。

「議会報告会」を使い、説明責任を果たしていくことで、これから市民が議会に関心を持つことになっていくと思います。議員が議会のスムーズな運営を気にしてはいけない。時には止まったり、徹底した議論を尽くしていくことで、市民がより関心を示してくれるものだと思います。この条例にもとづき、自信をもって市民の前に行って説明していただきたい。市民から色々批判が出るだろうが、議員の修練の場ととらえ、自信を持って撃たれてほしいと思います( 少し大げさですが。)。

特に、8条「広報広聴機能の充実」は、しくみを含め特徴があり、評価しています。また、ひとつ心配なのが、規程等で明文化するとの説明がありましたが、議会基本条例の大事な点は、市民との関係をどのように確保するかが大切だと考えますので、その視点を忘れないようにしていただきたいと思います。

以上です。後は、個々の御質問にお答えする形にしたいと思います。

本日は、お招きいただきましてありがとうございます。

全議員による自由討論(主な質疑内容)

1 前文について

(蝦名議員)
文章としてのつながりを考え、前後の文章を再考していただきたい。例えば、「時代の変化に応じた」はこの文言だけだとあいまいな印象となるので、「市民の意識の高まりや」と入れてはどうか。他に、「議会運営、議会の機能 」、「進めていくことを決意し、」などとしたらどうか。
(佐々木副議長)
検討委員会で議論を重ねてきた「地域主権」の定義はここに書かれているとおりであり、私は賛成である。しかし、旭川市議会が明記した「地域主権」の理解、解釈、定義が、今の政権のものと一致しているのか、あるいは法制上どうなのかということが大変疑問である。前政権で地方分権推進委員会の事務局長だった北海道大学公共政策大学院の宮脇先生が、11月までの政府とのやりとりの中で、(担当は逢坂衆議院議員なのだが)はっきりした定義が示せないでいる。また、全道市議会議長会総会の講演会で、山口二郎氏も地域主権などありえない、主権とは何か大変疑問だと話していた。これらのことから、政権交代後のはやり言葉で一丁目一番地になっているが、全国の議会基本条例で「地域主権」という文言を使っているところがあるか。また、検討委員会で議論した経過があればお示しください。
(中尾先生)
12月末までに制定した議会基本条例の中に前文を含めて「地域主権」の言葉が入っているところはない。
「地域主権」については、全国的にも副議長が御指摘のとおりの議論が各所でなされているが、現政権はこのまま進めて行く考えのようだ。旭川市が条例案を議決するまでのどこかの段階で、総務省見解が出るのでないかと思いますので、それを最終的な判断とされてはどうか。
(谷口委員長)
最初は、時代背景も考慮し、「地域分権」という言葉で表現したが、政権が変わり、地域が主役で、地域のことは自分たちでやれということが強く打ち出されてきたので「地域主権」を入れようと整理した。中尾先生のアドバイスにもありましたが、政府見解を待ち、柔軟に的確に判断していきたい。
(蝦名議員)
国の法改正の動きがあるのは十分理解しているが、二元代表制について、国との違いを市民に理解していただくのは時間がかかる。市議会議員としての立ち位置をどのように市民に分かりやすく伝えたらいいのか。よい方法があれば教えてください。
(中尾先生)
この違いは、議会報告会などで一番最初に市民に説明していくこと。地方自治法の直接請求権の問題だ。地方自治法では、この直接請求権を選挙権と同様、市民の基本的な権利として認めている。よって、様々な場面(条例の制定、議会の解散の請求など)で市民が自治を担い、自治体改革も議会改革も、市民の参加なしには進まない。市民が主役となるようなシステムにしないと自治は成熟しないということを市民に伝えるのが、議会報告会重要なテーマだと考える。これは、議員間で正確に勉強をされ、検討委員会の中でも議論を重ねて、市民説明会に臨んでほしい。
(鷲塚議員)
「団体自治」とあるが、これは何を示しているのか。
(安住議員(検討委委員))
地方自治という意味の中に、地方自治の本旨というのある。それが住民自治と団体自治であるとした議論の経過がある。文言としてのだぶりや不明確なものを整理し、民意が団体としての議会に体現されるという意味で入ている。
(鷲塚議員)
今の説明では、分からない。もう少し丁寧に分かりやすい表現や文言にすべき。
(蝦名議員)
市民が見ても分かりにくいものは他にもあるので、用語説明等を別に作成してはどうか。
(塩尻議員)
議会基本条例をどの視点で作成するかに関わってくるもの。市民のためのものでなければならない。団体自治とは地方公共団体を示すものと思うが、市民にとっては様々な団体想定されるため、鷲塚議員のような質問が出てくる。今後、市民説明会も予定されているので、今でなくてもいいのでしっかり整理すべきだと考える。
(谷口委員長)
住民自治と団体自治については、地方自治という言葉の解釈が大変幅広いため、団体自治に変更したが、市民に分かりにくいということであれば、解説なども使い説明していく。
(室井議員)
住民自治と団体自治について、何も直す必要はなく、3月30日素案の「地方自治、住民自治」のままでいいのではないか。

2 第1条から第4条について

(佐々木(邦)議員)
「基本姿勢」に「自覚を高める」とあるが、今さら書く必要があるのかと思う。「責に努めます」の方がいいのでないか。議員の活動原則に「高い倫理観」というのがあるが、倫理観は個人の思想心情、道徳観にかかわるもので、条例の中にこのような表現を入れると誤解が生じる。入れるのは誤りだと考える。
(白鳥議員)
議員の活動原則について、「議員活動が公務である」ということだが、公務の範囲や議会活動が不明確である。
(蝦名議員)
議員の活動原則の条文には、議員又は議会のどちらの活動を述べているのか確認したい。また、私は「高い倫理観」は必要だと考える。
(谷口委員長)
議会の活動原則は第3条に、議員の活動原則は第4条に分けて書いている。「倫理観」について、検討委員会では、本市議会は倫理条例を持っていないので、どこかに表現しておくべきではないかという議論があり入れたもの。また、公務の範囲についても、公務災害などを含めて議論はしている。皆さんからの御意見をいただき更に整理していく。
(佐々木(邦)議員)
第3条に「多様な市民意思の把握」があり、第7条に「市民意思を反映させるため、~意見交換の場を多様に設け」があり、同じようなことを述べていて両方に入っていていいのか。
(安住議員(検討委員))
条文には、佐々木議員の御意見のほかにも重なっているところがいくつかあるが、これからの議会活動で重要となると考えられるものは、独立した条文で取組を書いていこうとした経緯がある。第3条は広い意味でとらえたもので、第7条はそれを実践するための具体的な手法を示している。
(久保議員)
4月22日素案には、「合議体である議会」の文言がなくなっているが、なぜか。第12条にも関連するが、必要に応じて議員間討議をするのであれば、委員長の裁量に任せることになるので、原則として議員間討議は担保すべきだと考えるがどうか。
(安住議員(検討委員))
文言がなくなったのは、過度に重なるところはなくそうということと、独立した条文で明記した方がいいものを整理した経緯である。議員間討議の「必要に応じて」は、常に議員間討議が必須なのか、明確に争点が分かれた時や疑問が出てきた時に、しっかり行えるようにしたら良いとし、争点がないのにやる必要はないという考えから入れた文言である。
(中尾先生)
栗山町で「議論の広場」と言っているものについて、運営上の「自由討議」ではなく、議会の存在としての「自由な議論の場」としているもの。
(久保議員)
議員間討議については、文言を整理したということで理解できた。文言のだぶりの部分は整理して、条例全体を読めば盛り込まれているということでいいのか。
(中尾先生)
文言のだぶりは、そんなに気にすることではないが、皆さんが判断していくことだと考える。
(谷口委員長)
議員間討議は、第12条でしっかり入れてるし、運用は別に定めたい。今まで採決した議案についても、すべて議員間で討議する必要があったかというとそうではない。本市議会でも、まさにこの検討委員会の議論が初めての議員間討議である。大きな問題があるときや政策提言につながるようなものには活用していく。
(蝦名議員)
第4条「議員の活動原則」の中にある「議会活動」は、議員の「議会の活動」だけに限定するのか。
(三井議員(検討委員))
議員としての活動には様々なものがあり、そのうち議会に関する活動に限定して議員の活動原則を明記したもの。

3 第5条について

(佐々木(邦)議員)
会派について、理念や政策以外でも共有するものがあるので、「等」を加えるべきではないか。
(福居議員)
「共有する議員で構成する」ということは、複数を意味すると理解していいか。
(谷口委員長)
ここも検討委員会でも大変議論となったところ。議会運営委員会で議論されている議会改革の一部について、議会基本条例の議論の中で一致できるものは、具体的な事項として検討事項、別の規程等に入れていきたいと考えている。例えば、会派の人数、交渉会派の人数など。政務調査費の交付条例もあるので、整理が必要となる。今は、継続的に協議していくという段階だ。
(佐々木(邦)議員)
一般的に「会派」の言葉の定義は複数。一人会派を含めた整理は今後の課題となる。

4 第6条から第10条について

(高見議員)
「議決責任」について、条文の流れを考えると「議員の活動原則」の後に持っていってはどうか。
(谷口委員長)
今、条文の章立てを検討しているので、参考にさせていただき、総合的に判断していきたい。
(太田議員)
「広報広聴機能の充実」について、多様な市民意思を把握するということを重んじているので、聴くことが先で、「広聴広報」としてはどうか。
(山城議員(検討委員))
そのような議論はしていないので、検討課題として持ち帰りたい。
(上村議員)
議会等の公開について、3月30日素案「すべての会議を原則公開」から4月22日素案「本会議及び委員会等を原則として公開」に表現が後退しているが、議論の経過を教えてほしい。
合わせて、専門的知見の活用、公聴会等について、条文に具体的な手法も入っていたが4月22日素案では抜けているが規程等に定めていくつもりなのか確認したい。
(山城議員(検討委員))
お示ししている素案は、検討委員会でまとめた素案を各会派で持ち帰って議論したものを検討委員会で議論したもの。会議の公開について、代表者会議などの扱いどうするか整理しないまま「すべて」とは言えないとのことで、このような表現にした。専門的知見の活用等については、法律に定めてあるので必要ないとい意見もあり、総合的に判断して入れていない。この議員協議会の場で議論していただきたいと考えている。
(安住議員(検討委員))
若干補足します。検討委員会で議論の争点になったのは、会長会議と代表者会議をどうするのかということであった。その会議の性格、取り扱われる内容等を考慮すると、時間を掛けて議論する必要があり、現時点で結論が整理されないまま「すべての」という表現とすることはできないということ。また、「すべて」とはどこまでなのか、正副委員長打ち合わせも入るのかなどの整理も必要ということになった。
(須藤議員)
市長等との関係について、検討していただきたいところがある。「提案者について必要な資料を求めることができる」というのがあるが、この条文では、いち議員又は議会団体意思としての議員のどちらを想定しているものなのか。議会の調査権にかかわることとして、地方自治法の100条、98条を含め、その整合性をしっかり議論していただきたい。
(塩尻議員)
前文のところでも申し上げたが、議会基本条例は市民のためのものでなければならないし、市民は議会に期待していると思う。議会がすべての権能を持っているかというわけではないので、議会と市(執行機関)の権能についての違いを明確に入れるべきではないか。そうでなければ、市民は議会は何がでできるのか分からなくなり、議会の議決の責任について、あいまいな解釈が出てくるのでないか。また、市長等との関係で、議会が提案者に対して必要な資料を求めることができるとしてるが、議会側もこれに該当し、同じことをやることになるのか。
(須藤議員)
塩尻議員の質問に関連して、議決責任と広報活動について、伺いたい。議会が団体意思として議決したことを持ってして広報活動とするとのことだが、議決について個人的には反対の意見だった人をどう担保していくのか明確ではない。議会の議決と個人の意見の違いを含めて説明するのであればそれはそれでいいが、そういうことであれば、議会、団体意思を伝えていく広報活動のあり方とずれがでてくるのではないか。この部分を十分議論しなければならないと考えるがどうか。
(安住議員(検討委員))
議会が議決したものは、そこにある個々の議員の考えは議論の経過を通じて結論に収れんされていくという大原則がある。市民との関係については、議論の経過や個々の議員の考えなどの詳細を説明するものではなく、例えば、争点を明確にして議会としての意思決定を説明、報告することになると考える。
市長等との関係では、要求した情報を受ける以上、それに対してしっかり知った上で、議決をしていく責任が生じる。また、提供された情報を前提にするので、政策決定の際に、心髄にせまる質の高い議論ができるということを検討委員会で議論した。
また、議会側が予算修正などを議員提案してくときに、市長に対して要求したのと同じような整理の中で提案していくことになるだろうと議論した。
(須藤議員)
その当たりが矛盾だと考える。会社経営に置き換えると、取締役会で反対した取締役がいたら、留保され、反対した取締役の責任は追及されない。何も議決責任を取らないと言っているわけではない。議会は団体意思での議決の説明はするが、いち個人議員も自分の意見も述べたい。議決責任を取るという文言が入っているだけに、この部分をよく議論していただきたい。実際、それをやったらどうなるのか想像もつくので、矛盾があるのが十分承知だが、あえて問題提起する。
(中尾先生)
議員活動の中で、自分の政治スタンスを明確にすることを担保したいということはどうしても出てくる。御意見のとおりだと思う。しかし、当面この手法が成熟するまで、市民の前に行くときは、この方をやり続けるべきだと考える。栗山町は条例を制定し、4年が経過した後、やり方をリセットして、自分の意見を言えるようにした。当面は決定したやり方に従わないと、混乱がおきるので、少し時間が必要だと思う。
(佐々木(邦)議員)
このことについて、1月の研修会でも私は反論した。民主主義は、多様な意見があるのは当然で、その意見の違いを公(市民)に明らかにすることが一番重要なところだ。議会として報告するときは、会派や議員個人の意見を入れてはいけないと言い切るのはいかがか。議会の運用の原則には、少数意見を尊重するというのもあり、そのような少数意見もあったことを市民に報告するのが大事な要素だと考える。
(中尾先生)
佐々木議員のおっしゃるとおりだと思います。ただし、ルール作りはしておいて、同じメンバーで同じところに行くとは限らないので、報告会のリーダーの難しさがある。議会として、結論を出した報告をして、少数意見を紹介してもいいと考える。
(山城議員(検討委員))
ここは多くの議論のあったところ。議会としては、議会が策定した議会基本条例に基づき、合議体としての意思を報告し、議決責任を果たして行きましょうということ。個々の議員の活動については、議会基本条例に書かれないので今までどおり行うこととなる。
市に求める資料について、議員個人、会派が求めるのかということだが、執行部にもらう最低限の項目を列挙し、要求したもの全部を全議員に議案提案とともに配付するということで明記していたが、会派によってはいらないとのことで、条文には入れずに規程等に入れることとした。
また、地方自治法には、個々の議員活動の権限が認められてて、表決権、調査権、発言権が法律上認められているので、私は、調査権の範囲の中で、執行部への資料は要求だと考えている。
(佐々木副議長)
須藤議員の意見に関連し「必要な資料を求めることができる」について、議会が市長等に求めた場合の実務は大変な作業となる。執行部が議会に資料を出すには、議員分も含めて、100部程度用意することになる。
自治基本条例のあるところでは、市長の説明責任として、市長は議会に1から7までのような資料を出すと書いてあるが、旭川市は自治基本条例を持っていない。
議会基本条例を作成していく上で、これから市民の意見も当然聴くだろうが、執行部にも意見を聴き、討論する等の配慮が必要だと考える。
(佐々木(邦)議員)
「必要な資料を求めることができる」という考えに基づいて、このような資料を用意するならいいが、最低限これら全部用意する必要があるからとなると大変な作業になるので、規程等にも落とす必要がない。必要であれば求めればいいのだから、「求めることができる」に基づき求めるのなら、それはそれでよいと考える。
(のとや議員(検討委員))
市民報告会のやり方について、イメージだけ提供したい。会津若松市議会に視察に行かれた方は御理解いただいてると思うが、広報委員会等の中で、各議会がどのような議会であったのかをまとめている。事務局任せにしないで、委員会メンバー議員が議論してまとめてあげ、議会の広報誌も作り上げている。時間を掛けて、議員同士で議論し、広報誌も議員が責任を持っているため、賛成、反対、議論の経過も分かるようにしている。それを議会全体が共有している。何班かに分かれた議会報告会でもベースになる同じ報告するものができあがっている。共有するものも議員自らが作っていくことで、現場に出たときにばらばらにならないように工夫している事例もある。
(安住議員(検討委員))
「必要な資料と求めることができる」について、議論の経過を申し上げると、政策フォーマットのような様式を工夫する必要があるが、過度に執行部に求めたり、議員がそれを抱え込むようなことはやめようと議論してきた。しかし、一方、議決責任を入れる中で、判断するに必要な情報はどこまで取れるのか。ここに挙げる項目については、議会が最低限把握すべきだとの意見もあった。
(谷口委員長)
御指摘いただきました件については、検討委員会でも議論してきた。既存のものだと相当な量になる、また新たな政策シート等で協議ができるかだと思う。出せない資料というのも当然ある。また、意思形成過程の資料であっても可能なものは相当出てきているということもあるので、今後、理事者側と十分協議しなければならない。
市民報告会について、のとや議員が申し上げたとおり、広報委員会機能が充実していけばできるだろうと考えるが、市民への報告内容は予算や決算だけでいいのかという議論もした。それであるなら、大分市がやっているようにテーマをしぼってやるのもいいということで、具体的なものは規程等で整理したいと先程の素案説明でも報告させていただいているところだ。
今、いただきました御意見を踏まえ、検討委員会でも引き続き議論していく。
(佐々木(邦)議員)
「市民との意見交換」について、市民に意見を聴くことは政策形成に限ったことではない。他にも役立つことがあるので、「政策形成等」とするとか、「議会活動に役立てます」などの文言を入れたらいいのではないか。

5 第11条から第19条について

(久保委員)
「議員間討議による合意形成」にこだわりたい。中尾先生から「条文の文言の重複は、そんなに気にする必要はない」との発言があり、栗山町議会議会基本条例には5回も「自由討議」が出てきている。私は、本市の条例のポイント2つあり、一つは市民との関係で、一つは合意形成過程だと考える。重複するので、整理したのであれば再考していただきたい。また、前文の中にも入れるように検討していただきたい。
次に、どこにも議決権の拡大が盛り込まれていない。せめて、総合計画に基づく基本構想と総合計画、都市マスタープランだけでも入れて、その後、項目を追加していってはどうか。
(谷口委員長)
議員間討議について、当委員会でも議論をした中で、当初、議員の活動原則に入れていたっものを独立した条文として整理した。各会派の意見でもおおむね一致したものである。
議決事件の拡大については、まだ議論している最中であるので、検討事項の中に入れて、今後の議論していきたい。
(金谷議員)
政務調査費に直接関連しているものではないが、市民に関心のあるところは、やはり議員報酬と議員定数だと考える。議論の経過があることは承知しているが、どこかに入れるよう再検討していただけないか。
(三井議員(検討委員))
議員定数、議員報酬については、素案には入っていない。例えば、議員報酬は、現在は一定のルールで議論、決定される。議会基本条例で議員報酬について触れるのはどうか。全国の事例では議会基本条例に入っているものあれば、入っていないものある。これについては、検討委員会でも現時点では検討していない。御意見をいただき、全体的の中でどうするかということを今後検討していきたい。
(塩尻議員)
既存の議会に関連する条例の中で、議員報酬や議員定数に関する条例がある。議会基本条例の制定に当たり、既存の条例も整理する必要があると考える。例えば、「旭川市議会定例会条例」があるが、たった1行の条例。このようなものは、議会基本条例制定のときに統廃合するということもあるだろう。条例、規則などを整理すべきものは整理していただきたい。
(佐々木(邦)議員)
「合意形成に努めるものとします」とあるが、必ずしも合意形成しなければならないものではない。民主主義なので、意見が分かれていい。このままでは、言葉が足りないので、「合意形成に至らない場合は、合議体として民主的手法で結論を導きます。」としてはどうか。
(福居議員)
谷口委員長は、今後、運用規程を示していくとのことであるが、条例を定めるに当たり、条例と規程は対のものではないかと考えるがどうか。
地方自治法の改正が検討されているが、運用の中で今ある制度を使いこなしていくとのことだが、作成していく過程ではどういう考えか。
(中尾先生)
議会基本条例は、市民との約束ですから、規程や運用で示すのではなく、できれば条例上に分かりやすく明文化していくことがいいのではないかと考える。その点は検討いただきたい。どこかで、逃げているように思われないようにしていただきたい。
それだけ議論をつくしているので、表に出すものは出していくという姿勢が見られるように、すなわち今までの議会とは違うのだということをしっかり表現していただきたい。
私が言う二元代表制は現行法でやれるものはやってみたいということであって、自治体内閣制で運用してみたいという議員がいて当然。今の議員活動で満足はしていない、そして市長と五分の戦いをしているとは言えないのが実状。制度を十分に見極めていかなけれなならないが、現在の議会力が試されるときに、議会が十分な度量を付けていかなければ、一元だろうが二元だろうが、議会がその一翼を担なえないことになろうかと思って申し上げた。
(福居議員)
運用規程以外に、条文に入れていくことが大切とのことであった。5月の市民説明会までに、このアドバイスや今日の議論を踏まえ、再度、私たちに説明する機会を与えてくれるとういう認識でいいか。
(谷口委員長)
今日いただいた御意見は検討していく。また、皆さんにお示しする場を設けるのであれば、議長に申し入れしてお願いしたい。
(佐々木(邦)議員)
議会報告会について、議会が地域に出て行くと市民の陳情型になってしまう恐れがある。より政策に反映できるようにするために、良い方法や全国の事例を研究される中で、妙案があれば教えてください。
(中尾先生)
議会報告会は、議会の権能を使い自信を持って出ていったことが、逆にあだになることがある。
栗山町の事例だが、地域の市民委員会と協同開催しているが、この手法はお薦めする。
1年目2年目は陳情会となるので、政策につながるかということは期待しないほうがよい。
佐々木(邦)議員の御意見にもあったが、議会報告会の役割は政策形成のためだけのものでもないし、議会が報告したいときだけ実施するものではない。今までは、名古屋市議会のように議会が追い詰められたときに、出て行くための必要な武器がなかったというのが現状。二元代表制で一翼を担うのに市民参加という武器をもっていなければ、はたと名古屋市議会のように追い詰められるので、常に市民との双方向の信頼の回路だけは作っておいていただきたい。

議会報告会が政策につながるところまで行けるよう市民にも自覚していただくように、少しずつ議員が努力してください。

栗山町の合併に協議をした時の事例を紹介したい。首長は知事と協議し合併しないとやっていけないと宣言したが、議会が住民にとって合併がどうであるのか特別委員会を設置し調査した。全国の事例を調査し、近隣町村の財務担当者を参考人として招致し、議論を尽くした上で、資料を作り、賛成反対双方の議員の説明妥協ラインを合意し、議会報告会を行った。首長開催の説明会の1.6倍の人が議会に集まった。これは、5年間蓄積した市民と議会の信頼の回路ができていたからで、やって良かったと思った。こちら側も説明したいことがあるので、その時のための強い武器として、市民との信頼の回路を構築していっていただきたい。

ちなみに、栗山町では、今のところ、実際の報告会の中で出た意見等を持ち帰り、政策につながったものはない。

(蝦名議員)
議会報告会など手法も含めて、全国で市民に議員活動を知ってもらうためにユニークな取組をしているところがあれば教えてください。
(中尾先生)
日経グローカルの記事によると、市民との直接対話を確保している議会が50ある(議会基本条例制定済みは103)。条例がなくても市民との直接対話をしているところもある。ユニークなというのはなかなかない。しかし、京丹後市は年4回、定例会終了後に毎回開催している。2回というのも多くなってきたが、個人的にはあまり勧めない。なぜなら、市民が疲れたり飽きたりしてしまっている。何より両者の緊張感が大切だからだ。名古屋市も3日目は少し余裕が出てしまったとの報告を受けた。議会報告会は、市民と議会の両者にとって少しハードルの高い作業であって、両者緊張のもと「終わって良かった。」と思えるところがいいのかなと思っている。
(鷲塚議員)
市長等との関係という条文はあるが、市民との関係という条文がないとのことでした。情報公開、意見交換、広聴広報の充実の明記はあるが、市民との関係という一文の条文がない。ここに明記されているもののほかにどのような項目、内容を想定されたのか参考までに教えてください。
(中尾先生)
谷口委員長がお答えしてましたが、市民と議会との関係を整理されたとのことでした。3月30日の第7条3項(専門的知見の活用、公聴会、参考人招致等)及び4項(その他の市民との多様な意見交換の場)を規程ではなく、合意が得られるのであれば、条例の本文に入れていけばすっきりするののではないかと思って読んでいました。
(谷口委員長)
鷲塚議員と中尾先生の御指摘について、市民と議会の関係については、今後、より分かりやすくするために章立ての検討をするので、そのときに条文に入れて組み立てていきたい。

閉会あいさつ要旨

旭川市議会副議長 佐々木 卓也

閉会のごあいさつ申し上げます。

まず、長時間にわたりアドバスくだいさいました東京財団の中尾先生に心から厚くお礼を申し上げます。そして、最後まで御参加くださいました皆様、誠にありがとうございます。

本日の議員協議会で、旭川市議会基本条例の素案を多くの角度かた議論を深めることができました。昨年の10月に設置された議会基本条例検討委員会が大変な御苦労をいただいて、ともかくみんなで議論できる素案を作っていただいたことに心からお礼を申し上げ、その御苦労に感謝したいと思います。

今日の議論は、5月に開催する市民説明会に向けて、大変有意義なものになったと思います。

今回の議員協議会を契機にして、更に自治とはなにか、議会とはなにかというそもそも論から全国の多様な経験をしっかり学んで、立派な条例を作っていきたいと思っております。そのことをお互い誓い合って今日は終わりたいと思います。

中尾先生には今後とも御指導、御鞭撻をいただきますよう心からお願い申し上げて、閉会のあいさつとします。

(補足)当日配布しました資料を御希望の方は、議会事務局総務調査課(電話番号 0166-25-6380)片岡・安藤までお問い合わせください。

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