令和4年度市民と議会の意見交換会報告書-5

最終更新日 2023年3月20日

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市民の食を支える農政の課題 (経済文教班)

※テーマと異なる内容の意見交換については掲載しておりません。

意見交換の主な内容

意見交換の前に、協力団体である農村大学IN及び一般社団法人旭川消費者協会から、テーマに関して課題提起等がありました。農村大学INからは、国産農作物の価格を農業者・消費者の双方が納得できる額にするため、国の支援が望まれることや、自国で食料を賄うことの必要性などについて説明がありました。一般社団法人旭川消費者協会からは、無農薬の野菜づくりの取組報告や、遺伝子組換え食品やゲノム編集食品を例として食の安全性についての説明がありました。

市民

パンフレットを見ると旭川は水稲も野菜もかなり多く栽培して、流通していることが分かりましたが、お店に行っても旭川産というのはあまり見た記憶がありません。私は極力、地産地消ということで、北海道産のものを購入したりしています。輸入品はラベルを見て買わないようにしていますが、旭川産の米や野菜がどこに流通しているのか、旭川市内とか道内とか、全国に向けてどのような比率で流通しているのか、教えていただきたいです。

議員

資料「あさひかわの農産物」というパンフレットの中に生産マップも入っていますが、その一番後ろに、直接販売しているところをチェックできる二次元バーコードが出ています。加工品も含めて農産物の紹介がそれぞれ入っており、一つの目安になると思います。
さらに、旭山動物園の動物イラストでパッケージングされたものが旭川産として売られていますので、スーパーに行くと北海道産となっていますが、かわいい動物のパッケージを意識してみると意外に売られていることに気付きます。さらに、「YES!clean」という認証も入っている野菜も意識して見ていただければと思います。

市民

生産者の立場からの悩みや要望に感動しました。議員さん方はいろいろな政党の方がいると思います。それぞれの政党によって、価格保証の問題はいろいろ違うと思いますが、生産に見合う価格をどうするか、生産者のための補助金ができるのかどうか、御意見を伺いたいです。

議員

私は自民党の所属ですが、やはり農協が一番生産者側に立って、物事を考えていると思っています。農業や農産物の価格については、与野党関わらず皆さんが考えています。2007年に農業改革が始まり、減反制度や様々な個人保障の制度などが与野党の政策の戦いの中に入っています。国の力が非常に大きくなっていますので、我々地方議員が、国政の方に対して、政策的な価格の問題も合わせてやらなければならないと思います。それはどの政党もそう思っています。民主党が戸別所得補償などの政策をやって、自民党が大きく負けました。そのように政策によく使われています。これは国の方にしっかりと、我々地方議員が訴えなければならないと思っています。

議員

公明党の立場でお答えいたします。現在、食料自給率が非常に低いことになっています。カロリーベースで38パーセントです。それを2030年度に、45パーセントに引き上げるという目標を国も掲げていますが、生産農家の数が減少傾向にある中で、いかに利益を出せる農業、稼げる農業にしていくかが課題だと思っています。現状は、ウクライナ情勢や物価高の中で、飼料高騰対策などを政府もやっています。先ほどから、国が補助金を出してでも、中間的な利益を出せない分は出すべきだと御指摘いただきましたが、自由競争社会の中で、仕組みを作るのはなかなか難しいと考えています。かといって、利益の出ない農業は継続できませんので、ここは国が考えて生産コストを安定させていく。北海道の農業は生産コストが10アール当たりの単価で一番低いと言われていますし、農薬をあまり使わなくても生産ができる安心安全な農業の拠点としても重要だと思っています。
更に大事なことは、先ほど提言があった、国の支援策です。農家子弟の方も含めて農業者に対する支援策をどのように作っていくか、そして、農業の魅力をどう再構築していくかは大きな課題だと認識しています。御提言いただいたことも含め、党として検討していかなければならない課題だと思っています。

議員

議会の立場でお話をさせていただきます。議会で国に出す意見書というものがあります。地方議会から国に対して、こういう政策をしてほしいという要望を上げるものですが、今年、既に3回の定例会で、消費の部分も含めて農政に関する意見書を5本出しています。昨年も4本の農業関係の意見書を出しており、そういった形で議会として国に要望しているところです。内容的には、農業分野における燃油等の価格高騰対策を求めるとか、水田活用の直接支払交付金の見直しを求める、といったものを上げており、全て全会一致で可決をして、政党にかかわらず、旭川市議会として国に要望を上げているところです。後はそれを国がどう見て、判断してくれるのかですが、そういう取組も議会として行っています。

議員

日本共産党として、先ほどの発言はとても興味深く聞かせていただきました。国策で農業政策が変わってきたということです。どんどん米を作れというときもあったし、減反もあった、今度は転作だ、金出すから転作してくれと、その金を出すのもやめると、農家はずっと国の政策に従ってやってきたのに、はしごを外されたという思いだと思います。私たちがどうやって支えるかは、選挙のたびに政策を出していますが、2つです。
所得補償と価格保障を組み合わせる、そのことで支えられます。それは他の国もやっているからです。例えば、米だったら価格保障をどうするかというと、備蓄米として大量に買い支えるということです。今、政府は備蓄米を20日間分ぐらいしか買っていません。こんな国はなかなかないです。韓国でも6か月分くらい備蓄していますし、他の国はもっとやっています。それを他の国並みに買い支えるということができれば、価格は上がります。
それから、所得補償は、前の民主党政権でも少しやりましたから、その例は農家の皆さんが分かっていると思いますが、その両方を組み合わせるということです。所得補償だけで全部やるとなると、では何も作らなくてよいのかという話になります。そうではなく、生活も支えるし、作ったものもちゃんと売って、来年以降の営農が続けられるよう相互を安定させることだと思います。
いずれにしても食料自給率を上げるという方向に政府が方針を変えないとダメです。このままでは食料安全保障が守られません。戦争でもパンデミックでも対応できず、人口は世界的には爆発していきますから、そのときに誰も日本には売ってくれない、自分で作らないとダメだということです。

市民

話を聞いていると、お金で全部解決しようとしていると感じます。農作物を作る人と買う人の差を埋められないからこの問題が起きていると思っていて、その差を埋めるには食育だったり、食を学ぶ機会であったり、農業をしている人から話を聞く機会などを国がもっと分かりやすく与えるだけでもよいと思いますが、そういう話が一つも出てきません。ただ補助金を出すとか、助成金がとか、何か違うなと思ったのですが、その辺はどう考えているか聞かせてもらえたらうれしいです。

市民

私は東鷹栖で、グリーンツーリズムで学生を受け入れたり、直売所に野菜を出したりしていて、直売所は、農業者から消費者への情報発信の場だと思って、農協にお願いして作ってもらったりした経過があります。
また、20年くらい前から、地場の農産物を使った加工品を、農家のお母さんたちのグループで作って販売も続けています。消費者に向かって、価格や使っているものの安全性などを発信していますが、それがなかなか通じていないのが現状です。農産加工品も、農家のお母さんが作った味噌とか、三升漬けというのがブームで、すごく売れた時代がありましたが、それが去ってしまうと、「あれっ」というくらい消費が減りました。ブームに終わらせないためにも、私たちが情報発信したいことを、議員の皆さんも消費者に向かって発信していただければと思います。私たち農家の常識がなかなか消費者の常識につながっていかない現状を、皆さんに考えていただきたいと思います。

市民

冒頭、食料自給率についてお話がありました。二十数年前だと思いますが、国の偉い方が「食料は安い外国産を買ったらいいんだ、高い日本の食料は買わなくていい」と公然と言っていたのを記憶していますが、今も変わりはないのでしょうか。先ほどもお話があった転作の関係で、畑を5年間で1回水田に戻さないと、奨励金を払わないという問題ですが、これは国としては、自給率を上げるために、そこに野菜などをもっと植えろと言っているのか、それとも単なる、奨励金の打切りで終わらせてしまうのか、私には国の本音が少し分からないので、皆さんの中でそういう情報がありましたら、教えていただきたいと思います。

議員

水田活用直接支払交付金を今回見直し、5年くらい水張りをしていなかったらもう出しませんという話です。先週、政府交渉に行ってこの問題も取り上げましたが、国の役人の本音は、この交付金は元々5年で設計しており、5年過ぎたからもう辞めたい。会計検査院からも指摘を受けていて、辞める流れを作っていきたいというのが本音だと思います。自給率はそのことで上がったりしません。転作した畑をまた時々水田に戻すというのは無理です。水田は水を保つようにできています。しかも、元々畑を作っているような十勝と比べて、中山間地も多い旭川の農家が、稲作のところを転作しても大量に生産できる畑作農業にはなりません。今でも十勝と比べると、小麦などの収量は10アール当たり収量で2、3倍違うのではないでしょうか。だから、自給率を上げるベースとして考えてはいないと思います。
米も余っているといっても、使い勝手のことや備蓄のこと、世界に輸出するということもできますから、全体の自給率を上げるために、本音で水田活用交付金の中止、見直しを図っていることではないというのが、この間の政府交渉で聞いた内容です。

市民

旭川市農政部の農業体験に長年協力させていただいています。最近よく感じるのが、体験難民みたいな人がすごく多いのです。子どもたちに農業体験をさせたいけれど、どこも受け入れてくれない。私のところは、子どもたちと親御さんとサポートする教育大生という形で来ています。親御さんたちの質問から、農業にすごく興味を持っていることを感じます。コロナもあるので、まずどこでもやっていない。私たちの時間もすごく取られます。でも、実際の子どもたちの顔を見てると、三角になっている目が丸くなるのです。そういう気持ちでやらせていただいてます。
受ける側の負担をもう少し和らげるような形で、そして、もっと広く大きく子どもたちの環境に根強くなるような形で、社会見学から取り入れていくのもいいと思います。触れていくということがあまりにも少ないと思います。道内第二の都市とはいえ、都心から離れると周りはぐるっと農村地です。もう少し関心を持っていただきたい。子どもたちが大きくなって、「やっぱり旭川はいいなあ」と戻ってこれるような、そんな交流の場というのをもう少し作っていただけたらと思います。

議員

今の政府も有機農業を推進していますが、例えば愛媛県今治市などでは、有機農業と給食を結びつけて、手間もコストも掛かる有機農業生産者を支えるように給食でそれを買い上げて、子どもたちには学校水田、畑などを作って、自分たちで収穫するという体験をさせるということに取り組んでいます。食育もその中でやっていく、有機農業をやっている人たちは少しでも安心安全の食物を子どもたちに食べさせたいと願う、高くなる給食費は市として補助を充てながら支えていく。子どもたちがそういう中で育って、食育も受けてきたら、少し高い有機野菜でも買うような大人に育っていったり、農業に従事していったり、農業の魅力をその中で学んでいくというように。マイナス面、デメリット面もあると思いますが、そんな実践をしているところも増えてきています。
世界から見たら、日本ほど農業に予算を割いていないところはないと思います。子供の教育費や子育て支援費も少ないですが、農業に対する補助金や支える仕組みも、本当に少ないです。国民を飢えさせない、食を守っていく、食の安全を守っていく、その視点に立って、他の先進国と言われているところで取り組んでいる方法をもっと導入した方がよいと考えます。

議員

私が現役教員のとき、地場産の食材を使った給食が1、2か月に1回出る機会がありました。そのとき、「旭川で、みんなが見ているあそこで取れたものだよ」と説明することで、子どもたちは興味を持って、おいしいと食べていた姿がありました。価格は高いので、安い給食費では、毎日毎日それを使ってということは難しいようです。町村によってはそれを年間通してやっているところもありますが、旭川市ではそこまで至っていないという感想です。子どもの心の中に、自分たちの地元で作っているものを大切にしようとか、自信や誇りを持とうとか、そういう教育をするべきだと感じています。

市民

東旭川で米を生産しています。夫が生産し、私は自称、農業栄養士として食の活動をしています。学校給食のお話が出ましたが、旭川の学校給食は旭川産米が使われているそうですが、子どもたちはおいしくないと言っていて、お米の残食率が一番高いという話を聞きました。子どもたちが「旭川の米はおいしいんだ」と言うくらい、米を残さずにいっぱい食べてもらえるような御飯の炊き方など、旭川市内の給食で工夫されないのかというところをお聞きしたいと思います。

議員

旭川中学校など、東旭川地区の給食は別で、現在、新しくなりましたが、すごく温かいのがすぐ届いて、私は市内各学校を回りましたが、給食は一番おいしかったと思いました。子どもたちの感覚は少し違うのですね。

議員

私の子どもはまだ小学生で、給食の御飯はあまり好きではないとよく言います。出てくるまでの時間で冷めてしまうのと、皆に配っている間にも冷めてしまって、余計おいしくなくなる気がするという話をしています。同じ旭川産米ですが、炊き方もあると思いますし、配るところで支援員さんがつくなど、いろいろな政策を入れながら、対策をしていく必要があると受け止めていたところです。
子どもたちにも、地元の産業に関しての勉強というのが必ずあります。その中で、農業について学んできた日は、こういうのがあるから、それをわざわざ探しに行こうと声を掛けられたときがありました。授業の中で触れるということ、そこから発展して、探しに行こうと保護者側も応じて、どこに体験しに行ったらよいのか、そういったところも結び付けながら、全体的な政策として受け止めていく必要があると思いました。

市民

今、5人の子どもを育てている主婦です。人間は食べたものでできているという意識が低い方が多いです。お母さんたちの中でも、旭川の野菜とかではなくて、安いものを選んでいる人が多いです。私もなるべく無農薬を選んでいますが、やはり高いと感じることもあります。無農薬のことなどを知ってもらうためにも、消費者を変えるためにも、市で周知するよう広報してほしいです。それが消費低迷の改善などにつながってくれないかという期待もあります。給食もとても不安で、食べさせたくなくて弁当を持たせているお母さんもいます。農薬も、添加物も気になっていて、学校教育で、実践教育などで学んでほしいと思います。各家庭でできればよいですが、できない家庭も多いので、学校で取り入れてほしいという気持ちがあります。

市民

子どもたちと一緒に農薬も有機肥料も使わない畑をやっています。今日の意見交換会というのは、今、食料自給率が少ししかないという危機をどういうふうにしたらより良くなるかを考える機会だと思って伺いました。
私もふだん、農薬などを使わない食べ物を選ぶようにしています。値段は高いですが、自分で作るようになると、労力と準備が必要で、天候にも左右され、3か月から半年くらい掛けて、ようやく収穫ができる食べ物もあります。農薬を使わないものに全部シフトするのは厳しいということなど、消費者の立場からも知る機会が増えたらよいと思います。子どもたちにどんなものを食べさせたらより良い日本になるのかを考えていくと、やはり知っているかいないかが重要だと思います。国からの助成金や補助などがありますが、旭川市、上川だからこそできることがあると思います。
学校でもう少し農業体験を行うとか、授業の中に入れるのでもよいです。子どもたちとバケツイネをやっていますが、たったバケツ3杯の脱穀でも大変で、米粒も少ないし、「めんどくさい」と言って辞めてしまう子もいるぐらい、とても根気のいる作業です。それでも経験をすると、お米を残さないようにしようとか、農薬使ってないからおいしいと思えたりとか、そういう触れるという場面がとっても大事なのです。そこのゴールに向けて旭川市として何かできることがあると思うので、どういうことができるかというのを聞きたいと思います。

議員

先日、研究会で学校給食に携わっている方とも意見交換をしてきました。皆さんが学校教育に期待されていることはたくさんあると思います。しかし、今の学校がそういう期待に応えられない構造的な課題があるということも知っておいていただきたいです。いろいろなことに割ける時間がないという切実な悩みがあります。食に関しては、今、学校には栄養教諭が配置されるようになって、その方を中心に食の教育を、給食を通じてやろうと、全国的な取組で進められるようになってきていますので、その様子をじっくり見ていただきたいと思います。
なぜ消費者は安い食品を選んでしまうかというのは、やはりお金の問題なのではないかと思っています。安全なものを買いたいけれど、そこに割けるだけのお金がないという切実な悩みを抱えています。特に、お子さんを育てている家庭の中にも結構いらっしゃいます。給食は心配だけれども、給食がなくなったら、この子の栄養補給の場もないというお子さんも現実的にはいらっしゃいます。
旭川にも新しい給食センターができて4,500食作れるようになりました。先日、千歳の給食センターの話を聞きましたが、9,000食を作っていて、無農薬とか有機野菜は使えないそうです。白菜やレタスを一枚一枚剥がして3回手で洗う、それを何時間以内に作って、何時間以内に届けなければならないということの中で、現状では無理ですという悩みを話してくれました。旭川はまだ自校給食でやっているところが結構あります。少ない食数で時間を掛けて作れるところを大事にしていただきたいです。しかし、行政がお金を掛けたくないとなると、センターでたくさん作ろうとか、他の自治体のようにどこかの企業に丸投げしようとなって、弁当が来るという学校も北海道の中で出てきています。そこに皆さんも関心を持って、声を上げていただきたいです。これは学校に対してではなく、行政に声を届けなければいけませんので、是非その点にも関心を持っていただきたいです。

議員

安心安全な農産物について、市の方でも情報発信したり、旭川市議会でも議論をしたりしていますが、それがなかなか伝わっていきません。例えば、北海道の「YES!clean」という認証は、安心安全な農産物の一つの水準ですが、旭川の農産物は17品目あり、これは北海道一です。そういったことがなかなか旭川市民に分かってもらえていません。米について「YES!clean」で作っていただいた農家さんにはお金を差し上げる、安心安全の価値観を高める努力には加算するシステムを導入している農協もあります。ただ、4農協のうち、これをやっているのは一つなので、ほかの3農協も同じような努力をする必要があると思いますし、この認証が価値の高いものであることを、どう広めるか、しっかりと伝えて市民と共有することによって、多少値段が高くても、安心安全でおいしいからと買っていただける方を増やしていく、そういった努力をしていく必要があると思います。そういった価値観の差が埋まった時点で、「YES!clean」作物を作っている農家さんは20パーセントくらいいますので、その輪をどんどん広めて旭川の強みを発信していけるようになり、しっかりこの消費者ベース、生産者ベースと共有していくことが大事だと思っています。

議員

給食に関しては、平成7年に、これまで行政がやっていた給食事業を民営化しようという決議が旭川市議会であったようです。給食自体を民間企業に委託していく流れになってくる可能性があります。そうなったときに、どういう作り方をすればおいしく食べられるかとか、どのタイミングで提供すればおいしいものを子どもたちに食べさせることができるかとか、ソフト面の対応もどんどん導入できると考えています。
私個人としては、有機農業とオーガニック給食に取り組んでおり、先ほどお話がありました意識の差があるということに、私自身も市の担当の方々との間で直面したことがありました。前回の一般質問の際に、私は有機農業を積極的にやりたいと言いましたが、農政部としてはまだ早い、オーガニック給食は安定供給ができなければならないという話です。
本州のある自治体などでは、給食に使われている一般的な米で一俵大体5,000円円から8,000円くらいで、高くても10,000円くらいで取引されているものを、その地域では有機農業を促進してオーガニック給食を実現させるために、一俵22,000円で市が買い取るということをやっていました。それによって実質的な補助金にもなり、有機農業の安定供給が見込まれて、かつ安定した経営が可能であるということであれば経営者にとってもメリットがあり、有機米の方に生産者が移ってきたという経緯があったそうです。有機米を積極的に市が、実質的な補助金として購入していく、それをオーガニック給食として採用していく、そのような制度を作り出していくべきではないかと考えています。

市民

先ほどから、無農薬や有機農業の話が出ていますが、無農薬だと虫が付きます。農家は大量に生産しますので、虫を一つずつ捕るわけにはいきません。それでも無農薬が良いということで、私は無農薬で野菜を作ってます。虫食いの穴が空いているのが嫌だという消費者がいます。無農薬の野菜を食べたいというなら、買う方にそれなりの覚悟をしていただきたいと思います。農家は農薬、殺虫剤をかけたり、殺菌剤をかけたりをします。それの回数は決まっています。後は私たち農家の努力でどういうふうにするかです。うちには「YES!clean」や青果連のマークをもっている商品はありませんが、それでも無農薬ということで買ってくれているお店があります。そんなに売上げはありませんが、それで私はよいと思っています。
農家になってから、補助金ありきの農家だと知ってとても残念でした。今までの国の政策の中で、休耕田だ、転作田だといって、急に5年に1回水を張れとか、国は金を払いたくないのだろうと思いました。農家の皆さんも感じていることだと思います。所得補償制度も、元はすごくよいものでした。あれがもう一度戻ってくれたらと思いましたけど、政権が変わるとそうはなりません。農民としていろいろ考えながらやっているつもりです。
私たちの作っているお米は、冷めてもおいしいお米です。給食センターの買い方で1円でも安く買おうと思ったら良い米は来ません。くず米を買って子どもたちに食べさせているようなお米なら、精米してすぐ食べてもおいしくないです。旭川でできたゆめぴりかやおぼろづきだよと食べさせてあげられるのがよいと思います。そうすると給食費が上がって、払えない家庭が出てきます。給食の運営がうまくいかなくなります。そういう場合どうしたらいいのか、これは議員の皆様のお力で何とかしていただきたいと思います。
ヘリコプターで除草してもらうと、「ネオニコチノイド系」という、マウスの子どもや孫に障害がでるような農薬を使うことになるので、夫婦2人でホースを引っ張って昔ながらのやり方で防除をしています。市が行う補助金を来年お願いしてドローンでやっていこうかと考えています。食を支える農家さんの高齢化が進んでいて、担い手がいません。高齢者でも続けられる農家の在り方を考えていかなければいけないのです。でも、スマート農業では補助金をもらわなければならず、やり方が難しいです。こんなに面倒くさいなら、もう辞めようとなります。何年かに一度は機械も壊れます。コンバインは新品で買うと今1,200万円くらいします。中古で良いのが出たというのも500万円しました。米飯の奥の土地も借りてやっていますが、議会の皆さん方も御存じのとおり、水が悪いです。高齢者は大変です。体力的に限界になります。
私たちは市民や国民の生活を支えている農家です。良い方法で年を取ってもできるような方法を議員さん方にも考えてもらいたいです。無農薬には虫がいっぱいです。うちにも農業体験や刑務所から出た方がリハビリのために来たりしますが、虫のすごさに驚かれます。是非、見に来ていただきたいです。

市民

私も東旭川で、畑を少ししてます。無農薬の作物は虫がすごくて、これを買ってもらうとなると、消費者の意識改革が必要と思うとともに、規格合わせのために農薬を使っている、そこも考えてもらいたいと思います。先ほどの食育の質問がありましたけれども、情報として、旭川第5小学校・桜岡中学校で春、裸足になって稲を植えています。秋になったら収穫して、今コロナの関係で行事はしていませんが、11月くらいになったら臼でお餅をついてみんなで食べる、そのお米の有り難さ、お米って88回手間を掛けるんだよと、校長先生の挨拶とともに学んでいるのを見ています。そういう学校もあるということも分かっていただきたいと思います。

市民

退職してから東川の農家に3年間、苗床づくりのお手伝いに行きました。50代の息子さん2人が話していたことをお伝えします。20町歩以上も作っていて、自分の家に精米機も大きいのがあり、他の農家とは組まないで農業を進めています。これから東川も機械の大型化で、水田の拡張の話が出ている。僕らも50代なので、今から補助金も出るけど、借財も背負うので、迷っていると話していました。
2年目に行ったときに、上のお兄さんが旭川に働きに出ました。そういう状況の中で、コロナ禍、無農薬で、この広さの水田を維持せよというのはとんでもないことだと思いました。機械化するのに農協からお金を借りて、その借財を返すのにずっと働いています。私と同じ年の1950年生まれのお母さんが、「私の体力もね」と言いながら、ずっと息子さんたちと稲作をしていかなければならない、という現実もあります。今話されていることは、確かによいことですが、農家の人は本当に苦しい思いをしていると感じました。

議員

私も旭川で有機農業をやるのは無理ではないかと思っていましたが、有機農業の最先端をいっているような方々に相談した結果、北海道でも不可能ではないし、大規模な農業経営でも十分やっていける技術はしっかり確立されているという提案がありました。例えば、檜山振興局の檜山農業改良普及センターなどで有機の稲作導入のかなり詳細なマニュアルを作っていたりします。他にも民間の農園などでも実際に有機農業を畑作などでやっている会社があるそうです。まだ確定的なことは言えませんが、旭川でも技術的には決して不可能ではないし、今お話のあった農家さんでも十分やっていけるようなマニュアルとかノウハウを確立できると思っています。

市民

今の有機農業の問題ですが、農家さんのもみまき、田植えを4年間手伝っています。農家さんの仕事は足腰の問題で、今年辞めようと思いますが、人情が絡んで、後を継いでくれる人がいないということで、泣き泣きやっています。
今年の肥料高、ロシア・ウクライナの戦争と、中国からの差止めで、肥料がものすごく高騰しています。昨日も新聞で肥料が31パーセント値上がりしたと報じられていました。何か解決策がないかと思案したときに、偶然、国会の予算委員会である議員が取り上げていました。国土交通省と協力して、し尿処理場の汚泥を有機肥料にするということです。焼却したあとにリン酸を抽出する技術も確立したとのことです。美瑛では、おがくずにその汚泥を混ぜて、有機肥料堆肥を作って成功しています。今年の9月に旭川市でも取り始めたとのことです。非常に良いニュースだと思っています。全国のし尿処理のリン酸含有率が20パーセントあるそうです。多大な量です。各自治体それぞれ持っていますから、そういう技術を取り入れた有機肥料は土に優しく、すごく期待を寄せていますが、旭川の進行状況を御存じの議員さんがいましたらお知らせ願いたいと思います。

議員

先ほどから有機栽培の話が出ています。東旭川出身ですので少し話をさせていただきます。国の方から交付金を頂いて有機栽培をやっている地元の方というのは2名しかいません。しかし、先日他の農家さんから有機栽培をやっている方がほかにもいるという話を聞き、現地も確認しました。皆さん努力している姿は、消費者にとってはなかなか分かりづらいと思います。もっとコマーシャルをして買っていただく努力をしてほしいということです。
私も自宅でハウスと露地栽培を無農薬でやっています。ぼかし肥料ということで、今まで収穫した物を土の中に入れて、もみ殻も米ぬかも混ぜてやっていますが、キャベツはヨトウムシがついて絶対ならないです。小さいハウスでもかけてやろうと思いましたが、土壌から出てきます。大変なことです。私がこんな努力をしていることを妻に話したら、買った方が安いと言われました。有機はどうしても高くなる、手間が掛かる。そこのところを生産者と消費者がもっと理解して、接点を持ってもらいたいというのが私の考えです。

市民

いろいろ意見を出していただき、素晴らしかったと思います。特に、給食の御飯がおいしくないという話がショックです。旭川は米どころで、何十年と米とともに生きてきた街として、皆さん頑張ってこられたのに、それは米が悪いのか、炊き方が悪いのか、流通が悪いのか。これは民営にすればよいという問題ではなく、根本的に間違っているのだと思います。
それと消費者と生産者の交流と言っていますが、花菜里ランドの運営方針が最初から一つも変わってません。私はかつて種苗業協会と一緒に街の人たちを呼んで、あそこで旭川の農産品を直売しながら交流したことがあります。かつてはこの作物を増やそうと思ったときに、あそこで供給もやってました。今、旭川でどういう戦略で何を増やそうとしているか。皆さんはどう考えているのでしょうか。
今、旭川でさつまいもを栽培して、販売・輸出している企業があることを御存じですか。北海道でさつまいも栽培を最初に取り組んだのは新篠津にいる方で、北海道有機農業研究会の役員もされています。その方は自分で製品まで作って頑張っています。花菜里ランドは、そういう戦略性のあるものの試験をきちっとするべきだということです。さつまいもの苗を5円で作れば、今日参加している農家の方はさつまいもを栽培します。戦略作物になります。今は道外からわざわざ40円ほどのお金を出して、苗を買って栽培しています。温暖化で北海道が適地になろうとしています。
花菜里ランドはかつて年間に8万人以上の方々が訪れるような場所でしたが、車が止まっているのをあまり見たことがありません。そこを、農業者と市民の交流の場に作り替えればよいのではないでしょうか。市内の直売所を紹介し、技術を提供し、旭川市がどんどん宣伝すればよいのではないでしょうか。
もう一点、緑の食料システム戦略のことで、皆さん間違っていませんか。あそこには、2030年を経て、2050年に有機農業をやるとは書いていません。書いてあるのは有機農業に取り組もうという面積であり、有機認証のものでなければダメということは書いていません。皆さん方から将来それを指向して、生産者が一丸となって、消費者に理解を求めた農作物を作っていこうという取組です。
最後にもう一点、旭川の今の農業者人口は3,000人そこそこです。これから旭川の人口も減り、2040年には残念ながら25万人を割り込むでしょう。そのときに推計される農業従事者は、2,000人を割ってしまいます。高齢化してもやれる農業を今、研究して提案しなければなりません。東川がやっている大型農業や、ドローンを入れてやろうとしている農業もそれに当てはまるのかもしれません。そういう議論を農協任せにしていてさっぱり議論しない、旭川市の農政というのは非常にさみしいと思います。
是非、今日発言した人たちが旭川の農業の未来を独自につくるくらいの構えでもう一度集まりましょう。

市民

今日はいろいろ貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
私の場合ですが、形の良い物を必要としていなくて、安心安全であればよいです。形が悪くても安ければ買われる方もたくさんいるはずなので、そういう直売所や、この作物はどういうふうに料理すればよいか、おいしくなるか、また、家庭菜園を作っている方は、どうしたらうまく作れるかなど、生産者と消費者が交流できる場、そういう箱を市が援助して作ってもらいたいです。虫が嫌いという方を基準にせず、それでもよいという人を対象とした販売所を作ってもらいたいです。

議員

花菜里ランドのことですが、冬野菜の栽培の研究を行って、すごく甘くておいしい寒締めホウレンソウができているところです。花菜里ランドでは、そのような取組も行っているということをお伝えしたいと思います。また、市内には、土の改良を行い、国外に輸出したり、元気な土地で元気な作物をつくるということに取り組んでいる企業があり、市もその取組を応援しているということもお伝えしたいと思います。

まとめ

旭川市の基幹産業の一つである農業。
生命と健康の源である「食」の安心安全な供給を維持するためだけでなく、地域コミュニティや景観を守り防災にも貢献している農業が、今大きな転換点を迎えています。経営を維持継続するためには、国や行政のしっかりした農業政策が求められますが、時の政権に翻弄されがちで、国民・消費者の理解とそれを促す取組も不十分です。
そこで、就農者から農業の現状と課題を問題提起していただき、消費者の思いと結合させながら、農業の未来を考える意見交換会にしたいと思い企画いたしました。
テーマが広く、様々な御意見を頂き、時間が足りなくなるほどでしたが、多くの課題を共有することができたのではないかと思います。
お忙しい中を御参加いただいた皆様、御協力いただいた関係団体の皆様に、感謝を申し上げます。
頂いた御意見等は、今後の市の農政等を考える参考にしてまいりたいと思います。
会場の様子(経済文教班)
(会場の様子)

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旭川市議会事務局議会総務課

〒070-8525 旭川市7条通9丁目 総合庁舎8階
電話番号: 0166-25-6380
ファクス番号: 0166-24-7810
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